平成23年度における外務省所管独立行政法人の
業務実績評価について
平成24年8月23日
外務省独立行政法人評価委員会
委員長 井口 武雄
外務省独立行政法人評価委員会は,外務省の所管する独立行政法人国際交流基金及び独立行政法人国際協力機構の平成23年度における業務の実績に関する評価を実施し,評価結果を別紙のとおり取り纏めました。本年度の評価に関する委員長としての所見は次の通りです。
- 国際交流基金,国際協力機構ともに,平成15年10月に独立行政法人に移行して以来,今回が9回目の年度評価となります。また,第2期中期目標期間の最終年度の年度評価となります。評価にあたっては,これまで同様,中期目標・中期計画に基づいた項目(小項目)毎に,業務実績に対する評定を実施し,これを中項目毎にまとめて評定を加えました。
- 当委員会においては,専門的な視点から各々の独立行政法人の業務についてきめ細かにチェックを行う体制を整えるため,一昨年度より,コンプライアンス部会を設置しております。また,昨年に引き続き,評価プロセスにおいて特に重点的に検討する事項を「評価のポイント」として年度当初に定め,評価に必要な情報の提示を各独立行政法人に対し求めた上でヒアリングを行いました。各分科会における「評価のポイント」決定にあたっては,コスト削減や効率化といった点に加え,それぞれの独立行政法人の設置目的に沿った事業が効果的に実施されているかについても検討し,めりはりをつけた評価を行うことを意図しました。コンプライアンス部会においては,政策評価・独立行政法人評価委員会が決定した「平成23年度業績評価の具体的取組について」(平成24年5月21日決定)も踏まえつつ,「評価のポイント」に基づき,集中的に議論を行った上で,当委員会及び各分科会での評価の参考に資する部会の評価コメントを作成しました。
- 評価は,これまで同様,小・中項目の評定と全体の評価としての総合評価から構成されています。総合評価では,小・中項目の評定と委員会の各種会合での審議を基に,各法人の業務全体について,総合的な観点から,その実績及び改善の方向性等の指摘事項,その他の意見を記しております。なお,国際交流基金と国際協力機構は,事業内容,業務形態も異なることから,特に項目別評価においては,各法人の業務に応じた評価指標を設定した上で中期目標の達成状況等を評価したものであり,両法人間の相対評価を示すものではありません。
また,平成22年3月8日に「外務省所管独立行政法人の業務実績評価に係る基本方針」を改訂し,評定方法を変更したため,小・中項目の評定はそれ以前の評定と整合するものではありません。
- 業務実績についての評価の詳細はそれぞれの評価書に示してあるとおりです。
国際交流基金については,中期計画上で数値目標が掲げられた主要な効率化・経費削減はいずれも計画を上回って順調です。また,外交政策を踏まえた事業の実施に優れた実績を挙げるなど,各分野の事業も中期計画に沿って効果的・効率的に実施されており,総じて順調であると評価できます。これに関連し,平成22年度以降,文化芸術交流分野で国内事業を原則廃止することとなっておりますが,このことにより国際交流基金に期待される本来の役割を十二分に果たすことができなくならないかとの危惧が多くの委員の中から示されました。
国際協力機構についても,中期計画上の数値目標を上回る効率化を達成するなど公正かつ効率的な業務運営が実施されたことを確認しました。また事業分野においても,旧国際協力銀行(海外経済協力業務)との統合効果を一層発揮し,より質の高い事業を行うべく,組織・制度改革や国・地域の課題に応じて各種援助手法を有機的に組み合わせた協力に取り組んだ他,政府の重要政策課題への機動的な対応や国際公約への貢献を意識して効果的に事業を実施するなど,総じて順調であると評価できます。
一方,各々の評価書で指摘したとおり,いくつかの事項については,今後さらに改善を要する課題もあります。両法人が,これらの課題について早期に改善に取組み,引き続き,業務の一層の効率化と質の向上が達成されることを期待します。
- 独立行政法人一般については抜本的な見直しを行うこととされており,特に平成21年秋から事業仕分けの手法を用いて行政全般の刷新が進められ,独立行政法人についても,「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月7日閣議決定)及び「独立行政法人の制度・組織の見直しの基本方針」(平成24年1月20日閣議決定)がまとめられました。外務省所管の両法人についても,上記閣議決定をはじめとする政府方針に適切に対応した取組が行われていると評価しております。
同時に,外務省が所管する両独立行政法人の事業に対する国内外の期待は大きいものがあり,両法人の担うべき役割は,東日本大震災からの復興などをはじめとする主要な政府方針との関連においても,わが国の外交上,極めて重要であります。
したがって,効率的な組織・事業運営への努力を継続すると共に,両法人とも,その使命が確実に果たせるよう業務の質が維持,向上することについても引き続き,十分に配慮する必要があります。「独立行政法人の制度・組織の見直しの基本方針」を受けた取り組みにおいても,徹底した合理化による行政改革を進めるとともに,こうした重要な法人の機能を損なうことがないよう十分に留意する必要があると考えます。
外務省独立行政法人評価委員会としても,各法人が本来期待されている成果を十分に達成できるよう,引き続き厳格かつ適正な評価を行うべく取り組んでいく所存です。
(別紙)
- 「評価のポイント」
- 独立行政法人国際交流基金の平成23年度の業務実績に関する評価書
- 独立行政法人国際協力機構の平成23年度の業務実績に関する評価書
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