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第12回ASEAN+3外相会議(概要)

平成23年7月21日

  • (写真)第12回ASEAN+3外相会議に出席する松本外務大臣
  • (写真)第12回ASEAN+3外相会議の様子

 7月21日,インドネシア・バリ(国際会議場)において,午前9時20分から約2時間にわたり,第12回ASEAN+3外相会議が開催され,我が国から松本外務大臣が出席したところ,概要は以下のとおり。(議長:マルティ・ナタレガワ・インドネシア外相)

1.ASEAN+3協力のレビューと将来の方向性

  1. (1)冒頭,松本大臣から,東日本大震災に当たって,ASEAN諸国及び中国,韓国各国政府及び国民各層からのお見舞い,義捐金,救援物資,救援隊派遣など多大な支援を頂いたことに対して謝意を述べつつ,我が国は今回の震災から復活し,新生する決意を表明した。
  2. (2)松本大臣から,ASEAN+3協力は,実務的な地域協力の枠組みに成長している,東アジアの一層の安定と更なる経済成長にとって,ASEANを中心とした地域協力およびASEANの統合と発展を支援することの重要性について言及。ASEAN「連結性」強化の進展を妨げるテロなどの負の要因の除去への取組の観点から,国境を越える犯罪分野における協力強化の重要性に言及した。また,ASEAN+3協力は有効に機能しており,ASEAN+3協力が政治・経済両面で拡大していることは,ASEAN中心性の強化にもつながるとともに,各国の発展につながるものである旨述べた。
  3. (3)ASEAN+3協力に関し,松本大臣から概要以下のとおり言及。

    (イ)震災復興の現状,防災協力

    • 震災から4か月あまり経過し,被災地の復興と日本経済の再生を同時進行で目指している,これまで以上に,ビジネス,観光・留学を歓迎する。
    • 福島第一原発事故について,7月19日,「放射線量が着実に減少傾向となっている」というステップ1の目標達成を宣言した。引き続き,原子炉の冷温停止状態の達成,問題の完全解決に向けて全力で取り組んでいく,また,事故の教訓を国際社会と共有し,国際的な原子力安全の向上に貢献するため,来年後半にIAEAとともに原子力安全に関する国際会議を開催する。
    • 東日本大震災から得た経験と教訓を国際社会と共有し,より災害に強い東アジア,そして世界の構築に貢献していきたい,今次震災の経験・教訓を共有し,災害に強い社会の構築に向け,人間の安全保障の考え方に基づいた以下のような防災協力を推進する。
      • 我が国は,2012年に大規模自然災害に関するハイレベル国際会議を我が国で開催する,ASEAN+3各国に参加を求める。
      • 我が国は,本年,東アジア・シンクタンク・ネットワーク(NEAT)の枠組みで防災協力ワーキング・グループを主催。

    (ロ)食料安全保障・緊急米備蓄制度の構築

     東アジアにおける食料安全保障の強化に貢献していく,米の備蓄制度(APTERR)が早期に構築されるよう協力する。

    (ハ)金融(地域経済の安定・成長に向けた貢献)

     チェンマイ・イニシアティブ等金融分野の協力は,ASEAN+3協力の根幹の一つであり,金融危機予防の努力が重ねられていること,AMRO(ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オフィス)の設立を歓迎,債券市場育成の取組も地域経済の成長にとって重要。

    (ニ)貿易

     ASEANをハブとする東アジアのFTAに監視,東アジア自由貿易圏構想(EAFTA)と東アジア包括的経済連携構想(CEPEA)は,同時並行的に議論が進められることが重要。

  4. (4)ASEAN+3協力のレビューと将来の方向性等について議論する有識者等から成る「東アジア・ビジョン・グループII(EAVG II)」の設置にかかるTORが採択された。

2.地域・国際情勢

(1)ミャンマー

 松本大臣から,総選挙の実施,スー・チー女史の釈放,本年3月の民政移管や5月の政治犯釈放といった一連のミャンマーの動きは,国民和解,法の支配に向けた前進である旨述べ,本年6月末に,菊田外務大臣政務官をミャンマーに派遣し,このような評価をミャンマー政府に伝えたことを紹介。今後,人的交流,経済協力,経済関係,文化交流の4分野における協力を提案したこと,これら協力を進めると同時に,ミャンマー政府が引き続き国民和解,民主化,法の支配を進め,諸外国との対話を継続することを期待する旨表明した。

(2)北朝鮮

 松本大臣から,北朝鮮の核・弾道ミサイル開発に対する強い懸念を表明。また,北朝鮮のウラン濃縮活動は,安保理決議及び六者会合共同声明に違反しており,安保理決議に規定された核放棄を北朝鮮に強く迫る必要がある旨強調。その上で,北朝鮮による拡散活動は現実の脅威であり,輸出管理の強化を含め,関連安保理決議に基づく措置の着実な実施が重要である旨指摘。また,拉致問題を含む北朝鮮の人権状況は引き続き深刻であるとして,北朝鮮による具体的行動を求めるにあたって,各国の理解と協力を求めた。

 さらに,松本大臣から,本年5月の日中韓サミットにおいて,六者会合共同声明に従った諸懸案の解決に向け,日中韓で連携していくことで一致したことを紹介しつつ,南北対話の進展がまず重要であり,北朝鮮からの具体的行動を引き出すべく,ASEAN+3としても連携したい旨述べた。

(3)気候変動

 松本大臣から,地球温暖化問題の解決には,全ての主要国が参加する公平かつ実効性のある国際枠組みの構築が不可欠であること,COP17に向け,カンクン合意の着実な実施が必要であり,それが将来の包括的な枠組みの構築につながる旨表明した。

3.ASEAN+3各国の発言概要

  1. (1)ASEAN+3各国からは,日本の震災被害に対するお見舞いの言葉が述べられ,ASEAN諸国からは,日本が,震災後の困難な時期にもかかわらず,連結性支援をはじめとしてASEAN共同体構築支援に対し強いコミットメントを実施していることに謝意が述べられた。
  2. (2)また,防災協力の重要性が強調されるとともに,APTERRの早期構築の重要性,金融,貿易分野の協力の重要性が強調された。
  3. (3)さらに,ASEAN域内の連結性強化の重要性とプラス3(日中韓)の支援の重要性,さらにASEANとプラス3各国との連結性強化の重要性が強調されるとともに,新たに立ち上げられた教育分野の協力を歓迎する旨の発言がみられた。

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