外務副大臣・外務大臣政務官
「国際平和のための世界経済人会議」における鈴木外務副大臣の挨拶
(7月30日(火) 於:広島国際会議場)
平成25年7月31日
湯崎広島県知事,
御列席の皆様,
ただいま御紹介にあずかりました外務副大臣の鈴木俊一です。「国際平和のための世界経済人会議」の開催に当たり,一言御挨拶を申し上げます。
日本経済の再生を最優先の課題として安倍政権がスタートしてからこれまで,日本経済は徐々に回復の兆しを見せております。外務省といたしましても,外交面でこれを後押しすべく,「日本経済の再生に資する経済外交」を,外交の主要な柱の一つと位置づけ,精力的に取り組んでいるところであります。日本経済の再生は,我が国のみならず世界経済全体に裨益し,他の多くの国の発展にも貢献するものであります。こうした観点からも,様々な外交課題に対処していく中で,日本経済の再生に力強く取り組む必要があると考えております。
日本経済を本格的に再生させるためには,諸外国の成長を取り込んでいくことが必要です。これには,中小企業を含む日本企業の海外展開やインフラシステムの輸出を後押ししていくことが重要です。また,国民生活の安定や国内産業の発展のため,エネルギーや鉱物資源の安定的な供給を確保していくことも重要であり,こうした面でも日本企業の活動を後押ししていくことが不可欠となっております。
日本企業が積極的に海外に進出し,海外で活発に活動することによって,諸外国の成長の糧を取り込むことができます。これこそが日本経済再生の原動力であります。企業が安全にビジネスを展開することができる環境が世界の各地で整っていることが極めて重要であります。
しかし,大変残念なことではありますが,世界の多くの地域では未だ紛争やテロ,貧困が絶えません。日本人や日本企業がテロや凶悪犯罪の被害に遭う不幸な事案も生じております。本年1月に発生した在アルジェリア邦人に対するテロ事件では10名もの日本人の尊い命が失われました。また,つい先日も,ケニアにおいて港湾開発に関わっていた日本人が凶弾の犠牲となりました。
ビジネスや開発分野で活躍する日本人がテロや犯罪の犠牲になるのは痛ましい限りです。そのような悲劇が繰り返されないよう,世界各地の在外公館は,安全対策も含めた日本企業支援を一層進めて参ります。
本日は皆様と,如何にして世界の津々浦々で活躍する日本人と日本企業が安心して活動し,挑戦できるような環境を作り出すことができるかを考えていきたいと思っております。そのために,我々は何を行うことができるでしょうか。非常に難しい問いかけですが,東日本大震災からの復興の経験を振り返ることが一つの示唆を与えてくれるかもしれません。
私の故郷である岩手県山田町は,あの津波によって甚大な被害を受けました。山田町だけで死者・行方不明者は800人以上にものぼり,3,300もの家屋が被災し,多くの社会インフラが失われました。私の家も津波で流されてしまいました。今日でも多くの方が仮設住宅での生活を余儀なくされております。復興は未だ道半ばであり,なすべきことが山積いたしております。
しかし、これまで,行政や地元企業,各種の組合や団体,NGO,更にはボランティアの方々など,それぞれが試行錯誤を繰り返しながら,平和で安定した生活を取り戻すために,自らの役割を果たし,知恵を出し合い,互いに連携し取り組んできた結果,徐々にではありますが、復興が進みつつあります。
世界の各地で平和的にビジネスが行える環境を作り出すためにも,政府や企業,NGO,地域社会など,多様な主体がそれぞれの役割を果たしていくことが重要となります。それぞれが「平和」という共通の目標を明確に認識しながら,自らの役割を果たし,互いに連携していくことが求められております。
では,これらの主体が果たすべき役割とは何でしょうか。答えのヒントは,本日ここに開催される「国際平和のための世界経済人会議」の議論の中に見いだせるのではないかと考えます。
今回の会議では,飢餓や貧困など平和を阻害する要因を除去するために様々な主体がどのような役割を果たすべきか,平和構築とビジネスをどのように関係づけるべきか,平和創出のために観光をどのように活用すべきかなど,興味深くも難しい議題が設定されております。2日間の会議の中で,外交に携わる我々にとって,学ぶべき多くの議論が行われると確信しております。
広島の皆様が,「ピース・アーチ・ひろしま」プロジェクトの下,企業や団体,NGO,地域,個人などを結んだ「平和貢献のためのプラットフォーム」をつくり,平和構築に向けた動きを世界に広げるために取り組んできたことに敬意を表するとともに,これまでの取組の集大成の一つとして,この「国際平和のための世界経済人会議」において有意義かつ活発な議論が行われることを祈念し,私の挨拶とさせていただきます。
御静聴ありがとうございました。
御列席の皆様,
ただいま御紹介にあずかりました外務副大臣の鈴木俊一です。「国際平和のための世界経済人会議」の開催に当たり,一言御挨拶を申し上げます。
日本経済の再生を最優先の課題として安倍政権がスタートしてからこれまで,日本経済は徐々に回復の兆しを見せております。外務省といたしましても,外交面でこれを後押しすべく,「日本経済の再生に資する経済外交」を,外交の主要な柱の一つと位置づけ,精力的に取り組んでいるところであります。日本経済の再生は,我が国のみならず世界経済全体に裨益し,他の多くの国の発展にも貢献するものであります。こうした観点からも,様々な外交課題に対処していく中で,日本経済の再生に力強く取り組む必要があると考えております。
日本経済を本格的に再生させるためには,諸外国の成長を取り込んでいくことが必要です。これには,中小企業を含む日本企業の海外展開やインフラシステムの輸出を後押ししていくことが重要です。また,国民生活の安定や国内産業の発展のため,エネルギーや鉱物資源の安定的な供給を確保していくことも重要であり,こうした面でも日本企業の活動を後押ししていくことが不可欠となっております。
日本企業が積極的に海外に進出し,海外で活発に活動することによって,諸外国の成長の糧を取り込むことができます。これこそが日本経済再生の原動力であります。企業が安全にビジネスを展開することができる環境が世界の各地で整っていることが極めて重要であります。
しかし,大変残念なことではありますが,世界の多くの地域では未だ紛争やテロ,貧困が絶えません。日本人や日本企業がテロや凶悪犯罪の被害に遭う不幸な事案も生じております。本年1月に発生した在アルジェリア邦人に対するテロ事件では10名もの日本人の尊い命が失われました。また,つい先日も,ケニアにおいて港湾開発に関わっていた日本人が凶弾の犠牲となりました。
ビジネスや開発分野で活躍する日本人がテロや犯罪の犠牲になるのは痛ましい限りです。そのような悲劇が繰り返されないよう,世界各地の在外公館は,安全対策も含めた日本企業支援を一層進めて参ります。
本日は皆様と,如何にして世界の津々浦々で活躍する日本人と日本企業が安心して活動し,挑戦できるような環境を作り出すことができるかを考えていきたいと思っております。そのために,我々は何を行うことができるでしょうか。非常に難しい問いかけですが,東日本大震災からの復興の経験を振り返ることが一つの示唆を与えてくれるかもしれません。
私の故郷である岩手県山田町は,あの津波によって甚大な被害を受けました。山田町だけで死者・行方不明者は800人以上にものぼり,3,300もの家屋が被災し,多くの社会インフラが失われました。私の家も津波で流されてしまいました。今日でも多くの方が仮設住宅での生活を余儀なくされております。復興は未だ道半ばであり,なすべきことが山積いたしております。
しかし、これまで,行政や地元企業,各種の組合や団体,NGO,更にはボランティアの方々など,それぞれが試行錯誤を繰り返しながら,平和で安定した生活を取り戻すために,自らの役割を果たし,知恵を出し合い,互いに連携し取り組んできた結果,徐々にではありますが、復興が進みつつあります。
世界の各地で平和的にビジネスが行える環境を作り出すためにも,政府や企業,NGO,地域社会など,多様な主体がそれぞれの役割を果たしていくことが重要となります。それぞれが「平和」という共通の目標を明確に認識しながら,自らの役割を果たし,互いに連携していくことが求められております。
では,これらの主体が果たすべき役割とは何でしょうか。答えのヒントは,本日ここに開催される「国際平和のための世界経済人会議」の議論の中に見いだせるのではないかと考えます。
今回の会議では,飢餓や貧困など平和を阻害する要因を除去するために様々な主体がどのような役割を果たすべきか,平和構築とビジネスをどのように関係づけるべきか,平和創出のために観光をどのように活用すべきかなど,興味深くも難しい議題が設定されております。2日間の会議の中で,外交に携わる我々にとって,学ぶべき多くの議論が行われると確信しております。
広島の皆様が,「ピース・アーチ・ひろしま」プロジェクトの下,企業や団体,NGO,地域,個人などを結んだ「平和貢献のためのプラットフォーム」をつくり,平和構築に向けた動きを世界に広げるために取り組んできたことに敬意を表するとともに,これまでの取組の集大成の一つとして,この「国際平和のための世界経済人会議」において有意義かつ活発な議論が行われることを祈念し,私の挨拶とさせていただきます。
御静聴ありがとうございました。