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(別添)
第1回セッションにおける小泉総理の発言
- 現在、アジアと欧州は、幅広い利益を共有しています。我々ASEMメンバーは、共通の利益を有するがゆえに、我々が直面する共通の課題につき、効果的な対処方法を示す責務があります。ここで私は、限られた時間ですので、以下の3点に絞って考えを申し述べます。
- 第一に、9.11から5年が経過しました。テロは依然として人類共通の脅威です。テロに対する多国間アプローチをさらに強力に推し進めることが必要です。私は、テロ対策に関するASEM会議(注)を、来年、我が国主催で開催することを表明します。
- 第二は、大量破壊兵器の拡散、その運搬手段の拡散です。この問題は、アジア・欧州のみならず国際社会全体の深刻な脅威です。不拡散体制という国際秩序が重大な挑戦を受けていることは、最近のイラン、北朝鮮の事例を見れば明らかです。この問題に対して、国際社会は、一致して、断固とした対応を行うべきです。
- 我が国の近くに位置する北朝鮮に関しては、核・ミサイルのみならず、市民の拉致という非人道的行為も忘れてはなりません。これは、我が国のみならず韓国や一部欧州諸国等、国際的な広がりを有する問題です。北朝鮮はひとり北東アジアの問題ではないのです。国際社会が一致して、北朝鮮に対し、核、ミサイル、そして、無辜の市民の拉致に関する懸念に応え、拉致問題の早急な解決に努力するよう訴えることが必要です。また、全会一致で採択された安保理決議1695の履行、特に六者協議への無条件かつ早期復帰、を求めるべきです。
- 第三に、海賊問題です。アジアにおいては、ヒトやモノの移動が活発となる中で、この面でアジアにおける協力が進んでいます。我が国は、海洋国として、この問題を重視し多国間の協力を主導してきました。その結果、アジア海賊対策地域協力協定が、去る4日、発効に至り、アジアの海を協力と安全の海とするための取り組みが始まっています。引き続き、各国と協力していきたいと考えます。
- このように我々は、共通の脅威を前に、国際協調で共に手を携え対処すべきです。我が国は引き続きASEMへの積極的貢献を行っていく考えです。
- 10年を迎えたASEMが、今日我々が直面する共通の挑戦に効果的に対処するための効果的な多国間アプローチの場として、より一層活性化されるよう、これからも皆様の活発なご議論を期待します。
(注)ASEMテロ対策会議
ASEMテロ対策会議は、ASEM第4回首脳会合(2002年9月、於:デンマーク)で採択された「国際テロリズムに関する協力のためのASEMコペンハーゲン宣言」に基づき、我が国を含む5カ国(日本、中国、デンマーク、ドイツ、スペイン)の共同提案により発足した高級事務レベル・専門家による会議。本件会議は、日中韓+ASEAN及びEU諸国を巻き込む唯一の対話・協力の場として、既に4回の開催を数え、我が国も、国際的なテロ対策協力の重要性にかんがみ、積極的に関与してきた。