政策評価
外務省における政策評価の基本計画
平成26年3月31日改定
平成28年3月31日改定
外務省における政策評価の基本計画(以下「基本計画」という。)は,「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(以下「政策評価法」という。)第6条の規定に基づき,政策評価に関する基本方針(平成17年12月16日閣議決定。以下「基本方針」という。)を踏まえ,外務省が行う政策評価の目的,実施に当たっての基本的な考え方,実施体制,政策への反映,情報の公開等の基本的事項について定めるものである。
1 計画期間(第6条第2項第一号)
平成25年度から平成29年度までの5年間とする。
2 政策評価の実施に関する方針(第6条第2項第二号)
政策評価は,各行政機関が所掌する政策について,適時に,その政策効果を把握し,これを基礎として,必要性,有効性又は効率性の観点その他当該政策の特性に応じ必要な観点から,自ら評価を行うことにより,政策の企画立案や政策に基づく活動を的確に行うための重要な情報を提供するものである。
外務省は,平和で安全な国際社会の維持に寄与するとともに主体的かつ積極的な取組を通じ良好な国際環境の整備を図ること並びに調和ある対外関係を維持し発展させつつ,国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることを任務としている。
このような任務の遂行に当たっては,他国又は国際機関等との信頼関係に留意しつつ,
- (1)中長期的な日本国及び日本国民の利益という観点を含めた成果重視の外交政策を取り進めること
- (2)効果的かつ効率的な外交政策の推進に資すること
- (3)外交政策の企画立案及び実施について国民に対する説明責任を徹底すること
を確保することが必要である。
外務省における政策評価は,これらの諸点を外交政策の企画立案及び実施において確保することによって,将来のよりよい外交政策の企画立案及び実施につなげ,もって,国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進を図ることを目的として行う。
政策評価に当たっては,政策評価に関する基本方針に定める「事業評価方式」,「実績評価方式」及び「総合評価方式」の3つの方式を踏まえ,評価対象とする政策の特性に応じ,適切な方式を用いるものとする。
3 政策評価の観点に関する事項(第6条第2項第三号)
外務省が政策評価を実施するに当たっては,以下の観点を基本としつつ,評価対象政策の性質等に応じ,適切な観点を選択し,総合的に評価する。
- (1)必要性:政策の目的が国際社会における日本国及び日本国民の利益の増進という観点から妥当か。行政関与の在り方から見て国がその企画立案及び実施の主体となる必要があるか。
- (2)有効性:政策の実施により,期待される効果が得られるか,又は実際に得られているか。
- (3)効率性:投入された資源量に見合った結果が得られるか,又は実際に得られているか,政策効果の発現のためにとられる手段は適切,効率的であるか,など
4 政策効果の把握に関する事項(第6条第2項第四号)
政策評価の効果の把握に当たっては,対象とする政策の特性に応じた,適切な手法を用いる。
その際,できる限り政策効果を定量的に把握することができる手法を用いることとするが,外務省が実施する外交政策は,各国との友好関係の増進,外交的働きかけ,情報収集等,必ずしも政策効果の定量的な把握になじむとは言えないこと,また,外交政策の効果を把握する評価方法が開発されていない側面もあることなどを踏まえ,定量的な把握が困難である等の場合には,政策効果を定性的に把握する手法を主に用いるものとする。その場合においても,可能な限り,客観的な情報・事実などに基づくものとする。また,政策効果の把握に関する手法については常にその改善に努める。
5 事前評価の実施に関する事項(第6条第2項第五号)
事前評価は,政策の決定に先立ち,当該政策に基づく活動により得られると見込まれる政策の効果を基礎として的確な政策の採択や実施の可否等を検討する上で有用な情報を提供する見地から行うものとする。
(1) 評価の対象
行政機関が行う政策の評価に関する法律施行令(平成13年政令第323号)第3条第五号から第八号に掲げる以下の政策
ア 政府開発援助
- (ア) 個々の政府開発援助のうち,無償の資金供与による協力(条約その他の国際約束に基づく技術協力又はこれに密接な関連性を有する事業のための施設(船舶を含む。)の整備(当該施設の維持及び運営に必要な設備及び資材の調達を含む。)を目的として行われるものに限る。)であって当該資金供与の額が10億円以上となることが見込まれるものの実施を目的とする政策
- (イ) 個々の政府開発援助のうち,有償の資金供与による協力(資金の供与の条件が開発途上地域にとって重い負担にならないよう金利,償還期間等について緩やかな条件が付されているものであって,独立行政法人国際協力機構法(平成14年法律第136号)第13条第1項第2号イの規定に基づき外務大臣が指定する者に対して,その行う開発事業の実施に必要な資金を貸し付けるものに限る。)であって当該資金供与の額が150億円以上となることが見込まれるものの実施を目的とする政策
イ 規制
- 法律又は法律の委任に基づく政令の制定又は改廃により,規制(国民の権利を制限し,又はこれに義務を課する作用(租税,裁判手続,補助金の交付の申請手続その他総務省令で定めるものに係る作用を除く。))を新設し,若しくは廃止し,又は規制の内容の変更(提出すべき書類の種類,記載事項又は様式の軽微な変更その他の国民生活又は社会経済に相当程度の影響を及ぼすことが見込まれないものとして総務省令で定める変更を除く。)をすることを目的とする政策
ウ 国税における租税特別措置及び地方税における税負担軽減措置等(以下「租税特別措置等」という。)
- (ア) 次に掲げる措置について,法律又は法律に基づく命令(告示を含む。)の改正によりその内容を拡充する措置又はその期限を変更する措置(期限を繰り上げるものを除く。)が講ぜられることを目的とする政策
- i 租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(平成22年法律第八号)第三条第1項に規定する法人税関係特別措置
- ii 地方税法(昭和25年法律第226号)第757条第一号に規定する税負担軽減措置等のうち税額又は所得の金額を減少させることを内容とするもの
(法人の道府県民税(都民税を含む。),法人の事業税又は法人の市町村民税に係るものに限る。)
- (イ) そのほか,国税又は地方税について,租税特別措置法(昭和32年法律第26号)又は地方税法の改正により税額又は所得の金額を減少させることを内容とする措置(法人税,法人の道府県民税(都民税を含む。),法人の事業税又は法人の市町村民税に係るものに限る。)が講ぜられることを目的とする政策
なお,実施が義務付けられている法人税関係の租税特別措置等以外の措置(特定の行政目的の実現のために税負担の軽減・繰延べを行うものに限る。)に係る政策についても,積極的かつ自主的に事前評価を行うよう努めるものとする。
(2)実施手順
- ア 個々の政府開発援助に関する事前評価につき,国別開発協力第一課長,国別開発協力第二課長及び国別開発協力第三課長は,有償資金協力又は無償資金協力の実施の決定に先立ち,大臣官房考査・政策評価官と協議の上,協力の対象となる案件名,見込まれる供与額,案件の目的,当該協力の必要性・効率性・有効性,評価に用いた資料等を記載した評価書を作成する。
- イ 規制の事前評価については,対象となる規制の新設又は改廃を所管する課・室長は,かかる規制措置の実施に先立って評価書を作成し,大臣官房考査・政策評価官は,その評価の内容について審査を行う。なお,詳細は別途定める実施要領に基づくものとする。
- ウ 租税特別措置等の事前評価については,租税特別措置等の新設,拡充又は延長を要望しようとする課・室長は,その要望に際して,評価によって得られる情報が有用なものとして用いられるよう適切なタイミングで評価書を作成し,大臣官房考査・政策評価官は,その評価の内容について審査を行う。なお,詳細は租税特別措置等に係る政策評価の実施に関するガイドライン(平成22年5月28日 政策評価各府省連絡会議了承)に基づくものとする。
6 計画期間内において事後評価の対象としようとする政策その他事後評価の実施に関する事項(第6条第2項第六号)
(1)評価の対象
計画期間内において事後評価の対象となる政策は,政策評価法第7条に規定されている要件に該当する政策を含め,実施計画に明記することとする。ただし,社会経済情勢の変化等による政策の見直し・改善の必要,政策効果の発現状況等を勘案し,必要と考えられる場合には,適時に評価を行うものとする。
また,基本方針I5カに定める租税特別措置等に関する事後評価については,租税特別措置等に係る政策評価の実施に関するガイドラインに基づき,適切に実施するものとする。さらに,法人税関係以外の税目に関する租税特別措置等についても,積極的かつ自主的に事後評価を実施するよう努めるものとする。
(2)事後評価の方式
事後評価については,政策の決定後において,政策効果を把握し,これを基礎として,政策の見直し・改善や新たな政策の企画立案及びそれに基づく実施に反映させるための情報を提供する見地から行うものとし、外交政策の特性を勘案しつつ,実績評価方式による評価を行うことを基本とする。また,これらに加えて,必要と認められる政策については総合評価方式等を用いた評価を行うこととする。
(3)実施手順
- ア 大臣官房考査・政策評価官は,年度毎に,個別の政策を所掌する各局課(以下「政策所管局課」という。)の意見を取りまとめつつ,「政策評価法」第7条に規定する当該年度終了時点で行う事後評価の対象とする政策及び具体的な評価の方法を定めた,事後評価の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を策定するものとする。
- イ 政策所管局課は,年度終了時点において,当該年度の実施計画に基づいて,所管する政策について評価を行ったのち,評価結果を大臣官房考査・政策評価官に提出する。大臣官房考査・政策評価官は,必要に応じ,総合外交政策局総務課,政策企画室,大臣官房総務課及び会計課と共に評価結果に対する総合的な審査を行う。
- ウ 大臣官房考査・政策評価官及び大臣官房総務課は,各局課の評価の厳格性・客観性について問題があると判断されれば,当該局課にこれを通知するとともに,必要な措置をとることができる。
7 学識経験を有する者の知見の活用に関する事項(第6条第2項第七号)
(1)政策評価の実施に当たり,次のような場合を始めとして,必要に応じ学識経験者,民間の研究機関等の省外の評価者の活用を図るものとする。
- ア 省内では得られない高度の専門性や実践的な知見が必要な場合
- イ より高度の客観性や国民各位各層の多様な意見の反映が求められる場合
(2)省外の評価者の活用に当たっては,評価の対象とする政策の性質,評価によって得ることを期待する成果等に応じ,主として以下のような方式をとるものとする(ただし,これらの方式に限られるものではない。)。
- ア 個々の学識経験者等からの意見聴取
- イ 学識経験者等により構成される研究会等の開催
- ウ 外部の研究機関等の活用
8 政策評価の結果の政策への反映に関する事項(第6条第2項第八号)
- (1)各政策所管局課は,政策評価と予算・決算の連携を踏まえつつ,政策評価に基づき,その結果を政策の企画立案作業(予算要求(定員等を含む。)等)に反映させる。
- (2)総合外交政策局総務課及び政策企画室は,各政策所管局課の評価及びこれに対する総合的な審査の結果に基づき,次年度の総合的又は基本的な外交政策の企画立案に反映させる。
- (3)大臣官房総務課,人事課及び会計課は,政策評価の結果を,予算,定員・機構要求等に活用する。
9 インターネットの利用その他の方法による政策評価に関する情報の公表に関する事項 (第6条第2項第九号)
- (1)大臣官房考査・政策評価官は,「政策評価に関する情報の公表に関するガイドライン」(平成22年5月28日 政策評価各府省連絡会議了承)も踏まえ,決定された基本計画,実施計画,とりまとめた評価書,評価結果の政策への反映状況等を速やかに公表する。公表に当たっては,外務省ホームページへの掲載を原則とし,国民にとって容易に入手できる形をとる。
- (2)特定の情報を公表することの適否については,「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第42号)の規定に準じて判断する。
10 政策評価の実施体制に関する事項(第6条第2項第十号)
外務省における政策評価は,(イ)政策所管局課,(ロ)大臣官房考査・政策評価官,(ハ)大臣官房総務課及び会計課,(ニ)総合外交政策局総務課及び政策企画室が,相互に連携を図りながら,各々の所掌事務に基づいて実施する。なお,評価結果及び総合的審査結果等については省幹部への稟議等に付す。
(1)政策所管局課
政策評価担当官を指名し,当該局課が企画立案・実施する外交政策について評価を行う。
(2)大臣官房考査・政策評価官及び大臣官房総務課
政策評価総括組織として,政策評価の基本計画・実施計画の策定・改定等,外務省における政策評価に関する基本的事項を企画立案する。政策所管局課の評価が厳格かつ客観的に行われているかを,総合外交政策局総務課,政策企画室及び大臣官房会計課とともに総合的に審査し,政策評価の結果をとりまとめて公表する。 また,外務省内の政策の横断的な評価や複数の政策所管局課にまたがる政策の評価を適切に実施するため,所要の調整を行うことができる。
(3)大臣官房会計課
会計課は,大臣官房考査・政策評価官及び総務課並びに総合外交政策局総務課及び政策企画室と共に,特に評価と予算・決算との連携を確保する観点から,政策所管局課が実施した評価結果に対し総合的な審査を行う。
(4)総合外交政策局総務課及び政策企画室
大臣官房考査・政策評価官及び大臣官房総務課と共に,それぞれ総合的な外交政策の企画及び立案(総合外交政策局政策企画室)又は総合的あるいは基本的な外交政策の企画及び立案に関連する外交政策に関する事務の総括(総合外交政策局総務課)を所掌する立場から,政策所管局課の外交政策の評価結果について総合的審査を行う。また,政策所管局課の評価結果及びこれに対する総合的審査結果を総合的又は基本的な外交政策の企画立案に反映させる。
11 その他政策評価の実施に関し必要な事項(第6条第2項第十一号)
(1)評価方法の改善について
外務省は,平成14年度より政策評価を実施しているが,外務省が所掌する政策については評価手法の確立に独自の困難さがあることにもかんがみ,今後とも具体的な評価の実施の過程の中で,引き続きその改善を図る。
(2)外部からの意見・要望等の受付について
政策評価に関する外部からの意見・要望を受け付ける窓口は,大臣官房考査・政策評価官室とする。
- ア 外務省ホームページにおいても,外務省の政策評価に対する外部からの意見・要望等を受け付けるコーナーを設ける。
- イ これら意見・要望等については,大臣官房考査・政策評価官室にて,外務省としての評価制度の改善に活用するとともに,必要に応じて関係課に通知し,関係課が評価を行う上で参考として適切に活用する。
(3)基本計画の見直しについて
基本計画については,政策評価法令又は基本方針の見直し,政策効果の把握の手法その他政策評価の方法に関する調査,研究及び開発の成果や動向等を踏まえ,必要に応じ所要の見直しを行う。