- 第14回日ASEAN首脳会議は,2011年11月18日,インドネシアのバリにおいて,ユドヨノ・インドネシア大統領の議長の下,開催された。
- ASEAN各国首脳は,野田総理の総理就任に対し心からの祝意を表するとともに,日・ASEAN首脳会議への初参加を歓迎した。
- ASEAN各国国民は,2011年3月11日に日本を襲った東日本大震災と津波に関し,日本の悲しみを共有する。我々は,強靱な精神を持ち続けた,日本国民を賞賛するとともに,日本の効率的で迅速な復旧の進展に対し賛辞を送った。我々は,2011年4月9日に行われた日・ASEAN特別外相会議の成果の実施に向けた我々のコミットメントを再確認した。
- 我々は,ASEAN統合と共同体構築に対する日本の貢献を評価するとともに,地域の平和,安定,繁栄の強化を基盤とする我々の長期にわたる友情と戦略的パートナーシップの重要性を再確認した。我々は,「共に繁栄する日本とASEANの戦略的パートナーシップの強化のための共同宣言」(バリ宣言)と「行動計画」(2011―2015)の採択を歓迎した。ASEANと日本は,次の5つの戦略の下,両者の協力を一層強化することを決意する。
- (1)地域における政治および安全保障協力の強化
- (2)ASEAN共同体構築に向けた協力の強化
- (3)日本とASEANの紐帯を強化するための双方の連結性の強化
- (4)より災害に強靱な社会の構築
- (5)地域の共通課題及び地球規模の課題への対処
- 我々は,自然災害の発生に備え,緊密な協力と調整を確保するASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)の公式発足を歓迎する。ASEAN各国首脳は,2011年7月の日・ASEAN外相会議の際に日本が提案した「ASEAN防災ネットワーク構築構想」の進展を評価した。
- 我々は,2011年3月,インドネシアのマナドで実施されたARF災害救援実動演習(ARF・DiREx)の成功を歓迎し,本演習が定期的に開催されることに期待を表明した。ASEAN各国首脳は,東日本大震災の経験と教訓の共有を目的として,2012年に被災地である東北地方で国際会議を開催し,また2015年に第3回国連防災世界会議を主催するとの日本の提案を歓迎した。
- 我々は,2011年2月9日~11日に,プノンペンにおいて,第6回日・ASEANテロ対策対話が開催されたことを歓迎し,対話が今後も続けられることを希望した。我々は,ASEAN海洋フォーラムが設置されたことに満足の意を表した。
- ASEAN各国首脳は,日本がミャンマーにおける総合開発調査の実施を決定したことは,ASEAN連結性の向上にとって大きな貢献となるものであるとし,これに謝意を表した。日本は,2014年にミャンマーがASEAN議長国に就任することへのASEANの決定を歓迎した。
- ASEAN各国の首脳は,2013年3月末までにASEAN諸国と日本との間で約3000人の青少年交流プログラムを実施するとの日本のアイディアを歓迎した。
- また,我々は,ASEAN統合に向けた取組やその他の成長地域の枠組みの中で,能力開発を通じた開発格差の是正に対する日本の支援を強調した。
- 我々は,海洋の問題,とりわけ航行の自由,航行の安全,妨害なき商業活動及び1982年の国連海洋法条約を含む国際法に基づく,紛争の平和的解決を確保するため,力強い協力を構想した。この関連で,我々はASEAN海洋フォーラム,日ASEAN交通大臣会合,日ASEAN交通次官級会合,日ASEAN次官級交通政策会合及びその他の関連フォーラムの成果を支持するとともに,それらのメカニズムの活用を通じた協力を促進することを確認した。
- 我々は,日ASEAN包括的経済連携協定(AJCEP)におけるサービス貿易及び投資における交渉の実質的成果を歓迎した。
- 我々は,日・ASEAN経済大臣,ASEAN事務局長,並びに在ASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)との対話を通じた,ビジネス環境改善に向けた取り組みを評価した。我々は,2012年3月に行われる予定のASEANの経済大臣による日本への「ロードショー」を歓迎した。
- ASEAN各国首脳は,「陸の回廊」,「海の回廊」及び「ASEAN全域ソフトインフラ案件」との構想の下,連結性強化に対する日本の強いコミットメントを高く評価した。この関係で,ASEAN各国首脳は,「ASEAN連結性強化に向けたフラッグシップ・プロジェクト」を歓迎した。また,ASEAN各国首脳は,インフラ分野における人材育成のため,東アジアから1,000人の人材を日本に招聘するとの日本のイニシアティブを評価した。ASEAN各国首脳は,物流の改善に向けたイニシアティブを含む交通ネットワークの整備に関する日本の協力や,ASEAN各国との「オープン・スカイ」の拡大に向けて進められている取組を高く評価した。
- 我々は,ASEANと日本両者において,イノベーションの促進を通じた持続可能な開発の重要性を認識した。この観点から,我々は,二国間オフセットクレジットメカニズム,中小企業の資金調達の改善,スマートコミュニティの開発,ASEANサステイナブル・ケミカル・セーフティ・プランの推進,及び知的財産保護の分野における日本政府の様々なイニシアティブを歓迎した。
- 我々は,今後10年間の日・ASEAN経済関係のためのロードマップの進展を支持した。
- 日本国首脳は,地域の平和と安全の維持に一層貢献する東南アジア非核兵器地域条約議定書への核兵器国の加入を可能とするための,ASEANと核兵器国との交渉妥結を歓迎した。
- 朝鮮半島の非核化を平和的方法で達成する重要性の認識に立ち,我々は関係者が安保理決議に基づく措置を着実に実施し,六者会合の再開に向けた生産的な環境を構築するとともに,拉致問題等,国際社会において人権問題に取り組むことを奨励した。
- 我々は,継続中の国連改革プロセスを含め,国連の枠組みにおいて適当な場合に協力を推進することを再確認した。
(注)議長声明(原文)は,議長の責任において発出されるものである。