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議長声明
ASEM第8回外相会合
2007年5月28-29日 於:ハンブルク
5月29日付最終版(仮訳)

(英文はこちら)(PDF)PDF

拡大したASEMの枠組みにおけるアジア-欧州協力

1. ASEM第8回外務大臣会合は、2007年5月28-29日、ドイツ・ハンブルクにて開催された。EU議長国のフランク・ウォルター・シュタインマイヤー・ドイツ連邦外務大臣が議長を務めた。初めて、世界のGDPの約50%、世界の人口のおよそ58%、世界貿易の60%を代表する45のASEMパートナーに拡大した形式にて外務大臣が会合した。

2. 2006年、ヘルシンキにて行われたASEM第6回首脳会合(ASEM6)が、次の2007年ドイツの外務大臣会合において新規参加パートナー、すなわち、ASEAN事務局、ブルガリア、インド、モンゴル、パキスタン、ルーマニアの参加のための内部手続の完了について報告するよう義務付けたことを受け、会合は、全ての候補がそれぞれの内部手続を完了したことに、満足の意をもって留意した。会合は、新規のASEMパートナーに特別の暖かな歓迎を表明し、次回2008年10月24―25日、中国におけるASEM首脳会合にて正式な参加を祝福することを期待した。

3. 外相は、幅広い共通の関心事項について、すなわち、地球規模の問題であるエネルギーと気候変動、テロ対策、不拡散、世界貿易、国際連合、及びアフガニスタン、イラン、イラク、朝鮮半島、中東といった国際情勢、並びにアジア及び欧州における最近の動向につき実りある議論を行った。外相は、ASEMパートナーの数多くの分野における共通の基盤に満足の意をもって留意し、ASEMの対話と協力、地球規模の課題への共同対処を探すユニークな、実際的、柔軟かつ包括的な場であるアジア欧州パートナーシップを最大限活用していくことに同意した。

4. 会合は、ASEMパートナーが、2006年9月11日、ASEM第6回首脳会合にて採択された「ASEMの将来に関するヘルシンキ宣言」及び「ASEMの作業方法及び機構体系」を踏まえつつ、1996年以降のASEM首脳会合及び閣僚会合の声明及び宣言の実施を継続するよう奨励した。

5. 会合は、2006年9月のヘルシンキ・サミット文書に明記されているとおり、国際的及び地球規模の課題に共同で対処するために、ASEMの枠組みにおけるアジア欧州協力パートナーシップを強化し、深化することに合意した。この背景のもと、会合は、特に2006年9月11日のASEM6の議長声明が、ASEM高級実務者(SOM)に対し、「アジア欧州協力枠組み2000(AECF2000)をASEMの第2の10年の要請及びプロセスの新たな展開に適合させることの要否について検討する」よう指示していることを想起した。会合は、ASEM-SOMに対し、2007年後半にアジアにおいて行われる次回会合までに、本件の進捗状況を報告し、その考察を次回中国で開催されるASEM首脳会合の準備段階において考慮するよう指示した。

国際的な進展とグローバルな課題

6. 会合は、アフガニスタン・コンパクトの枠組の中で、アフガニスタンの国と国民に平和、安定、安全及び繁栄をもたらすためにアフガニスタンを支持するとの、ASEMパートナーの継続的かつ長期にわたるコミットメントを再確認した。多くのことが達成された一方において、アフガニスタン政府と国民はいまだに安全、薬物対策、法の支配、人権、経済的及び社会的発展の分野で主要な課題に直面している。会合は、EUによる法の支配の拡充と連関した治安維持(EUPOLアフガニスタン)の分野に欧州安全保障防衛政策(ESDP)ミッションを派遣するとの決定を、アフガニスタンの国家警察力強化に対する重要な貢献として歓迎した。会合は、欧州委員会が、司法部門の改革のための補完的プログラムに着手したことを歓迎した。会合は、共同調整モニタリングボード(JCMB)を国際社会における、アフガニスタン政府との間の中心的調整機関であるとして、その中核的役割を認識した。会合はASEMパートナーに対し、アフガニスタンの安定が地域及び地域を越えて死活的に重要であることから、安定を促進するために同国を支援し、関与する方策を検討するよう奨励した。この文脈において、アフガニスタン及びパキスタン政府が、G8諸国の支援を得つつ両国の協力をさらに発展させようとしている努力を歓迎した。さらに会合は、4月3-4日、ニュー・デリーで開催された南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会合が、アフガニスタンを8番目のメンバーとして迎えたように、南アジアにおける地域協力が拡大されたことを歓迎した。

7. 会合は、国連安保理決議1747の全会一致の採択を歓迎した。会合は、イランに対して安保理決議1747の要請を遵守し、濃縮関連活動を停止するよう要請した。会合は、イランが濃縮関連活動を停止しておらず、同様にIAEAへの協力を一層制限しており、イランがその核計画がもっぱら平和利用の性格であることについて国際的な信頼を回復する必要があると結論づけた、2007年5月23日のIAEA事務局長報告の認定を重大な懸念と失意とともに留意した。会合は、イランが、関連する全ての国連安保理決議並びにIAEA理事会の決議及び要求事項を遵守するよう強く要請した。会合は、未解決の検証問題の解決のためには、IAEAとの間でより積極的かつ透明性の高い協力が必要であることを強調した。会合はさらに、保障措置下に置かれ、かつ核兵器不拡散条約上の義務に従ったイランの原子力の平和利用の権利を尊重しつつ、対話を通じた外交的解決とイランとの包括的取決めが緊急に必要であることを想起した。

8. 会合はイラクにおける継続的な不安定性について懸念を表明した。会合は、イラク政府と、イラクの統一、安全、安定及び繁栄を確保しようとする同政府の努力に対する支持を再確認した。会合はさらに、イラク政府が国民和解のアプローチを追求するよう奨励した。会合は、5月3及び4日、シャルム・エル・シェイクにおいて広く国際的な参加を得てイラクに関する会議が成功裏に開催されたことを温かく歓迎した。会合は、イラク政府が、政治、安全、経済及び社会側面の改革を促進するための「イラク・コンパクト」について野心的にコミットしたことを賞賛し、一方でこうしたコミットメントの実行がイラクとその国際的なパートナーとの関係について死活的に重要であることを強調した。会合は、また、5月4日、開催されたイラク安定化に関する周辺国拡大会合がさらに対話と協力を通じた地域の信頼醸成の持続的なプロセスに寄与することへの期待を表明した。加えて、会合は、2007年4月3-4日、インドネシアのボゴールで行われたイラクにおける和解に関するイスラム指導者国際会議について留意した。

9. 会合は、六者会合再開後の2007年2月13日に北京において達成された、「共同声明の実施のための初期段階の措置」に関する合意を歓迎した。会合は、関係当事者に対し、2月13日の合意を遅滞なく実施することを要請した。会合は、朝鮮半島における非核化は、引き続き、国際的な優先事項の一つであり、朝鮮半島及び北東アジアにおける長期的な平和と安定の維持のために不可欠であることを再確認した。会合は、すべての関係当事者に対し、朝鮮半島の迅速な非核化に向けて努力すること、及び2005年9月19日の六者会合共同声明を履行することを要請した。会合は、すべての国連加盟国による安保理決議1695及び同1718の完全な履行の必要性、並びに対話と交渉を通じた朝鮮半島の核問題の平和的解決へのコミットメントを再確認した。また、会合は、国際社会の人道上の懸念に関する問題に対処することの重要性を強調した。さらに、会合は、北朝鮮における人道状況に効果的に対処することの必要性を強調した。会合は、核問題を平和的に解決するための最も効果的なメカニズムである六者会合プロセスを継続することへの支持を表明し、また、その重要性を強調した。

10. 会合は、中東における包括的、公正かつ永続的な和平の実現に対する支持を再確認した。会合はさらに、関連する国連安全保障理事会決議及び「ロードマップ」に記載された原則を含む既存の合意に基づき、交渉によるイスラエル・パレスチナ紛争の解決に対する支持を再確認した。この関連で、会合は、国連、EU、米、露からなる中東和平カルテットが、最終的地位に関する有意義な交渉に向け、新たな政治プロセスの枠組みの中でイスラエル・パレスチナ間の具体的成果を目指す対話を促進するために払っている最近の努力に対し、支持を表明した。会合はまた、2007年3月のリヤドでの首脳会合において再活性化されたアラブ連盟の和平イニシアティブにより、対話が促進されることを希望する旨表明した。会合は、全ての当事者が和平プロセスを危険にさらす可能性のある行動を差し控えるよう要請した。

11. 会合は、大量破壊兵器(WMD)及びその運搬手段の拡散が、世界及び地域の安全に対する最も大きな脅威の一つとなっていることを改めて表明した。この観点から、会合は、関連する国際文書に従うこと及び各国が負っている不拡散義務の実効的な遵守の重要性を強調した。会合は、関連する国連及びその他のアジア地域フォーラム(ARF)などの多国間の協議体による努力を歓迎した。

12. 会合は、国連を中心とする公平かつ公正な法に基づく国際システムへのASEMパートナーの支持を再確認した。会合は、2004年4月18日のキルデアにおける多国間主義に関するASEM宣言を想起するとともに、ASEMパートナーに対し、キルデア文書の実施を継続すること、及び、代表性、透明性、及び効果を強化するための国連主要機関の改革を含む国連改革を推進するため協力することを慫慂した。

13. 会合は2006年のASEMヘルシンキ首脳会合で採択された「気候変動に関するASEM6宣言」を想起し、2007年4月24-26日にコペンハーゲンにて成功裏に開催されたASEM環境大臣会合及び3月ジャカルタで開催された準備会合を含め、その迅速なフォロー・アップを賞賛した。同会合では、世界の天然資源の持続可能な管理のために、より効果的かつ統合的なアプローチを確保するとの観点から、国際環境ガバナンスの強化のための全世界的努力の重要性を認識した。会合は更に、気候変動、持続可能なエネルギーの利用を促進する技術協力を含む持続可能なエネルギー、再生可能及び代替エネルギーの開発と利用、生物多様性の喪失及び森林減少に対処する措置に関するより緊密なASEM協力への支持を慫慂し、確認した。会合は、それぞれの国の事情に応じ、特に再生可能エネルギーとエネルギー効率のための投資の保証を確保する上で、目標値設定の果たす役割について留意した。会合はまた、エネルギー憲章条約の諸原則の促進を含め、エネルギー安全保障、及び安定的、効果的で透明な国際エネルギー市場のための多国間の措置に関するより緊密なASEM協力への支持を慫慂し、確認した。会合は更に、共通だが差異ある責任の原則に従って、気候変動に対処するためにグローバルかつ包括的な2013年以降の気候変動レジームの必要性を強調し、これに対するASEMパートナーの建設的な貢献を期待した。この観点から、会合は、2007年12月のバリにおける国連気候変動会議の重要性を強調した。交渉は、京都議定書の第1期間と第2期間の間に時間的空白ができることを避けるために、2009年までに完了しなければならない。会合は、第4次気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告の科学的根拠を引用し、緊急に行動することの必要性を強調し、排出を削減するための将来の行動には、必要な全体としての努力についての共通の理解が有用であると認識した。会合は、さらに、ベトナムが2007年9月、ハノイにてエネルギー安全保障政策に関するASEM第1回フォーラムの開催を提案したことを歓迎した。

14. 会合は、2007年1月のセブにおける第2回東アジア首脳会議の成果を歓迎した。会合は、東アジアのエネルギー安全保障に関するセブ宣言に特別な関心をもって留意した。その宣言は、地球温暖化と気候変動に緊急に取り組む必要性を認識し、バイオ燃料といった再生可能エネルギー開発強化の必要性に加えて目標及び措置が明記されている。会合は、さらに、第2回東アジア首脳会議が優先的協力分野、すなわちエネルギー、教育、金融、鳥インフルエンザ、防災、及び貧困削減において具体的な事業を開始することに合意したことに留意した。

15. 会合は、気候変動の安全保障に与える影響、特に脆弱な国家間の紛争を悪化させる可能性について議論した。会合は、英国の発議により、2007年4月、国連安全保障理事会が、エネルギー、安全保障、気候変動について議論したことに留意した。会合は、エネルギーと気候変動が外交及び安全保障政策上の重要な挑戦であることに留意した。

16. 会合は、ASEMパートナーのテロとの闘いの取組に加わる決意及び、いかなるテロ行為も正当化できないことを再確認した。会合は、2006年9月8日、国連総会において全会一致で採択された国連グローバル・テロ対策戦略及び関連する条約と決議の実施を支持した。会合は、国連包括テロ防止条約(CCIT)の可能な限り早期合意に引き続きコミットした。会合は、また、2002年のASEM協力プログラム及び2003年に中国・北京で始まり、2004年の独・ベルリン、2005年のインドネシア・スマラン、2006年のデンマーク・コペンハーゲン、2007年5月15-16日の日本・東京でのASEM第5回テロ対策会議と続く一連のASEMテロ対策会議によるテロ対策分野におけるASEM協力を賞賛した。会合は、2008年にマドリードで予定されている次回のASEMテロ対策会議の開催を期待した。会合は、テロ対策の知見、経験、戦略を交換し、アジア・欧州間の協力を強化するための実践的な措置を引き続き洗い出すようASEMパートナーに促した。会合は、国際法、特に国連憲章、人権尊重及び国際人道法に従って行われる国際社会によるテロとの闘いにおける包括的なアプローチの重要性を強調した。会合は、また、ASEANテロ防止条約の署名を歓迎した。会合は、また、ジャカルタ法執行協力センター(JCLEC)、クアラルンプールの東南アジア地域テロ対策センター(SEARCCT)、バンコクの国際法執行アカデミー(ILEA)による活動が、専門的知識及び情報共有に関する地域ネットワークの創設に対する支援、特にキャパシティ・ビルディングの支援を含め、極めて有益なものであることに、満足の意をもって留意した。

17. 会合は、活発かつ継続している金融問題に関するASEM協力に満足をもって留意し、2008年に次回のASEM財務大臣会合を主催するとの韓国の申し出を歓迎した。

18. 会合は、ドーハ・ラウンドの、野心的かつバランスがとれ、包括的な全体の成果へのASEMパートナーのコミットメントを再確認し、ドーハ・ラウンドの開発アジェンダにつき実行する必要性を強調した。会合は、さらに、全てのWTO加盟国に対し、世界貿易の発展と開発途上国の世界経済への統合をさらに支援しながら交渉を成功裡に妥結させるよう求めた。会合は、ドーハ開発アジェンダが引き続き優先事項であることを再確認しつつ、WTOの土台の上に立脚してEUとアジア側参加国とが経済協力を強化することを支持した。会合は、持続可能な開発を促進し、グローバリゼーションの社会的側面を強化するとのコミットメントを再確認した。会合は、さらに、2007年5月4日、ブルネイにおいてASEAN-EU間のFTA交渉が開始され、EU-韓国間のFTA交渉が5月6日に開始されたことを歓迎した。

19. 会合は、行動志向の計画と政策対話を通じたアジアと欧州との間の経済協力の深化を目的とした2004年10月のハノイにおけるASEM5において承認された「より緊密なASEM経済パートナーシップ」を想起した。この点に関し、会合は、インドネシアが次回経済閣僚会合の開催を提案したことを歓迎するとともに、その準備会合である貿易及び投資に関する高級実務者会合SOMTIの開催を期待した。会合は、さらに、ASEMの経済対話と協力がASEMで達成された具体的な成果の好例になる潜在的可能性を強調した。会合は、経済開発の促進における中小企業の重要な役割を強調し、2007年10月、中国で開催される中小企業大臣会合及び貿易投資フェアを歓迎した。

20. 会合は、ASEMのより緊密な経済パートナーシップの育成における欧州とアジアの運輸システムの重要性を認識した。この観点から、会合はリトアニアが2009年、ビリュヌスにおいて第1回運輸協力閣僚会合を開催すると提案したことを歓迎し、ASEMパートナーがこのプロセスに活発に取り組むよう促した。

21. 会合は、科学技術分野におけるASEM協力の開始、及び2006年のベトナムにおける第1回情報通信技術(ICT)閣僚会合に満足の意をもって留意した。会合は、2007年/2008年に欧州委員会が開催する予定のICT高級実務者会合のようなフォロー・アップ活動を促し、歓迎した。

22. 会合は、2006年12月、フィンランドのクオピオにおいて開催されたASEM第5回移民管理局長会合が、幅広い項目について包括的かつ生産的な意見交換が行われる良い機会となったことに留意した。会合は、またシンガポールと英国の共催により2007年3月にシンガポールで開催されたASEMバイオメトリクス国境管理会合において実務的な協力が発展したことに留意した。

アジアおよび欧州の最近の展開

23. 会合は、2007年1月13日に、フィリピンのセブで開催された第12回ASEAN首脳会議の成果、特にASEAN憲章の青写真に関するセブ宣言、及び2015年までのASEAN共同体創設加速に関するセブ宣言を歓迎した。会合は、地域の平和と安定に資するアジア太平洋における地域統合と協力への支持を表明した。

24. 会合は、ASEAN地域フォーラム(ARF)における協力の強化を歓迎した。会合は、ASEANが推進力となり、アジア太平洋地域における主要な政治安全保障フォーラムであるARFへの支持を再確認し、ARFのメンバーが信頼醸成措置と予防外交の取組の実施に関与するとともに、トラックIとトラックIIの活動の連携及びARFとその他の地域・国際安全保障機関との連携を強化するよう呼びかけた。

25. 会合は、EUとASEANとの間の30年に及ぶ協力に満足の意をもって留意した。会合は、2007年3月14日及び15日、ドイツのニュルンベルグで開催された第12回EU-ASEAN外相会議にて採択された「EU-ASEAN協力の促進に関するニュルンベルグ宣言」が、地域機関間のユニークなパートナーシップの今後10年の深化における主要な一歩を記したとして歓迎した。会合は、2007年後半に、そのフォロー・アップとなる行動計画が承認されることとともにASEAN-EU関係30周年記念首脳会合が本年11月にシンガポールで開催されることを期待した

26. 会合は、タイが、完全な議会制民主主義を再確立するとの意図表明、特に9月に国民投票にかける新憲法の起草及び2007年12月に予定される総選挙の実施を歓迎した。

27. 会合は、欧州憲法条約の進捗、EUの近隣政策、グローバル化した世界において域内および対外政策をその価値に基づいて形成するEUの戦略、および2007年3月25日のベルリン宣言に関する報告に留意した。

28. 会合は、ミャンマーにおける状況について率直に意見を交換した。会合は、宣言された文民のそして民主的な政府への移行について目に見える進展が欠如していることについて深い憂慮の念を表明した。会合は、ミャンマーに対し、国内の融和に向けてより大きな進展を生じさせるとともに、建設的にすべての政党と民族を対話に参加させるよう慫慂した。加えて会合は、政党に課された制限の早期解除、及びアウン・サン・スー・チー女史を含む監禁状態にある者の早期の釈放を求めた。会合は、フィリピンのセブにおける1月13日の第12回ASEAN首脳会議における議長声明を歓迎した。会合は、ミャンマー代表団首席による民主化へのロードマップの実施に関する最近の進展に関する説明に留意した。会合は、2007年2月、ミャンマーと国際労働機関との間で、強制労働の申し立てについて対処する機構を立ち上げることにつき、合意が成立したことに留意し、ミャンマーがその実施を約束するよう慫慂した。会合は、国連事務総長が助力を継続するために行っている努力を評価し、イブラヒム・ガンバリ氏の特別顧問任命を歓迎した。会合は、ミャンマー政府が、ASEAN、国連、国際社会および国際人権機関、NGOとも建設的に関与し、ミャンマー国民が支援の利益を受けられるようにするよう求めた。

ASEMの社会的側面

29. 会合は、2006年9月、ドイツのポツダムで行われたASEM第1回労働雇用大臣会合によって着手されたASEMの社会的側面の表明を歓迎し、グローバル化の社会的側面を強化するための協調した努力の重要性を強調した。会合は、インドネシアが速やかにフォロー・アップを行い、第2回労働大臣会合を2008年9月バリにて開催し、その準備のため高級実務者会合を2007年末に行うことを賞賛した。

30. 会合は、2008年春、中国の共催により、ドイツで開催が予定されているASEM第1回教育大臣会合及び成功裏に継続しているデンマークの「生涯教育イニシアティブ」のような関連活動に満足の意をもって留意し、グローバル化した世界において、質の高い人材を育成する教育と訓練が軸となる役割を有し、引き続き経済的社会的発展の鍵となる要因であることを確認した。会合は、ベトナムが2009年にASEM第2回教育大臣会合を主催するとの提案を行ったことを歓迎した。

31. 会合は、さらに、労働・雇用に関する地域的・国際的協力、特に職業訓練、生涯教育、移民問題、ディーセント・ワークの実施と職業に関する健康及び職場の安全についての協力を歓迎した。この文脈で、会合は、フィリピンのセブで開催された第12回ASEAN首脳会議において署名された移民労働者の保護と権利の推進に関するASEAN宣言に留意し、2007年7月9-11日、ブリュッセルで開催される第1回移民と開発に関するグローバル・フォーラムに期待した。

ASEM協力:文化と文明間の対話

32. 会合は、無知と偏見を防止し克服する手段として、また相互理解と寛容及び文化的多様性を推進する不可欠な手段として、アジアと欧州の人々の対話と協力の更なる推進に対する約束を繰り返し表明した。会合は、ASEMパートナーに対し、UNESCOの文化多様性条約の批准と実施を求めた。この文脈で、会合は、マレーシアが2008年にASEM第3回文化大臣会合を主催するとの提案を歓迎し、また、ASEMパートナーによるそれ以前の取組みとして、特に、中国とフランスが第1回及び第2回文化大臣会合をそれぞれ2003年、2005年に開催したことを歓迎した。会合は、さらに、ポーランドが第4回文化大臣会合の開催を、ベトナムが第5回文化大臣会合の開催を提案したことを歓迎した。会合は、また、観光がアジア欧州間の相互理解と文化多様性の尊重に貢献することに合意した。この背景から、会合は、ベトナムによる2008年ハノイにおける観光フォーラムのイニシアティブを歓迎した。

33. 会合は、ASEM異なる信仰間の対話が、世界の宗教に対するより良い理解と尊重に貢献するとともに、政府、及び宗教団体を含む市民社会が一堂に会して、異なる信仰間対話が平和のための効果的な手段であることを訴える確固たる基盤を提供する死活的重要な役割を果たすことから、その重要性を強調した。会合は、2005年、インドネシアで、また2006年、キプロスで行われた2つの異なる信仰間の対話の成果を歓迎し、「バリ宣言」に述べられた平和、共感、寛容の共通する価値を解釈し、実行していくこと、特に教育、文化、メディア、宗教と社会の4つの提言された分野において実行していくことの重要性を強調した。この観点から、会合は、2006年、キプロスのラルナカにて承認されたラルナカ行動計画の実施に対する支持を表明し、2007年6月、中国で行われるASEM第3回異なる信仰間対話、及び2008年オランダにて開催される第4回異なる信仰間対話に期待した。会合は、2008年のスロベニアのEU議長国期間中に、異なる信仰間対話が優先事項の一つとなることに満足の意をもって留意した。会合はまた、アジア欧州財団(ASEF)によって実施された、異なる信仰間の活動を満足の意をもって留意し、ASEMパートナー、ASEF及びアジアと欧州の市民社会がこの分野において引き続き活動することを奨励した。さらに、会合は「インドネシアと英国によるイスラム顧問グループ」等の二国間のイニシアティブ及び国連による「文明間の同盟」等の文化と文明間の対話と協力を促進する多国間の努力を歓迎した。

アジア欧州財団(ASEF)の10年:実績の調査と将来の発展

34. 会合は、ASEF事務局長の報告について満足の意をもって留意した。会合は、ASEFがアジアと欧州の人々の対話と協力を、知的交流、文化交流、人と人との交流を通じて促進していることに対する支持を再確認し、特に若者の参加と市民社会への働きかけの重要性を強調した。会合は、ASEMパートナーによる財政的貢献の継続を歓迎し、まだ貢献していないパートナーに対してASEFの業務に関与し、理事を任命し、財政的貢献を行うよう慫慂した。さらに会合は、ASEMの可視性を高めるために、ASEFの能力を最適化する必要性を強調した。会合は、さらに、ポーランドが2007年10月、ASEF理事会を主催するとの提案を歓迎した。

35. 会合は、人権、異なる信仰間の対話、青年交流、芸術、文化、メディアにおける協力といった主要な問題に関する対話の推進において、ASEFが果たした貴重な役割について認識した。会合は、2007年9月にカンボジアで開催される人権に関するASEM非公式セミナーに期待した。会合は、さらに、ドイツ政府の支援により、ハンブルグにおけるASEM第8回外相会合に関連して開催された「第4回アジア欧州財団主催ジャーナリスト・セミナー」の枠組みにおいて、ASEM参加国からジャーナリストが参加していることを歓迎した。

2008年中国におけるASEM第7回首脳会合の準備

36. 中国は、2008年10月24-25日、北京で開催されるASEM第7回首脳会合の準備状況について説明した。会合は、中国のASEM7に対する努力に感謝し、支持を表明した。

ASEM協力の将来と将来の会合

37. 会合は、広くダイナミックなアジアと欧州のパートナーシップと協力を反映した数多くのASEMのイニシアティブ及び協力について留意した。会合は、欧州委員会が、ヘルシンキで行われたASEM第6回首脳会合において承認された経済及び金融、環境、雇用及び社会的分野、文化的多様性の促進と文化間の交流等の優先政策分野に関するパートナーとの対話を進めるための作業設備を設立する意志があることを歓迎した。会合は、さらに、欧州委員会の財政支援により実施されたASEMの可視性に関する調査に留意した。会合は、すべてのASEMパートナーが、活発にASEMプロセスに関与することを継続し、アジアと欧州の人々の利益となる対話と協力の機能的かつ広範な基盤と触媒としてのASEMの枠組みを最大限活用することを奨励した。

38. 会合は、ベトナムが、第9回外相会合を2009年に開催する意思があることを歓迎した。

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