7月21日、インドネシア・バリ(国際会議場)において、11時40分から約1時間に亘り、日・ASEAN外相会議が開催されたところ、概要以下の通り(議長:マルティ・インドネシア外相(インドネシアは対日調整国)、我が国より松本大臣出席)。
1.日・ASEAN連帯のレビュー
- (1)冒頭、松本大臣より、一昨日(19日)行われたASEAN外相会議における共同コミュニケにおいて、震災を受けた日本に対する連帯の表明とともに、復興に向けて励ましの言葉をいただいたこと、及び連結性支援、防災協力をはじめ、日本のASEANに対する各種協力に対し高い評価をいただいたことに感謝を表明。また、日本が「Open for Business and Travel」であり続けており、一日も早く「開かれた復興」を実現するとの決意を表明。
- (2)また松本大臣より、震災直後の4月9日に行われた日ASEAN特別外相会議において提案した防災分野の協力強化策の進捗状況につき、次の通り説明した。
まずAHAセンター(アハセンター(ASEAN Coordinating Center for Humanitarian Assistance on Disaster Management): ASEAN防災人道支援調整センター)に対する支援として、通信機材・備蓄物資の供与、専門家の派遣に加え、センター全体の運営を支援する防災専門家を派遣して、同センターの運営面を含め全面的に支援していく考えを説明した。
また、情報共有システムの構築や人材育成等、ASEAN全体の防災能力強化に向けた広域的かつ包括的な構想である「ASEAN防災ネットワーク構築構想」を新たに提案した。
さらに松本大臣より、ARF災害救援実動演習の定期開催との提案については、多くのARFメンバー国が受け入れていることに謝意を表明した。
加えて今次震災の経験・教訓や人間の安全保障の考えを踏まえ、国際防災協力を推進するために2012年に大規模自然災害に関するハイレベル国際会議を開催することを説明、各国に参加を呼びかけた。
- (3)続いて松本大臣より、ASEAN共同体構築の鍵となるASEAN連結性強化のための我が国の支援方針について説明し、インドシナ半島、ASEAN島嶼部、ASEAN全域の連結性強化のため、引き続き強力に支援していく考えを表明した。また、中間管理職人材の育成を通じた民間投資の誘致を図る「ASEAN広域専門教育サービスネットワーク」の構築を進めていく考えを表明した。
- (4)また松本大臣より、本年11月の日・ASEAN首脳会議で採択が予定されている、日・ASEAN間の新たな共同宣言と行動計画は、地域及び国際社会の変化、また今回の大震災で一層強固となった日ASEAN間の絆と連帯を踏まえ、地域・国際社会の課題により積極的に取り組もうとするASEANの姿勢を後押しし、日ASEAN関係の新たな協力関係の方向性を示すものとしたい旨述べると共に、首脳会議での採択に向け、ASEANと協力し策定作業を加速化させていきたいとの考えをASEAN各国に伝達した。
2.地域・国際情勢に関する意見交換
- (1)会議においては、海上の安全保障,朝鮮半島情勢,国連安保理改革、中東・北アフリカ情勢・中東和平に関する意見交換が行われた。
- (2)朝鮮半島情勢については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決に向け、北朝鮮から具体的行動を引き出すべく、ASEAN各国との連携を確認した。
- (3)また国連安保理改革につき、改革実現に向け、日・ASEAN間の協力を強化していきたい旨、ASEAN各国に伝達した。
- (4)中東・アフリカ情勢については、民主化への変革に向けた国際的な支援の重要性に言及するとともに、中東和平に関する我が国の立場を改めて説明した。
3.ASEAN側の発言概要
- (1)ASEAN各国からは、震災へのお見舞いの表明とともに、長い有効の歴史を持つ日本との深い絆と連帯意識が、今次震災を機に再確認されたとするとともに、日本の復興への支援を惜しまない、一日も早い復興を期待する旨が述べられた。
- (2)また、困難な時期にもかかわらず、ASEAN共同体構築に対し日本が強いコミットメントを維持し、オールジャパンで連結性支援に取り組んでいることに、深甚なる謝意が述べられるとともに、「ASEAN広域専門教育サービスネットワーク」について、多数の国が歓迎を表明した。
- (3)さらにAHAセンター支援、国際会議の開催、ASEAN防災ネットワーク構築をはじめとした防災分野の協力強化を高く評価した。
- (4)また、他国に先がけて、ジャカルタにASEAN代表部を設置したことは、日本が如何にASEANとの関係を重視しているかの表れであるといった意見が出された。
- (5)なお、ドイツにおける女子サッカーのワールドカップの優勝に対する祝意が多数の国より表明され、今回の優勝はアジア諸国にとっても大きな励みになるとの声も聞かれた。