1) アフガニスタン自身の治安能力の向上のための支援（約890億円）

　アフガニスタンにおける治安を確保し，アフガニスタン自身の手による国家再建を成し遂げるためには，武装勢力の活動を封じ込めることが重要。そのため，アフガニスタン自身の治安能力の向上を最大限支援する。警察支援等を実施し，アフガニスタン人自身で治安の責務を十分果たせるような道筋を作る。

• UNDP（法秩序信託基金：LOTFA）を通じた全警察官の給与等の支援
• 警察強化研修（技協）の実施等
• UNMASを通じた地雷除去及び地雷回避教育の支援
• UNODCを通じた麻薬対策・国境管理，テロ対策法制度整備の支援，司法関連施設の建設及び裁判官，検察官等含む法執行関係者訓練
• 警察官識字能力の強化
• 内務省官房・調達庁舎の建設

2) 元タリバーン等兵士の社会への再統合支援（約171億円）

　反政府勢力の社会への再統合と長期的な和解については，まずは元武装勢力の末端兵士及び下級司令官から再統合に取り組むことが重要。武器を置く者が再び反政府勢力とならず，自身の生活を営み，長期的に社会に復帰できるよう実効的な施策を構築していくことが不可欠。この施策の構築は，アフガニスタン政府が主導することが重要。
　我が国としては，元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰（DDR），非合法武装集団の解体（DIAG）の経験と知見を活かしつつ，「平和・再統合プログラム（APRP）」の制度設計の段階から参画し，①アウトリーチ（武装勢力への接触・交渉等），②武装解除（審査・武器管理等），③平和の定着（識字訓練，職業訓練，雇用機会提供等）という3段階の施策を進めるための財政的貢献を行う（例：元兵士に対する職業訓練，雇用機会創出のための小規模開発プログラム等）

• UNDPを通じた郡レベルでの給水設備整備等による雇用創出
• UN-HABITATを通じた小規模コミュニティを対象とした，水，交通，灌漑，教育等の支援
• UNDPを通じた非合法武装集団の解体（DIAG）支援
• WFPを通じた職業訓練
• アフガニスタン政府が主導する再統合プログラムを支援するため，UNDPを通じた「再統合基金」に対する支援の実施（無償）等

3) アフガニスタンの持続的・自立的発展のための支援（約1,428億円）

　アフガニスタンの持続的・自立的発展のためには，アフガニスタン自身が裨益していると実感できる形で国造りを進めることが重要。このため，農業・農村開発，インフラ整備（エネルギー分野を含む），教育，医療・保健等の基礎生活分野等の支援をニーズに合わせて実施。また，アフガニスタンと国境を接する中央アジア地域を一つの面としてとらえて発展を促進することによってもアフガニスタンの安定を図る。

• 農業・農村開発
  • ナンガルハール県における稲作農業改善（技協），国立農業試験場再建（技協），ミラーブ（水長）を対象とした水資源管理能力強化支援（技協）， FAOを通じた農業生産拡大及び生産性向上（無償），カブール県，バーミヤン県における灌漑・小規模水力発電整備（無償），家畜飼料の配布等
• インフラ整備（エネルギー分野を含む）
  • カブール首都圏開発計画調査（技協），カブール市道路整備（技協），
  • カブール国際空港誘導路改修（無償），ゴール県チャグチャラン市内道路整備（無償），バーミヤン郡道路整備計画（無償），マザリシャリフ市内環状道路整備（無償），太陽光発電システムの供与（無償），地方コミュニティ道路整備，除雪・雪崩対策，橋梁整備等
• 教育，医療・保健
  • カブール市学校建設（無償），中央高地3県（バーミヤン，ゴール，ダイクンディ）学校建設，識字能力強化（無償）
  • 感染症病院建設（無償），ゴール県病院改修（無償）バルフ県立病院機材整備（無償），結核対策（技協），リプロダクティブヘルス（技協），小児感染症予防（無償），UNICEFを通じた保健・水・衛生，教育分野における支援，ICRCを通じた医療・水支援等
• 難民・避難民等支援
  • UNHCR，IOMを通じたアフガニスタン難民・避難民及び帰還民への支援等
• 選挙支援
  • UNDP等を通じた選挙実施支援，有権者登録等支援等
• ガバナンス
  • 行政官育成（技協），シンガポール連携汚職対策研修（技協）