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平成18年6月
(イ)アフリカ各国が、政治、経済、民間企業活動(コーポレート)におけるガバナンスについて相互に評価し、経験を共有し合うためのメカニズム。ガバナンスの向上を重視する「アフリカ開発のための新パートナーシップ」(NEPAD)の重要な柱の一つ。国際社会もNEPADの進捗を測るメルクマールとして、また、アフリカ諸国のガバナンス向上への取組強化を促すメカニズムとして注目している。
(ロ)第2回NEPAD実施委員会(HSGIC)(2002年4月)より作業が開始され、第3回実施委員会(同6月)及び第1回AU首脳会議(同7月)においてAPRMの原則に関する文書が採択された。更に第6回実施委員会(2003年3月)においてAPRMに関する覚書(MOU)が正式に採択され、第7回実施委員会(2003年5月)ではAPR賢人パネルが選定された。現在7名(南部、西部から2名の他、各地域1名)のパネルが活動している。現在の議長は外交官出身のケニア人、ベスエル・キプリガット。
(ハ)既に、アルジェリア、ベナン、ガーナ、ケニア、モーリシャス、ルワンダ、ウガンダ、ナイジェリア、南ア等を審査することが決定されている。ガーナ及びルワンダの国別報告書は2005年6月の第3回APRフォーラム(アブジャ)に提出され、ガーナについては2006年1月の第4回APRフォーラム(ハルツーム)で初めて最終的評価を受け、報告書が公表された。また、次回APRフォーラムではルワンダに係る評価が予定されている他、近々完成が見込まれるケニアの国別報告書を踏まえ、同国の審査が予定されている。なお、その後は各国の準備状況を踏まえ、アルジェリア、ベナン、モーリシャス等の審査プロセスが開始される予定。
全AU加盟国の参加が奨励されているが、参加は各国の任意。これまでに以下の25ヶ国が覚書(MOU)に署名している。ザンビア、スーダンは2006年1月のAPRフォーラム(ハルツーム)で正式に参加国となった。また、参加を表明していたサントメ・プリンシペについては、次回APRMフォーラム以降に参加手続が取られることとなった。
(APRM参加国)アルジェリア、アンゴラ、ウガンダ、エジプト、エチオピア、ガーナ、ガボン、カメルーン、ケニア、コンゴ共和国、ザンビア、シエラ・レオネ、スーダン、セネガル、タンザニア、ナイジェリア、南ア、ブルキナ・ファソ、ベナン、マラウイ、マリ、モーリシャス、モザンビーク、ルワンダ、レソト
「民主主義並びに政治的、経済的並びにコーポレート・ガバナンスに関する宣言」を第3回NEPAD実施委員会にて採択、第1回AU首脳会合で正式に承認し、これに基づいてレビューを行う。また第6回実施委員会において、詳細な評価基準及び指針についての文書が承認された。
最高意思決定機関は参加各国首脳によるAPRフォーラム。右フォーラムにより指名、選考された有識者によるAPRパネル及びその下に設置されるAPR事務局(2004年1月、南アに設置。事務局長はベルナール・クアシ前「中西部アフリカ持続的食糧安全保障」(SADAOC)総裁)が運営。個別の審査に際してはパネルがAPR技術評価チームを組織し、アフリカ連合(AU、政治)、国連アフリカ経済委員会(ECA、経済)、アフリカ開発銀行(AfDB、財務)などのパートナーシップ機関の支援を受けて評価を行う。なお運営資金については、参加国が最低10万米ドルの貢献を行うこととなっている。
各国は参加を表明後、レビューの指針となる「ガバナンス宣言」を実施するための行動計画(Programme of Action)を策定する。各国の最初の基礎レビューは、参加表明後18ヶ月以内に行われる。最初のレビューにおいては、各国の発展の度合い等が考慮される。その後は2~4年毎に定期レビューを受ける。更に対象国または他のAPRM参加国の要請に基づき臨時レビューを行うことができる。
(イ)事前調査、(ロ)技術評価チームによる対象国の実地審査、(ハ)報告書の起案(対象国と協議)(ニ)報告書のAPRパネル及びAPRフォーラムにおける検討・採択、(ホ)APRフォーラムでの検討の6ヶ月後に主要地域機関に報告書を提出、の5段階。
レビューの開始から報告書が参加国首脳の検討に付されるまでの期間は6ヶ月~9ヶ月(但し延長もありうる)。報告書においては、レビューによって指摘された問題点の改善のための(イ)対象国政府の意思、(ロ)必要な手段、(ハ)対象国政府の能力、(ニ)支援の必要性、(ホ)必要な時間、等について明確にする。
経済的安定と持続可能な開発のバランスがとれたマクロ経済、金融政策の実施や汚職撲滅等を目標として、(イ)財政赤字、公的負債、インフレ率等によるマクロ経済のマネージメント、(ロ)中央銀行や会計検査機関の独立性等による公的資金・金融の管理と汚職対策、(ハ)財政・金融政策における透明性と予測可能性、等を審査する。
法に基づいた民主主義の促進及び個人の自由及び法の下での平等の保証を目標として、(イ)AU憲章や人権に関するアフリカ憲章等各種国際規範の批准や遵守、(ロ)憲法に保障され公正な国内政治・法制度、(ハ)女性の政治参加や社会的弱者の保護、(ニ)効果的な汚職防止制度、等を審査する。
民間企業の投資促進を目標として、(イ)司法による契約保護、(ロ)国際標準会計・監査制度の存在、(ニ)国際標準の資本主義市場制度の確立、(ホ)国際標準の安全、労働、環境基準の存在、等を審査。
貧困削減と持続可能な開発を目標として、(イ)貧困削減、人材育成、女性の社会参加への政府の取り組み、(ロ)保健、教育、貧困等の社会的指標、(ハ)MDGsやWSSDの実施文書に向けた取り組み、等を審査。