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「アフリカ開発のための新パートナーシップ」
(抄訳) 平成15年3月
1.はじめに
(注:「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」は、2001年10月23日にアブジャで行われたアフリカ元首による実行委員会発足会合において「新アフリカ・イニシアティヴ(NAI)」が改称されたもの。) 2.今日の国際社会におけるアフリカ 貧困と繁栄 国際社会におけるアフリカを考える上で、アフリカには(1)鉱物等の天然資源のみならず、(2)熱帯雨林の存在や排気ガスや排水が少ないという地球環境保全への貢献、(3)古生物学的・考古学的な遺産、(4)文化的豊かさにおいて貢献していることに留意すべし。 アフリカ大陸の貧困化の歴史 アフリカにおける貧困の主要因は、植民地主義、冷戦の負の遺産、独立後の政策的失敗。指導者の見識の低さや腐敗の進行が状況を悪化させ、構造調整にも限界があった。NEPADはこうした過去の経験を活かし、開発における自助努力を促す。アフリカは「善意の後見人達の保護」に甘んずるのではなく、「自らの運命の開拓者」たらねばならない。 アフリカとグローバル革命 グローバル化により南北の格差と亀裂は拡大し、アフリカは更なる周縁化の危機に直面。グローバル化の恩恵を幅広い人々へ拡大するには政府と民間の連携が重要。政府、民間、市民社会の全てが、アフリカの世界経済への統合に取り組む必要がある。 3.アフリカ指導者の政治的意思 アフリカ指導者が共同責任を負うべき事項 民主主義やアフリカのアフリカの世界経済への統合にコミットした新しいアフリカ指導層が登場し、開発を可能とする新たな環境が創出されつつある。NEPADは、アフリカが自らの未来のために自ら設定した開発アジェンダに基づくものであり、アフリカのオーナーシップとマネイジメントを中心としている。住民に代わってNEPADを実施するアフリカ指導層は、以下について共同責任を負う。(1)アフリカの紛争予防・管理・解決メカニズムの強化、(2)民主主義と人権の保護と促進、(3)マクロ経済の安定(特に財政・通貨政策)、(4)金融・監査部門における透明な法制度構築、(5)教育、訓練、保健(特にHIV/AIDS等感染症)への取り組み強化、(6)女性の地位向上、(4)法執行・法秩序維持の能力の強化、(7)インフラ整備、製造業の振興や農産物多角化等を通じた国内市場及び輸出市場の振興。 4.アフリカの人々への呼びかけ NEPADは、アフリカの人々が差違を乗り越えて一体となった時に初めて成功する。アフリカは奴隷制、汚職、及び経済政策の失敗により困難な状況にある。しかし、その豊富な資源が活用されたならば、持続的成長及び世界経済への統合が達成されうる。NEPADは、アフリカの人々の意志を行動へ移すことをアフリカの指導者たちが表明したものであり、その担い手はアフリカの人々でなければならない。それゆえアフリカの指導者たちは、アフリカ大陸の更なる周縁化を防ぐために、状況の深刻さを自覚し、状況を打開すべく自ら行動を起こすことをアフリカの人々へ呼びかける。 5.行動計画:21世紀において持続可能な開発を達成するための戦略 A.持続可能な開発の前提条件
6.新しいグローバル・パートナーシップ アフリカと開発パートナーは、責任と利益を共有している。アフリカは先進諸国に対し資源、市場、投資機会を提供し、創造的な官民パートナーシップの可能性を示し、かつ豊かな生態系という貴重な環境を有している。人類発祥の地として文化的遺産を有するアフリカが民主主義と人権を尊重し安定・発展することは国際社会全体の安定に資する。またアフリカは、南南協力の発展に取り組む。 先進諸国や国際機関との新たな関係の構築 開発パートナーとの新たな関係を構築。カントリー・プログラムの形成が出発点。ドナーと被援助国が合意した目標を設定するべき。これまでのアフリカと先進諸国との各種のパートナーシップは維持され、アフリカに真の利益が得られるように整理する。 先進諸国と国際機関が果たすべき責任の列挙 (1)紛争予防・解決のアフリカの努力に対する支援、(2)重債務貧困国に対する債務削減の加速、(3)中所得国に対する債務削減戦略の改善、(4)ODA減少の流れを逆転し、各国のODAをGNP比0.7%とする、(5)教育と保健分野において採択された国際戦略を具体的行動に移す、(6)感染症の薬へのアクセスを改善、(7)WTOの枠組みにおいて途上国へのより公正な貿易条件を確保、(8)アフリカのリスクを低下させるための保険・金融サービスの参入を含め、先進国民間企業による対アフリカ投資を呼び掛ける、(9)輸入品に対する国内保護の水準を先進国並みにする、(10)世銀等の国際金融機関が主要な経済インフラ・プロジェクトに参加出来るようにする、(11)行動計画の実施を加速する技術支援(企画、開発運営、財政、会計、監査等)、(12)国際金融機関の改革を支援してアフリカ問題への取り組みを強化させる、 (13)アフリカの汚職に対抗するメカニズムの設置。 7.NEPADの実施 開発パートナーと協力し、感染症(HIV、マラリア、結核)、ICT、債務削減、市場アクセスの優先分野における計画を早期に実施する。
8.結語
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目次 |
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