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平成22年2月
(1)ワークショップの午前のセッションにおいては、小貫芳信法務省法務総合研究所長からの挨拶後、外務省、平和民主主義研究所、ACD参加国によるアジアにおける民主主義や我が国の法制度整備支援、アジア各国による法制度整備についての取組や活動についての報告がなされるとともに、西村智奈美外務大臣政務官による日本及びアジア諸国との法制度整備に関する協力についての講演が行われた。その後、民事実体法整備についてのアジア諸国による取組及び活動について意見交換が行われ、民法の法制度整備支援においては、支援を受ける国固有の規範、文化、宗教及び国際的基準との調和を図る必要性が参加国間で認識された。
(2)午後のセッションにおいては、有識者とACD参加国による我が国の法制度整備支援及びアジアにおける民事手続法整備に関する取組や活動についての報告がなされ、民事手続法の法制度整備においては、対審構造及び全ての国民による司法アクセスの保障が重要であることが参加国より指摘されるとともに、法曹養成の必要性についても参加国間で認識された。また、アジア諸国のように国家間のみでなく国内においても文化が多様である場合には、裁判外紛争解決が使用されるケースが多々あることが紹介された。
(3)ワークショップにおいて、各国は、率直かつ自由に意見交換を行い、グッド・ガバナンスや民法及び民事訴訟法の分野における法制度整備の重要性に関するアジア諸国の共通認識を増進するとともに、我が国を含む各国の経験、知見を共有する対話の場を提供することができた。今次会合は、アジア地域における民主主義の促進と発展を目指すバリ民主主義フォーラムの下の我が国の取組としても位置づけることができ、参加国間で法制度整備に対する認識を高めたことは、自由・民主主義等普遍的価値観の共有による途上国への法の支配の確立といった観点からも有意義であった。また、今次会合は、我が国のACDプライム・ムーバ-・プロジェクト(注)として、本年イランが主催する第9回ACD外相会合において報告されることになっている。
(注)プライム・ムーバ-・プロジェクトとは、アジア協力対話(ACD)において、参加国の1国(又は複数国)が自由に選ぶテーマの下主導するプロジェクトであり、参加の用意と意思のある国が参加する。我が国は、環境保全の重要性啓発のため、2004年よりACD環境教育推進対話を6回実施。また、ACD第1回法制度整備ワークショップを2004年に開催した。