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アジア欧州会合第6回首脳会合(ASEM6)
(概要)

平成18年9月10~11日

1. 日程・出席者等

 アジア欧州会合第6回首脳会合(ASEM6)は、9月10日から11日までフィンランドのヘルシンキにおいて開催された。ASEMプロセスの開始から10周年の節目となる本会合には、アジア側より13カ国(日中韓、ASEAN10カ国)、欧州側よりEU25カ国及び欧州委員会の首脳が出席した(一部は代理出席)。

2. 議論の概要

(1) 第1回セッション:「多国間主義の強化と安全保障上の脅威への対処」(10日午後)

 アジア、欧州が今日直面する共通の課題と脅威に対し、多国間アプローチをいかにして強化していくべきかとの議長の提起を受けて議論。
 小泉総理より、テロ、大量破壊兵器等の拡散、海賊問題を挙げ我が国の取り組みを具体的に紹介するとともに、北朝鮮に関し、核、ミサイルに加え、拉致問題の早急な解決を国際社会が一致して訴えていくべしと発言(別添)。
 他の首脳より挙げられた国際組織犯罪、三大感染症及び新型インフルエンザなどを含め、国連を中心とする多国間アプローチに基づく対処の重要性につき、意見の一致が見られた。

(2) リトリート形式夕食会:「地域情勢」(10日夜)

 朝鮮半島情勢、ミャンマー、レバノン等中東の諸問題、イランの核問題につき議論。小泉総理より、北朝鮮による拉致が、韓国、一部欧州諸国等国際的な広がりを有する問題であることを具体的に示しつつ、同問題の早期解決に向けた各国からの協力を要請した。

(3) 第2回セッション:「文化・文明間対話」(11日午前)

 冒頭、米同時多発テロ(5周年)犠牲者に対する黙祷が行われた。多くの首脳が、異なる文化や信仰間の対話を通じた相互理解の重要性を強調し、この分野でASEMが重要な役割を果たし得る旨述べた。教育交流等を討議した第4回アジア欧州議員会議についての報告も行われた。

(4) ワーキング・ランチ:「環境及びエネルギー安全保障を含む持続可能な開発」(11日昼)

 エネルギー安全保障と環境上の懸案への対処、気候変動等につき議論された。
 小泉総理からは、高度経済成長期の公害の経験をも踏まえた環境及びエネルギー分野におけるわが国の取り組みについて説明するとともに、環境保護と経済発展の両立について考えていく上でASEMが重要な枠組みである旨述べた。

(5) 第3回セッション:「グローバリゼーションと競争力」(11日午後)

 グローバリゼーションのもたらす機会と挑戦への対応、地域貿易協定、ASEM5経済宣言の具体的実施等ASEMでの協力等につき意見交換が行われた。各国首脳からグローバル化への対応として自由化と開発を追求するWTO交渉の中断に対する深い憂慮が表明され、早期交渉再開の必要性につき一致をみた。アジア欧州ビジネス・フォーラム(AEBF)からの報告も行われた。

(6) 第4回セッション:「ASEMの将来」(11日午後)

 アジア側からインド、パキスタン、モンゴル及びASEAN事務局、欧州側からブルガリア、ルーマニアのASEMへの新規参加が決定された。議長よりASEMヴァーチャル事務局の設置が報告され、わが国の貢献に対する言及がなされた。

3. 発出文書

以上のような議論を踏まえ、以下の3つの文書が発出された。

(1) 議長声明

 冒頭、ASEMの10年を簡潔に評価し、(1)地域情勢、(2)多国間主義の強化と安全保障上の脅威への対処(国連改革、大量破壊兵器等不拡散、テロとの闘い、感染症対策等)、(3)グローバリゼーションと競争力(WTO、地域協力、労働等)、(4)環境及びエネルギー安全保障を含む持続可能な開発、(5)文化・文明間対話等の課題につき、ASEM6の議論をまとめた文書。

(2)気候変動に関するASEM6宣言

 気候変動について、国際協調の下での対話の前進、技術と投資の活用、エネルギー効率改善や新・再生可能エネルギーの利用促進、災害対応能力の強化、ASEMでの気候変動に関する対話の継続等を宣言。

(3)ASEMの将来に関するヘルシンキ宣言

 ASEMにおける今後10年の対話と協力の主要分野として、多国間主義の強化及び共通のグローバルな脅威への対処、グローバリゼーション、持続可能な開発等を列挙。情報共有のためのASEMヴァーチャル事務局の役割等に言及。

4.二国間会談等

 小泉総理は、ヘルシンキ滞在中、フィンランドのハロネン大統領を表敬したほか、同国のヴァンハネン首相、フィリピンのアロヨ大統領、スペインのサパテロ首相、ベトナムのグエン・タン・ズン首相と二国間会談を行った。また各国の首脳と食事の機会や会合の前後を捉えて懇談し、二国間の問題や国際情勢について意見交換を行った。また、アロヨ大統領との間で日・フィリピン経済連携協定の署名を行った。

【別添資料】

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