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日ASEAN首脳会議(概要)
平成19年11月21日
11月21日午前8時34分から約1時間、シンガポールにおいて、日ASEAN首脳会議が開催されたところ、概要以下のとおりです(ASEAN各国首脳、日本は福田康夫総理出席。藪中外務審議官同席)。
1.今次会議の意義
日ASEAN包括的経済連携協定交渉の妥結を通じ、東アジア経済統合を推進していくことを表明。また、ASEANが「ASEAN憲章」を採択したことを歓迎するとともに、域内格差是正、制度整備等への協力を通じて、ASEAN統合への日本の協力姿勢を改めて表明。
2.首脳会議概要
議長国であるシンガポールのリー・シェンロン首相、続いて福田総理、更にASEAN各国首脳が発言。福田総理の発言要旨及びASEAN各国首脳の発言概要は以下のとおり。
(1)福田総理
- 今年はASEAN創立40周年、福田赳夫元総理の日本とASEANの「心と心のふれあい」に基づく関係の重要性を謳った演説の30周年。日ASEAN関係をいっそう強固なものにし、戦略的パートナーシップの深化・拡大に努める。
- ASEAN憲章の採択を歓迎。発効後にはASEAN担当大使の任命に向けた準備を開始したい。
- 日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定の交渉の妥結を歓迎。早期発効に向けてASEAN各国の協力に期待。
- 東アジア包括的経済連携構想の研究を促進。東アジア・ASEAN経済研究センターが正式に設立に合意されたことを歓迎。
- ASEANの域内格差是正を目的とするメコン地域開発支援を継続。
- 鳥インフルエンザ対策として、ASEAN各国に計50万人分の抗ウィルス剤を新たに配備することを表明。
- 「日ASEANテロ対策対話」を通じてテロ対策分野での協力を促進。
- 日ASEAN環境対話を設立し、環境協力プロジェクトを推進。
- 海上の安全確保、海の持続可能な利用、海上交通の促進を通じた域内発展を目指し、今後5年間で3億ドル規模の資金協力及び300人以上の人材育成を実施する。
- 昨年提唱された「21世紀東アジア青少年大交流計画」の下、今月から第一陣として約600名のASEAN各国の高校生が訪日。また、元日本留学生評議会との共同事業を拡大。
- 「日ASEAN賢人会議」を早急にスタートさせ、将来の日ASEAN関係の方向性等の提言を来年の首脳会議に報告させたい。
- 日本アセアンセンターの機能強化のため、同センターの設立協定改正の早期発効に向け協力を得たい。
- 北朝鮮問題については、北朝鮮の非核化の進展とともに拉致問題を含めた日朝協議を進めたいので、ASEAN各国が北朝鮮との協議や対話の機会に、日朝協議の進展について働きかけていただきたい。
(2)ASEAN各国首脳の主な発言
- 福田総理の日ASEAN首脳会議初参加を歓迎。
- 日本の対ASEAN支援を評価。特にメコン地域開発やIAIへの支援など域内経済格差の是正、ASEAN共同体構築に対する支援を歓迎。
- 鳥インフルエンザ、エネルギー、テロ・海上安全、国境を越える犯罪、環境、石油価格等の問題に対する日本の協力に感謝。特にエネルギー及び環境分野では日本の知見を学びたい。また、両分野での日本の技術移転を期待。日本が提案する「美しい星50」の趣旨に賛同。
- AJCEP協定の交渉妥結を歓迎。早期発効を目指す。
- 日ASEAN賢人会議による将来の日ASEAN関係の方向性等に関する提言に期待。
- 人的交流の拡大にも期待。
- 北朝鮮問題については、六者会合を通じた北朝鮮の非核化への日本の努力を支持。拉致問題が日本にとって重要であることを理解する。