平成18年9月19日
伊藤信太郎外務大臣政務官は、9月11日~15日の日程で、非核化協力事業に関する関係者との意見交換及び現場視察のため、ウラジオストク及びカムチャツカを訪問したところ、概要と評価は以下のとおり。
(原潜解体署名式及び造船所視察)
ズヴェズダ造船所においてヴィクターI級退役原潜解体契約署名式に出席し、伊藤政務官から、日露非核化協力が着実な一歩を歩んだ事を評価する旨述べた上で、説明責任の観点からロシア側による情報提供等一層の努力がなされるよう理解と協力を要請した。
(ヴィクターI級退役原潜解体契約署名式)
(退役原潜解体現場視察)
(ルイセンコ・ダリラオ社社長との会談)
伊藤政務官から、原子炉区画陸上保管施設建設事業についてロシア側による十分な情報提供及び施設周辺住民に対する広報の必要性、海上保管における放射能汚染及び水産資源への影響等について意見交換がなされた。
(ローゼンベルク沿海地方第一副知事との会談)
伊藤政務官から、非核化協力を始め、運輸・観光、環境保全等の分野での関係強化を求めていきたい旨述べた。併せて、日本漁船に対する銃撃・拿捕事件について言及し、日露間の問題が平和的に解決できることを期待する旨述べた。これに対し、ローゼンベルク沿海地方第一副知事より、感謝の意が表されるとともに、日露共同プロジェクトは相互の信頼を深めるものであり、一層の協力を期待する旨述べた。併せて、銃撃・拿捕事件について、哀悼の意が表せられるとともに、これからの日露関係に悪い影響を与えないよう期待する旨述べた。
(ルイセンコ・ダリラオ社社長との会談)
(ローゼンベルク沿海地方第一副知事との会談)
(マルトゥイシン太平洋艦隊司令部参謀長との会談)
伊藤政務官から、解体契約署名を評価する一方で、ロシアによる新型原潜配備は、本件協力にとって重大な問題になりうることから十分留意するよう要請するとともに、太平洋艦隊による万全なテロ対策を要請した。これに対し、マルトゥイシン参謀長より、感謝の意が表せられるとともに、本件協力に日本国民が意義を見いだし、協力してくれることを承知しており、日本の心配の無いように対応していく旨述べた。
(マルトゥイシン太平洋艦隊司令部参謀長との会談)
(国防省北東地域修理・解体センターの視察)
国防省北東地域修理・解体センターにおいて退役原潜解体現場を視察し、解体要領、放射能面での安全性等について意見交換を行った。
(エルモレンコ・カムチャツカ州第一副知事との会談)
伊藤政務官から、今後は地方行政府間及び民間企業間における関係を発展させることが重要であり、同時に観光交流及び非核化協力を推進することが重要である旨述べた。併せて、日本漁船に対する銃撃・拿捕事件について、日本国民が受けた衝撃について理解を求めた。
(国防省北東地域修理・解体センターの視察)
(エルモレンコ・カムチャツカ州第一副知事との会談)
今回の訪問において、我が国が解体事業を支援する予定の5隻の原子力潜水艦の1隻(ヴィクターI級原潜)について契約署名が行われ、非核化協力の着実な進展を示すものとなった。また、ロシア側関係者からは、我が国の非核化協力に対する高い評価、謝意が示されるとともに、今後の協力においてロシア側による情報提供の必要性等について理解が得られた。
2003年の日露行動計画に従い、これまで日露関係は幅広い分野で発展がみられているが、豊かな天然資源、日本との地理的近接性等の観点から、我が国がロシア極東地域との関係を重視しているとのメッセージを高いレベルで関係者に伝達することができた。