7月11日,カンボジア・プノンペン(首相府(ピース・パレス))において,9時30分から約1時間20分にわたり,日・ASEAN外相会議が開催されたところ,概要以下のとおり(共同議長:玄葉大臣,マルティ・インドネシア外相(インドネシアは対日調整国))。
1.日・ASEAN協力関係のレビュー及び将来の方向性
(1)日・ASEAN協力40周年,日・ASEAN特別首脳会議
玄葉大臣より、来年2013年が日・ASEAN協力40周年に当たることから、来年1年間を通じ、日・ASEAN双方において記念行事を実施し盛り上げていきたい旨提案し、これに対し、ASEAN各国から日本の提案を支持する旨の発言があった。
また玄葉大臣より,40周年の機会に,日本において日・ASEAN特別首脳会議を開催したい旨提案したのに対し,ASEAN各国から合意が得られた。この関連で玄葉大臣より,来年に向けて,日本とASEANの有識者による知的対話の枠組みを作り,日本とASEANとの協力の中長期的なビジョンについて議論してもらい,来年7月の日・ASEAN外相会議において,結果を報告してもらうことを考えている旨説明し,ASEAN各国から歓迎された。
(2)日本の対ASEAN協力に対する評価
ASEAN側より,過去40年の日・ASEANの協力の進展を評価する旨,特にチェンマイ・イニシアティブの今般の強化に際して日本が果たした役割,また食糧安全保障のためのメカニズムであるAPTERR設立に向けての日本のイニシアティブに対して感謝する旨発言があった。
(3)バリ宣言及び行動計画
ASEAN側より,昨年採択されたバリ宣言及び行動計画が順調に成果を上げていることに対する評価があった。玄葉大臣からは,昨年11月の日・ASEAN首脳会議で採択された「バリ宣言」と「行動計画」の着実な実施を通じ,2015年のASEAN共同体構築を積極的に後押しする旨表明した。
(4)連結性強化
玄葉大臣から,昨年の日・ASEAN首脳会議で野田総理が公表した「フラッグシップ・プロジェクト」の着実な実施を含め,引き続き積極的に支援したい旨述べたのに対し,ASEAN側より,日本の連結性強化に向けた積極的な支援方針に対する感謝の意が述べられ,今後さらなる協力の進展への期待が表明された。
(5)防災協力
玄葉大臣から,AHAセンター(ASEAN防災人道支援調整センター)に対するICT機材の導入に加え,ASEAN各国にも機材供与を実施予定である旨,また今般,緊急備蓄制度の構築と備蓄物資の提供に関する支援の実施を決定した旨説明し,ASEAN側より歓迎の意が表された。更に本年8月末に防災に関する知見を共有するためのワークショップを実施予定である旨説明した。これに対しASEAN側より,日本の協力への感謝が述べられた。
また玄葉大臣より,「ASEAN防災ネットワーク構築構想」の下,そのハブとしてのAHAセンターの能力強化や二国間での協力の他,「宇宙から僻地」に至るネットワーク強化の取り組みを支援する方針である旨説明した。また今後,宇宙分野での更なる協力の可能性を検討したい旨発言し,ASEAN側より歓迎された。
(6)青少年交流
ASEAN側より,JENESYSの枠組みによる青少年交流への感謝とともに,本年度実施しているキズナ強化プロジェクトに対し謝意が表された。また,青少年交流の分野における日・ASEAN協力の更なる強化につき,いくつかの国から期待が表明された。これに対し玄葉大臣より,キズナ強化プロジェクトにより,ASEANの青少年約2,500名を今後招聘する旨表明し,ASEAN側より歓迎された。
(7)その他の協力
玄葉大臣より,ポストMDGsに対し,ASEANと協力し建設的に貢献したい旨,また質保証を伴う協働協力プログラムの実施を通じ,ASEAN諸国と大学間交流を促進していく旨表明した。
2.地域・国際情勢に関する意見交換
- (1)玄葉大臣より,海洋の問題につき,すべての関係国が,関連国際法を遵守するとともに,対話を通じて問題を平和的に解決するべきとの我が国の基本的考えを述べた。
- (2)また朝鮮半島情勢について,玄葉大臣より,拉致,核,ミサイルといった諸懸案に対する我が国の立場を説明し,ASEANとの協力姿勢を確認した。
- (3)この他,海洋協力,国連安保理改革,中東和平に関する我が国の立場等について玄葉大臣より発言があった。