アフリカ

令和5年6月12日

アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)概要

1 背景・経緯

 アフリカ大陸自由貿易圏(African Continental Free Trade Area: AfCFTA)の構想は、アフリカの域内で関税を撤廃し、貿易ルールを共通化することで、アフリカの経済発展と世界における競争力強化につなげることを目指すものである。人の移動と投資の自由化を伴う、物品とサービスのアフリカ大陸での単一市場の実現に向け、アフリカ連合(AU)が主導して取り組んできている。アフリカによる貿易は、輸出入ともに、世界の他の地域と比較して域内比率が低い状況にある。域内関税を引き下げること等により、域内貿易比率が高まり、域内バリューチェーンの構築につながることが期待される。
 2018年3月、AU加盟国のうち44か国・地域がAfCFTA設立協定に署名し、2019年5月に発効。2021年1月1日に運用開始。2022年7月、特定の市場・品目の取引について、AfCFTAにおけるルールを適用するパイロット・フェーズを8か国間(カメルーン、エジプト、ガーナ、ケニア、モーリシャス、ルワンダ、タンザニア、チュニジア)で開始。2023年3月時点で54か国・地域が署名し、46か国が批准書の寄託を完了。
 ガーナ・アクラにAfCFTA事務局を設置。現在(初代)の事務局長は南ア出身のワムケレ・メネ氏。

2 AfCFTA設立協定の主な内容

 本協定の交渉は2つのフェーズに分けられている。フェーズ1は物品貿易、サービス貿易、紛争解決の分野を、フェーズ2は競争、投資、知的財産、電子商取引、女性と若者の分野を対象としている。フェーズ1はいずれの分野についても協定本文は合意済みで、原産地規則等の一部の付属書について調整中。譲許表は46か国が提出、うち10か国については技術審査中。それ以外の8か国は譲許表未提出(2022年8月末時点)。フェーズ2は各分野とも協定本文の合意には達していない。

3 日本による支援

 アフリカの域内統合促進や貿易円滑化に向けて、回廊のインフラ整備のほか、ワン・ストップ・ボーダー・ポスト(OSBP)(注)の導入・運用の支援やバリューチェーン構築支援等を行ってきている。
 2022年12月、協力推進のため国際協力開発機構(JICA)とAfCFTA事務局との間で協力覚書(MOC)を署名。
 (注)人やモノが両国の国境を通過するために必要な手続き(検疫、入管、税関などの出入国手続き)を1か所の共同施設にまとめ、ワンストップで越境に係る手続きが完了する国境施設の運営方式。これにより人やモノの国境における滞留時間を短縮し、人流・物流の促進を図るもの。アフリカで最初の支援となるザンビア-ジンバブエ間のOSBP(チルンドOSBP)が2009年12月に開通。これまでアフリカ12か国(ウガンダ、ケニア、ザンビア、ジンバブエ、タンザニア、トーゴ、ナミビア、ブルキナファソ、ブルンジ、ボツワナ、南アフリカ、ルワンダ、)、15か所でOSBP施設の整備や機能化の支援を実施。

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