外務省外交史料館 企画展示
平成23(2011)年3月11日,東日本大震災が発生し,甚大な人的・物的被害をもたらしました。わが国では,これまでにも関東大震災をはじめ,様々な震災被害を体験してきましたが,外交史料館の所蔵記録の中には,過去の震災において諸外国からどのような支援を受けたのか,日本政府がこれに対してどのような対応を行ったのかなどを示す史料が数多く残されています。特に大正12(1923)年発生の関東大震災については100冊以上に及ぶ膨大な記録ファイルがあります。また明治29(1896)年と昭和8(1933)年に発生した2回の三陸地震では津波被害が甚大でしたが,これらの関係記録も所蔵しています。
今回の企画展示では,関東大震災と明治・昭和三陸地震を取り上げ,外交史料に現れた被害状況,諸外国の支援,日本政府の対外措置や復興策を振り返ります。過去の大震災において日本が国際社会とどのように関わってきたかを理解することは,復興に向けて諸外国との連帯を強める上で何らかの示唆を与えてくれるものと思われます。また,東日本大震災に対しては世界各地の方々から被災者と日本への暖かい支援の輪が広がっていますが,今回の展示を通じて,改めて「国際社会との絆」の大切さを体感していただければ幸いです。
山本外相より在英国林大使,在米国埴原大使,在仏国石井大使,
在シンガポール浮田総領事宛電報
大正12(1923)年9月2日発
大地震発生を主要在外公館へ伝えた電報。
山本外相より在米国埴原大使宛電報 第447号
大正12(1923)年9月6日発
クーリッジ米国大統領は震災の報を受けるとすぐに,救援のための軍艦派遣や義捐金寄付の呼び掛け等を行った。本電報はこうした米国の好意に対し謝意を表明するよう訓令したもの。
在ベルギー安達大使より松井外相宛公信 普通第11号
大正13(1924)年2月5日発
ベルギーでは義捐金を集めるために各地で演劇やコンサートが開 催された。本史料はその様子を伝える報告書に添えられたコンサ ートのプログラム。
孫文より山本首相宛見舞状
大正12(1923)年9月21日付
孫文は9月5日に摂政宮(後の昭和天皇)に見舞の意を 伝えた。本史料はその後,山本首相宛に送付されたもの。
昭和天皇・在本邦キャッスル米国大使会談要旨
昭和5(1930)年4月17日
昭和天皇が,関東大震災時の米国の多大な援助に謝意を表明すると,米国大使は日本が一大復興を遂げたことは賞嘆に値すると 述べた。
昭和三陸地震による岩手県津波被害図
岩手県作成 昭和9(1934)年
昭和三陸地震の1年後に岩手県が作成した津波被害図。