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第14回ASEAN+3首脳会議(概要)

平成23年11月18日

英語版

  • (写真)第14回ASEAN+3首脳会議-1(写真提供:内閣広報室)
    (写真提供:内閣広報室)
  • (写真)第14回ASEAN+3首脳会議-2(写真提供:内閣広報室)
    (写真提供:内閣広報室)

 11月18日,インドネシア・バリ(ヌサ・ドゥア国際会議場)において,午後2時10分頃から約1時間20分,第14回ASEAN+3首脳会議が開催され,我が国から野田総理大臣が出席したところ,概要は以下のとおり。(議長:ユドヨノ・インドネシア大統領)

1.ASEAN+3協力のレビューと将来の方向性

  1. (1)冒頭,野田総理から,タイ,カンボジア,ミャンマー,ベトナム及びラオスにおける洪水災害並びにフィリピンにおける台風被害に対しお見舞の言葉を述べ,我が国として引き続き可能な限りの支援を実施する考えであることを伝達し,各国の一刻も早い復旧・復興を祈念する旨述べた。
  2. (2)野田総理から,金融分野から始まったASEAN+3協力は,今や食料安全保障,防災,教育,国際犯罪等多くの分野に及び,実務的な地域協力の枠組みとして成果を上げているとして,下記の具体的協力に言及。
    1. (ア)食料安全保障
      緊急支援のための米備蓄システムを構築するAPTERR(アプター)協定の署名を評価するとしつつ,早期発効への期待を表明した。また,メコン地域の洪水 被害を受けて,アプター協定の発効前の準備段階の事業として,米穀等の調達のため5万ドルの支援の実施を承認したことにも言及。 また,我が国として,ASEAN食料安全保障情報システム(AFSIS)を始め,生産から流通まで幅広い分野で農業分野の支援を実施中であり,東アジアにおける食料安全保障の強化に引き続き貢献していくことに言及。
    2. (イ)金融協力
      本年4月に地域経済の監視・分析を行う「AMRO(アムロ)」が設立されたことを歓迎する旨述べ,グローバルな経済・金融環境が不安定な現在,地域の持続的経済発展及び金融安定のため,危機予防機能について研究が進められていることは重要である旨言及。
    3. (ウ)防災協力
      我が国は,東日本大震災から得た経験と教訓を国際社会と共有し,より災害に強い地域の構築に貢献していく旨述べるとともに,来年,日本で大規模自然災害に関する国際会議を開催する予定であるとして各国の参加を招請。
    4. (エ)教育
      教育分野の協力の進展を歓迎する旨述べつつ我が国は,高等教育の質の保証において主導的な役割を担っていく旨言及。本年9月に東京において「東アジア高等 教育質保証国際シンポジウム」を開催し成果を上げたこと,日中韓3国の間で,「キャンパス・アジア」構想を推進中であり,その成果をASEANと共有し議 論を深めていきたい旨言及。
    5. (オ)経済・貿易
      東アジア自由貿易圏構想(EAFTA)及び東アジア包括的経済連携構想(CEPEA)の双方について,新たな作業部会の設置を日中で共同提案を行ったことに言及しつつ作業部会を早期に設置し,東アジアでの貿易投資の自由化に向けた検討を加速させたい旨言及。
    6. (カ)国際犯罪(国境を越える犯罪)
      テロなどの負の要因の除去は,域内連結性強化にとっても重要であるとして国際犯罪分野の協力も重視している旨言及。ハイジャック等国境をまたいで実行され る犯罪の取締能力を向上させるため,ASEAN+3の枠組みで本年7月に「航空保安セミナー」を開催したことに言及しつつ引き続き具体的な協力を積み重ね ていきたい旨述べた。
    7. (キ)観光協力
      観光促進は各国経済成長のために不可欠であり,我が国も震災復興のためにも重視している旨言及しつつ,域内の観光協力促進のための覚書を来年1月に署名予定であるとしてインドネシアのイニシアティブを評価する旨述べた。
    8. (ク)東アジア・ビジョン・グループII(EAVGII)
      ASEAN+3の今後の協力の在り方を探る各国有識者による東アジア・ビジョン・グループII(EAVGII)が本年10月に始動したことに言及し,韓国のイニシアティブを評価する旨述べた。
  3. (3)最後に,野田総理から,食料安全保障,金融協力をはじめ様々な協力について有意義な意見交換ができたことをうれしく思う旨述べ,明年のASEAN+3協力15周年記念首脳会議に向けて,引き続きこの枠組みでの実務的地域協力を推進していきたい旨述べた。

2.地域・国際情勢

 北朝鮮情勢に関し,野田総理から,六者会合を通じた北朝鮮の核問題の解決に向けた,最近の南北対話・米朝対話や中国の努力を歓迎する旨表明。他方,日米 韓が北朝鮮に求めている非核化等に向けた具体的行動は見られておらず,引き続き北朝鮮の決断を強く求めていくことが重要である旨述べた。

 また,北朝鮮による拡散活動は地域及び国際社会全体の不安定化要因であるとして,各国が安保理決議に基づく輸出管理等の措置を着実に実施することが重要である旨述べた。

3.ASEAN+3各国の発言概要

  1. (1)各国から,欧州におけるユーロ危機等の経済・金融不安が東アジアに波及しないようしっかり対応しなければならないとして,チェンマイ・イニシアティ ブ・マルチ化が,ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス(AMRO)の設立など着実に進展することが重要である旨発言があった。
  2. (2)多くの国から,自然災害に脆弱な東アジア地域において,自然災害への対処能力の向上や発生時の救助活動や物資支援などのシステムが必要であり,その意味でASEAN+3緊急米備蓄(APTERR)協定が署名され,米備蓄制度ができたことを歓迎する旨の発言があった。
  3. (3)各国から日中韓によるASEAN連結性支援への謝意とともに,支援の継続への期待が示された。
  4. (4)多くの国から,明年,ASEAN+3協力の15周年という記念すべき年を迎えるにあたり,しっかりした協力を実施していきたいとの決意表明があった。

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