皆様こんにちは、
今ご紹介頂きました外務大臣政務官の伊藤信太郎でございます。午後のセッションにあたりご挨拶申し上げたいと思います。
「国連持続可能な開発のための教育の10年」、いわゆる「ESDの10年」は、2002年のヨハネスブルグ持続可能な開発のための世界サミットにおきまして、小泉総理が日本のNGOの提言を受けて提案し、更にその年の国連総会で全会一致で採択された、日本発のイニシアチブでございます。
このイニシアチブの提唱国として、日本政府は、昨年12月、関係行政機関相互間の緊密な連携を図り、総合的かつ効果的な推進を図るために、「ESDの10年」関係省庁連絡会議を内閣に設置いたしました。今年の3月30日、この連絡会議において、各方面からの意見も踏まえて、日本における「ESDの10年」に関する実施計画が策定されたわけでございます。
ご列席の皆様、
本日午後のセッションでは、日本の実施計画を公表し、「ESDの10年」の主な関係者の皆様にそれぞれの立場から抱負を語って頂きたいと思います。本日の対話をひとつのきっかけとして、より多くの人々の協力を得て「ESDの10年」が具体的に力強く推進されることを大いに期待したいと思います。
「ESDの10年」の推進にあたって、先ず何よりも重要なのは、より多くの皆様にこの取り組みを知って頂くことではないかと思います。外務省といたしましても、これまで雑誌やラジオなどのメディアやこの環境教育推進対話の場を利用して、広報して参りましたが、なかなか十分ではなかったのではないかという反省もございます。因みに、果たして日本でどのくらいの人々が「ESDの10年」を知っているのかというと相当疑問です。そこで、今年の2月、全国の20歳以上の日本国民の方を対象に電話アンケートを実施しました。1,010件の回答がありましたが、このうち、国連による「持続可能な開発のための教育の10年」を知っているかという問に対し、知っていると答えた方々は全体の17%に過ぎなかったわけです。この数字を多いと捉えるのは難しいかと思いますが、比較として申し上げれば、同じく日本主導の環境イニシアチブである「3R」、つまり廃棄物の発生抑制・再利用・再生利用の認知度が54.8%であったわけでございまして、まだまだ「ESDの10年」の広報に工夫を加えるなどして取り組んでいく余地があると思います。
今般政府として、「ESDの10年」のキャッチコピーを募集しましたのも、国民参加で広報していこうという考え方の具体的な実践でございます。お陰様で180件の作品が集まったわけですが、この中から、有識者の協力を得て、皆様のお手元のパンフレットにありますキャッチコピー「この地球(ほし)を 未来へつなぐ 学びの10年」を優秀作品に選定させて頂きました。ESDの取り組みが地球全体の未来を左右することを表現するこの素晴らしいコピーは、三重県の坂田 広峰(さかた ひろみね)さんから応募頂いたもので、この場を借りて御礼とお祝いを申し上げたいと思います。今後、より多くの方々がこのコピーを通じて、「ESDの10年」に親しまれ、実践して頂けることを強く希望いたします。
ここのところ新聞紙上、また、テレビを見ますと、日本だけではなく世界中で悲惨な事件や環境破壊、紛争などのニュースが報道されております。持続可能な社会を築き上げることは並大抵の努力では実現できないわけですが、しかし、諦めるわけにはいきません。この素晴らしい地球を次の世代、また未来に繋げるためには、私たち一人一人が努力する必要がありますが、その努力が地球全体のものとなる時には、私たち、私たちの子供たち、また人間だけではなく全ての生き物の未来というものも拓けてくるのではないかと思います。私といたしましても、このためにこれから皆様と「ESDの10年」に共に取り組んでいきたいと強く思いますし、今日のセッションが新しい智恵やエネルギー、また相互理解を大きくしていくことを大いに期待し、また、皆様と共に過ごす時間を幸せに感じて、お祝いとさせて頂きます。