(写真提供:内閣広報室)
10月29日、ベトナム・ハノイ(国立会議場)において、約1時間にわたり、日・ASEAN首脳会議が開催されたところ、概要以下の通り(議長:ズン・ベトナム首相、我が国より菅総理出席)。
1.日・ASEAN関係のレビューと将来の方向性
- (1) 冒頭、菅総理より、自然災害の被害を受けたインドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン及びミャンマー各国に対し、お見舞いの言葉を述べた。続いて日中関係に触れ、日中両国は「戦略的互恵関係」の推進で一致しており、地域の安定と繁栄のため、両国間の懸案に冷静に対処し、解決を図っていく旨、説明した。また日米関係について、9月の日米首脳会談に言及し、日米同盟がアジア太平洋地域の安定と繁栄のためにも重要であるとの認識に立ち、日米同盟を幅広い分野で深めていくことで一致した旨、紹介した。
- (2) また、菅総理より、ASEANの安定と繁栄が、日本のみならず東アジアの安定と繁栄にとって重要との基本認識の下、ASEANが進める「連結性」強化へのオールジャパンによる支援、日ASEAN関係を規定する新たな「宣言」と行動計画の策定作業の開始につき言及した。また地域協力として、経済関係の強化、環境・気候変動、防災、人と人との交流の4分野に焦点をあて、それぞれ具体的施策につき言及した。
- (3) ASEAN側参加国からは、菅総理の再任と初めてのASEANとの会合参加を歓迎するとともに、地域の平和、安定及び繁栄の拡大における日本とASEANの長年にわたる友好的かつ戦略的パートナーシップの重要性につき述べられた。また、ほとんどの国より、日本の「連結性」強化に対する支援表明に対し謝意と期待が述べられるとともに、新たな「宣言」と行動計画の策定作業開始を歓迎する発言があった。さらに、日ASEAN協力のこれまでの成果と世界経済・金融危機の中にあっても、日本との貿易・投資のレベルが維持されたことを高く評価した。加えて、テロ・海賊対策、防災、気候変動といった分野における日本の高い技術力を生かした協力、省エネ、クリーンエネルギー分野の協力に対し、期待が述べられた。
2.地域・国際情勢に関する意見交換
菅総理より、まず11月のAPEC首脳会議に言及し、アジア太平洋の将来像を共有し、地域経済統合、成長戦略に焦点を当てて具体的成果を出すべく、ASEAN参加国首脳の積極的な協力を要請した。また、地域の相互依存が深まる中、国際社会の共通ルールの遵守の重要性を指摘し、周辺海域の平和と安定のため、日本とASEAN各国の間で対話を強化し、強固な信頼関係を醸成したい旨述べた。さらにバリ民主主義フォーラムなどを通じ、地域の平和と安定の基盤となる民主主義や人権尊重といった共通の価値を定着させたい旨述べた。