外務本省

根本正の中南米諸国出張(1894年)

2.「南米伯剌西爾、中米尼加拉瓦、瓦地馬拉、西印度ゴァデロプ探検報告」

*伯剌西爾=ブラジル、尼加拉瓦=ニカラグア、瓦地馬拉=グアテマラ

(写真)「尼加拉瓦運河開道前後航路比較圖」及び「尼加拉瓦運河ノ圖」
「尼加拉瓦運河開道前後航路比較圖」
及び「尼加拉瓦運河ノ圖」

1894年、外務省通商局の根本正(ねもと・しょう)は移民地探索とニカラグア運河調査のため、ニカラグアとグアテマラに出張した。根本派遣には、移民政策とニカラグア運河に強い関心を有していた当時の外務大臣、榎本武揚(えのもと・たけあき)の意向が強く反映していたものとされる。

7月16日に横浜を出発した根本は、アメリカを経由してブラジルに渡り、リオデジャネイロなどを訪問したのち、10月27日より翌1895年1月16日まで、ニカラグア、グアテマラ、西インド「ゴァデロプ」(現在のフランス領グアドループ島)を訪問し、調査を行った。

帰国後根本は訪問国の地理や気候、主要産品、政治制度、移民の可能性などを詳細に検討した報告書を提出した。この中で根本はニカラグア運河について「尼加拉瓦運河ハ大西太平二大洋ノ関門ニシテ全世界貿易ノ要衝ナリ・・・米国「ロツキー」山以東ノ諸州ト太平洋附近ノ地及太平洋中ノ諸島ニ住居スル五億万ノ人民トノ間ニ密接ナル商業上ノ関係ヲ生セシムルモノハ独リ尼加拉瓦運河ナリ」と、その重要性を強調し、また、グアテマラについては、「移民ニ適スルノ沃土アリ開拓事業ノ管理其宜キヲ得ハ必ス其功ヲ奏スベシ」と、当地が日本からの移民に適していることを記している。

なお、根本はその後、自由党、ついで立憲政友会に加わり、1898年から1924年まで衆議院議員を務めた。

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