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平成21年6月
24日から26日、カンボジアにおいて、我が国及びカンボジアの共催にて、第3回ARF・平和維持専門家会合が開催されたところ、概要と評価以下のとおり。会合には、多くの国から軍人が参加し、ARF参加国のうち17カ国、ASEAN事務局及び国連PKO局から約50人以上が出席した。我が方からは、大江防衛参事官(日本側共同議長)、中込外務省国際平和協力室長他、防衛省、外務省、内閣府PKO事務局関係者が出席した。会合の最後に共同議長サマリー(英文。Annexはベスト・プラクティス・レファレンス・ペーパーを除き省略)を発出した。
(1)今日の国連平和維持活動(PKO)は、任務が一層複雑化・多面化し、また、人的・財政的制約がある中、多くの課題に直面しており、いわゆるオーバーストレッチの状態にあり、これに取り組むため、国連PKO局が「ニュー・ホライズン・プロジェクト」をとりまとめている。こうした状況の中、「国連平和維持活動に参加するための地域の能力の強化」を主題として開催された本会合は、時宜を得た取組として高く評価された。
(2)会合では、PKOのオーバーストレッチは深刻な問題であるとの認識を共有した上で、この問題を是正するため、PKOに対する地域の要員派遣能力の向上とそのための訓練及び訓練センター支援の重要性で一致するとともに、我が方のベスト・プラクティス・レファレンス・ペーパーを「living document」としてエンドースし、アジア太平洋地域のPKO訓練センター間の協力・ネットワークの強化で一致した。
(3)会合は、我が国が最初に国際平和協力隊を派遣したカンボジアとの共催となった。これは、我が国の最初のPKO派遣の成功を示すのみならず、PKOを派遣された国が平和と安定を達成し、やがては国際社会の平和と安定の維持に貢献する国になることを象徴的に示すこととなった。カンボジア側は、自国の紛争からの発展をアピールするよい機会ととらえ、首都から大臣を派遣したり、終了後に記者会見をアレンジしたりといった力の入れ方であった。
アジア地域には、PKO派遣の経験が十分でない国も多く存在しており、PKO訓練センター間の交流と協力はアジア地域のPKO要員の能力向上に大いに貢献しうると思料される。アジア地域のPKO分野での協力はまだ緒についたばかりであるが、今次会合はこの地域のPKO訓練センター間の協力を進める重要な一歩となったと考える。ベスト・プラクティス・レファレンス・ペーパーの充実も含め、着実なフォローアップが望まれる。