外務省独立行政法人評価委員会
外務省独立行政法人評価委員会
第12回コンプライアンス部会議事概要
平成25年6月26日
- 日時
平成25年6月10日(月曜日) 14時00分から16時15分 - 場所
外務省南庁舎2階285号室 - 出席者
(委員・専門委員)
青山伸一委員(部会長),上子秋生委員,出雲明子専門委員(以上コンプライアンス部会委員)
手納美枝委員(オブザーバー参加)
(外務省)
中村考査・政策評価官室首席事務官,岸守外務報道官・広報文化組織広報文化外交戦略課首席事務官,今西国際協力局政策課首席事務官他
(国際交流基金)
下山経理部長,吉田監査室長、小島総務部企画・評価課長、上杉総務部給与・人事評価室長、田中経理部財務課長、奈切経理部財務監理室長、正野経理部会計課長
(国際協力機構)
井倉総務部次長,新井人事部次長、小池資金・管理部次長、西片調達部次長、広沢総務部総務課長、増田総務部総務課企画役、足立調達部契約企画課企画役他 - 議題
(1)今年度評価プロセスにおいて部会がおこなう作業の流れについて
(2)総務省政策評価・独立行政法人評価委員会「平成24年度業務実績評価の具体的取組について」について
(3)平成24年度業務実績報告書における部会「評価のポイント」関連項目について
(4)契約監視委員会における平成24年度契約の点検状況などについて
(5)連絡事項(今後のスケジュール) - 議事概要
(1)青山部会長の議事進行により,まず事務局から、今年度評価プロセスにおいて部会が行う作業について、基本的に昨年と同じ流れ(ア 評価対象は部会の「評価のポイント」に該当する業績報告の各小項目とする、イ 評定は行わず評価コメントのみ作成する、ウ 部会評価コメントは各分科会委員に速やかに提供し、分科会委員は部会評価コメントを参考として評定・評価を行う)とすることを確認した後、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会の「平成24年度業務実績評価の具体的取組について」の概要を説明した。
続いて、国際交流基金及び国際協力機構から,平成24年度業務実績報告書におけるコンプライアンス部会「評価のポイント」に該当する小項目の報告予定内容(骨子)及び契約監視委員会による契約点検状況と点検結果を踏まえた改善措置等について報告を行い、質疑応答を行った。
最後に、事務局から今後の作業スケジュールについて説明して閉会した。
(2)委員からの主な質問・指摘事項(【回答】は独法による説明)
ア 国際交流基金(以下、基金)
(ア)平成24事業年度業務実績報告書における「評価のポイント」関連項目について- 給与水準に関連し、国家公務員の給与減額支給措置(注:「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」(平成24年3月施行)に基づくもの)に準じた給与減額支給措置を行っていると思うが、この開始時期が国家公務員と異なることによる、ラスパイレス指数への影響如何。
平成24年4月から開始された国家公務員の給与減額支給措置に準じ、基金では平成24年6月から職員給与の減額支給措置を開始した(措置期間(2年間)は国家公務員と同じ)。これにより、4月及び5月分が国家公務員比では高く、平成24年度のラスパイレス指数の押し上げ要因となっている。当該4/5月の国家公務員との給与較差に起因するラスパイレス指数への影響分が何ポイントになるかを試算し、ご説明する予定。(これに対し委員から、4月から本件措置を実施したと仮定した場合のラスパイレス指数を試算した方が、より分かりやすいので検討願いたい旨コメント。)
- 内部統制に関連し、今年度のコンプライアンス部会では、政策評価・独立行政法人評価委員会の指摘も踏まえ、監事監査との連携を重視した評価を実施する予定である。具体的には、平成24年度における、前年度までの監事監査報告結果を踏まえた法人の取組状況を点検・評価すると共に、今年度の監事監査結果報告書(平成24年度が対象)の内容を把握し、評価に活用したい。前者については、業務実績報告書において説明があると承知しているが、後者について、評価の参考とすることができるタイミングで全文を提出頂きたい。
今年度の監事監査結果報告書については、7月下旬に完成し、提出される見込みである。速やかに評価委員会の全委員に送付し、8月上旬の第1回分科会前にご参照頂くことで、評価の参考として頂けると考えている。
(注:国際協力機構分については、報告書の完成が9月以降となる予定のため、7月初旬の業績説明会において中間報告を提出するとの説明があった。)
- 中期目標期間最終年度である平成23年度末の時点で、精算収益化した運営費交付金債務などの利益と、基金が保有する外債の為替評価損を相殺した結果、法人内に留保されることとなった現金について、国庫納付の手続きを行ったと記憶。平成24年度末は逆に、為替評価益が出ているのではないかと思うが、これにより、例えば、運営費交付金額への影響などはないか。
ご指摘のとおり、平成23年度決算の時点で、約10億円の評価益が生じている。但し、ご承知のとおり、基金が保有する外債はその運用益を外貨で行われる事業の経費に充てるためのものであり、満期保有を目的としているので、決算時の評価益が実現する(現金化する)ことはない。また、昨年度の国庫納付は、留保された現金を独立行政法人通則法第46条の2に基づいて不要財産と整理したものであり、中期目標期間終了時の利益及び損失の処理(同法第44条など)とは異なる手続きである。そのため、財務当局等政府側のご判断にもよるが、原則としては、為替評価益が運営費交付金に影響することはないと理解。
(イ) 契約監視委員会における平成24年度契約の点検状況などについて
- 少額の随意契約の扱い如何(少額随契まで網羅的に点検するのは非効率的との観点からの質問)。
契約形態に応じ設定された額(100万(役務)、160万(購入)、250万(工事)の3種類あり)よりも少額の随意契約については、点検対象となっていない。
- 昨年度同様、随意契約については、「真に随意契約によらざるを得ない」契約であるか否かを精査し、見直しのために出来ることは十分やっていると見受けられる。「真に随意契約によらざるを得ない」契約の内訳について、「不動産関係賃借契約」「公共料金」「その他IT関連契約等」という類型も併せて「真に随意契約によらざるを得ない」契約と纏めても良いのではないか。
「真に随意契約によらざるを得ない」契約については、「基金事業の特性から『真に随意契約によらざるを得ない』」ものと「それ以外」を分けた上で、それぞれを更に類型化して精査している。ご指摘の類型は後者の部分で、総務省から全法人共通で指示のあったフォーマットに沿ったものである。なお、平成24年度の契約監視委員会における点検にあたっては、昨年度の外務省独法評価委員会による指摘を踏まえ、前者の類型の一部を改訂した。具体的には、(1)著作権保持者からの映画テレビ素材購入、上映権・放映権購入、(2)展示事業企画政策・美術品の購入、(3)海外に派遣する公演団との派遣契約、(4)共同で事業を実施する共催契約、(5)基金拠点がない海外での契約に類型化し、点検頂いている。
- 随意契約が全体に占める割合(件数・金額)を全独立行政法人でランク付けした資料によれば、国際交流基金は、件数・金額共に全104法人中13番目に高い。随意契約の中身について具体的説明を聞けば、「真に随意契約によらざるを得ない」契約であることが理解できるが、一見するとこのような状況にあるため、引き続き、きちんと対外的に説明すると共に、今後も努力を継続することが重要。他の独法の中には、「公募」の形をとることで、随意契約の割合を引き下げている例もあると思われる。現在、「国際交流基金の事業の特性から『真に随意契約によらざるを得ない』」とされる契約のうち、公募に付せるものはあるか。
既に企画競争公募を取り入れている部分もあるが、共催契約など、その特性から公募できる性格ではない契約も多く、これ以上は難しいのが実情。
- 仕様書の変更、公告期間の見直し、参加要件の変更等の改善措置により、平成23~24年は一者応札・応募であった案件6件のうち、既に5件が平成25年度には複数応札になったとの説明があったが、様々な改善措置を行っても複数応札が得られない案件については、指名入札への移行もあり得ると思うが如何。また、一者応札が判明した時点で入札をやり直したり、応札者の提示価格が予定価格を上回っていた場合に価格交渉するなどの措置をとることはあるか。
専門性の高い美術品輸送に係る契約など一部において指名競争入札を導入済みだが、他にも導入できる分野がないか検討を続けたい。
イ 国際協力機構(以下、JICA)
(ア) 平成24年度業務実績報告書における部会「評価のポイント」関連項目について
- 契約の透明性・競争性の向上に関連し、全独法を随意契約率(件数・金額)が高い順にランク付けした資料によれば、JICAは全104法人中、件数で53位、金額で70位となっており、悪くないと考える。競争性を確保する方法として、プロポーザル方式(企画競争)を多く活用していることがJICAの特徴であり、契約相手を慎重に選定していることが窺える。この企画競争の透明性向上が次の課題というのが共通した認識だと思うので、部会としても引き続き注視したい。
- 随意契約や一者応札・応募となった契約について、同じ者による受注回数の制限はもうけているか。応札可能な者自体が限られているような場合、同じ者が受注し続けることにならないか。
一者応札・応募となる背景は様々であるが、そもそも応札可能な者が限られているケースもあると思う。また、発注時期が重なった場合などは、受注者側に複数案件を同時に対応する余裕がなく、応札しないということがある。引き続き、様々なケースを分析し対策を検討していきたい。連続受注の回数制限は特にないが、同じ者との随意契約が長期間継続するのは望ましくないので、必要に応じ、契約の切り分け(一部を競争性のある契約に移行)や内製化といった手法によって改善できないか検討を続けていきたい。
- コンサルタント契約について、特に、短期間で動く補正予算による事業などでは、対応できる者の絶対数が限られるため、契約相手が固定化されがちとの議論があるが、如何。また、契約相手方においてJICAとの契約がどの程度の割合を占めているかによっては、自由な競争が阻害され、そもそも入札制度が機能しづらい状況になっていることもあり得る。この点(契約相手方の業務全体におけるJICAとの契約の割合)について、把握しているところはあるか。
JICAからの受注が多い社は存在するが、それら業者の多くは国内業務や、海外においてもアジア開発銀行発注業務等を受注していると認識。契約事業者側におけるJICAとの契約が占める割合について、把握している例はないが、上場企業など公開情報の多いところを中心に、主要な契約相手について、可能な範囲で調べてみる。 一般論として、より多くの案件に、より多くの応札を得るべく、努力を行っている。ただし、時間的制約がある補正予算による事業などでは、対応出来る者が限られてしまう面は否めない。
- 契約監視委員会が発足して約3年が経ったが、契約監視委員会での点検に基づく契約の改善状況、即ち、契約監視委員会による指摘事項への対応状況について、モデルケースでも良いので把握したい。
対応状況を取り纏めた既存の資料はないが、ご要望を踏まえ、作成する。
- (JICAの全契約の約半数を占めるコンサルタント契約(約1400件)について、応募者(新規参入者含む)拡大のための対策を盛り込んだ「競争性・公正性向上のためのアクションプラン」の概要と実施状況に関する説明があったのを受け、)契約ルールの客観性・透明性の向上策として、外部審査制度(5名の外部委員による審査)を平成24年10月から本格導入(22年度から試行)し、平成24年度の審査実績は28件、本格導入後は全対象案件の13.7%を審査したとのことだが、審査案件の選定基準如何。
外部審査では、選定過程審査と選定後審査を実施。前者については、規模の大きい案件(投入延べ人数が15人月以上の案件)から委員が選定した案件を、後者については、小規模案件も含め、過去の外部審査実績等も考慮しつつJICA側で選定した案件も審査頂いている。
- 同「アクションプラン」を取り纏めた外部有識者委員会の現在の活動状況如何。
外部有識者委員会は、アクションプランに係る報告書の作成をもって終了した。現在は、アクションプランの進捗状況を点検するため設置されたモニタリング委員会に、年1回程度、同有識者委員会の委員であった方に参加頂き、アクションプランの進捗を確認頂いている。
- 総合評価落札方式を平成24年3月から試行しているとのことだが、これは、一般競争入札からの移行ではなく、プロポーザル方式から移行しているものという理解でよいか。
然り。
- コンサルタント契約について外部審査を本格導入したとのことだが、平行して内部審査も実施しているのか。また、外部審査委員はJICA事業や契約の特性を熟知している必要があるなど、適格者を確保するのが難しいと聞いたことがある。現在5名の委員がいるとのことだが、十分対応できているのか。
選定過程審査については、委員にJICA内部の選定委員会に入って頂き、内部の選定委員と共に公示の内容や選定基準などについて点検頂いている。選定後審査については、外部審査が中心となる。外部審査委員については、JICAのOBや契約監視委員会の委員など、JICA事業や契約の特性をよく理解している方が中心で、委員に対しては事前に十分な説明を行っている。また、委員には概ね2名ずつで点検作業に当たって頂いているので、現時点では体制に特段の支障はない。