東京大学法学部 小幡奈々江
インターン期間中に開催された「日米共催第2回国連平和維持活動幹部要員訓練コース(GPOI SML)」の準備と運営を行いました。GPOIは、将来的に国連平和維持活動(PKO)の幹部として活躍することが期待されている、アジア太平洋地域諸国11カ国からの軍人、警察官、文民が対象の訓練コースであり、外務省内で2週間に渡って開催されました。GPOIには米国関係者、世界中からの講師・参加者、国連からのゲストなどが来日していたため、インターン期間中は英語を使う機会がとても多かったです。
GPOI開始前には、様々な資料や書類の確認・改訂作業を行いました。例えば、関係者の方々は世界中から来日する予定だったので、到着便・時間の確認や彼らの移動に使われる車やバスの配車表の作成を行いました。こういった作業はとても厳密で細かく、何度も自分の確認の甘さを痛感しました。さらに、想定外なことを想定しながら準備をしている省員の方の姿勢から学ぶことが多くありました。
特に印象に残っている作業は、開講式とレセプションで読み上げられるスピーチ原稿の英訳をさせて頂いたことです。その他にも、米国関係者との電話会議や事前打ち合わせなどにも同席させて頂き、いわゆる外交官らしい業務にも立ち合わせて頂きました。
GPOI初日には開講式とレセプションが行われました。省内の国際会議室で開催された開講式にはGPOIの講師と参加者の他に米国関係者、来賓や記者の方々も出席されたため、それぞれの方の到着時間に合わせて到着場所に待機し、会場まで誘導をしました。同日に行われたレセプションでは、会場準備と受付を行いました。途中からレセプションにも参加させて頂き、GPOI関係者以外にも、外務省・他省、在日大使館、国連職員の方など、様々な立場の方とお話をする機会があり、本当に刺激的でした。
GPOI開催中はゲストや講義聴講者の誘導、ちょっとした通訳、書類や資料を作成をするなど、適宜必要な業務を行っていました。
GPOIは講義と演習によって構成されていたのですが、インターン中は自由に講義を受講させて頂けました。私は大学で「国連安保理と紛争解決」ゼミに所属していて、国連PKOの任務が確定するまでの政治力学を勉強していたのですが、GPOIを通じてPKOが任務を受け現場でどのように展開されているかや、日本政府の立場を具体的に学ぶことができました。興味のある人権・人道、ジェンダーや法の支配に関する講義や、映像資料が用いられる講義を中心に受講したのですが、実際に国連PKOの現場経験のある講師の方による講義には現実味があり、紛争現場の残虐さや国連による紛争解決の困難さを学びました。それでも国連PKOにしかできない活動があることを強く信じ、講師・参加者の皆さんが正義感を持ってお仕事をされていることに大きな感銘を受けました。
閉講式では参加者へ修了証が贈呈され、関係者から最後の挨拶などが行われました。
私にも賞状("Certificate of Appreciation")を用意してくださっていて、とても嬉しかったです!
インターン期間中は主にGPOIの準備や運営をさせて頂いていたのですが、国際平和協力室での実習を全く行わなかったわけではありません。例えば、国連PKOに関する外部向け資料の改定や国際平和協力室に関連した新聞記事のコピー・室内での配布などの日常業務などを行いました。
国連PKO資料の改訂は国連PKO局のウェブサイト(英語)を参照しながら、国連PKOの任務や統計(各国からの派遣要員数、死傷者など)の情報の改訂し、資料によっては翻訳もしました。外務省の各課室では、このように様々な外交に関連した資料を日本人が情報を得やすい形で提供しています。例えば、国連PKO要員の国別統計資料を改訂していて、国名がアルファベット順ではなく五十音順に並べてあるなどの細かい配慮がなされていることに気付きました。このような地道な作業も外務省の大事な業務だと感じました。
国際平和協力室での3週間のインターンは、毎日が充実していて、あっという間に終わってしまいました。インターン初日から首相・閣僚が代わり、ニュースでは南スーダンPKO派遣が話題になり、現実の政治や世界情勢と共に業務が進む外務省での実習は本当に刺激的で、毎朝登庁するのが楽しみでした。そういった日々の業務に加えて、GPOIという日米両政府が9ヶ月以上かけて準備した一大イベントが開催されている時期にインターン生として実習をさせて頂き、とても恵まれていたと思います。
インターン生といっても、国際平和協力室では幅広い業務に挑戦させてくださいました。さらに、ただ作業を与えるだけではなく、その仕事の背景やそれが持つ意義を丁寧に説明してくださったので、自分が関わっているイベントや作成している資料が長期的にどれだけ重要な意味を持っているのかを意識しながら実習に取り組むことができました。また、日々の実習中やランチなどで気さくに話してくださる省員の方ばかりで、話しをしていると、しっかりとした自分の興味関心の軸や方向性を持って仕事をしている方が多いのが印象的でした。
私は以前から国連や外交に興味を持ち、外務省を志望していたのですが、丁度進路選択に迷いが生じているときに外務省でのインターンという二度とない貴重な機会を頂きました。この記事を読んでくださっている方のほとんどは外務省志望者のだと思いますが、少しでも外務省に興味がある場合はぜひ夏のインターンに応募することを強くおすすめします。インターン期間は短く、インターン生として携われる業務には制限があり、課室によって雰囲気がぜんぜん違うので見ることができる世界は限られているようには思えます。しかし省員の方々と毎日同じ空間で過ごし、外務省の仕事を肌で感じることができる機会は他に絶対にありません。そしてインターンを経て、きっと外務省が大好きになります。