外務省外交史料館企画展示
外交史料館では、日本外交史上きわめて重要な意見書や在外公館から本省に宛てた意見具申電報を、数多く所蔵しています。
わが国が直面した戦前期の重要な外交局面において、日本の外交官が国の将来をどのように考え、いかにその信念を訴えたのか。
本企画展示では、現在読み返しても含蓄のある優れた文章であり、学ぶべきところが大きいこれら意見書の原本史料をご紹介します。
(第1回日英同盟協約)
「・・・今や欧州列強は或は三国同盟と云い、或は二国同盟と称し、各合縦連衡に依りて己れの利益を保護並に拡張しつつあり・・・故に我邦に於ても此際断じて協約を結ぶの得策なるを信ず。」
――小村寿太郎(外務大臣)
(有田駐オーストリア公使意見具申電)
「出先官憲が外国領土に在りて広汎なる行動の自由を有する様にては、国策を誤り、国家を危地に陥し入るる結果を生ずべく、誠に憂慮に堪えず。」
――有田八郎(駐オーストリア公使)
(野村駐米大使意見具申電)
「・・・今や和戦の分岐点に臨みつつあり。・・・此の際、政治の局に在る者は真に国家百年の為に大勇猛心を発揮すべく、一時の毀誉褒貶の如きは忍んで之を度外視せざるべからず。」
――野村吉三郎(駐米大使)
(佐藤駐ソ大使「最後の終戦意見電」)
「・・・仮令之が為本使は敗戦主義者を以って非難せらるるも、之を甘受すべきに依る如何なる責任に問わるるも謹んで御受けすべきことを申し添ゆ。」
――佐藤尚武(駐ソ大使)