前原外交を語る

経済外交:「4つの柱」,「経済外交推進本部」

大臣の日本経団連評議員会における来賓挨拶(要旨)
(平成22年12月20日(月曜日):経団連会館)

 本年9月に外務大臣に就任以来,経済外交を中心に外交を進めています。人口減少や,少子高齢化,財政赤字に直面する我が国の現実は厳しく,持続的可能な社会として発展するための経済成長は必須です。こうした中,経済外交に「4つの柱」を掲げ取り組んでいます。

(自由な貿易体制(EPA/FTAの推進・マルチの自由貿易体制))
  第一の柱である自由な貿易体制については,インド及びペルーとの経済連携協定交渉を完了させました。また豪州,韓国,EUとの間でも交渉の進展や交渉再開・開始に向けた取組の加速化を進めています。また,本日(20日)午前中には,「経済外交推進本部」の第一回会合を開催し,どの国とEPAを進めるか等についても議論したところですが,TPP,ASEAN+3やASEAN+6などについても,農業の国内対策をしっかり行いながら進めていきたいと考えています。自由な貿易体制を作るために,私(大臣)がリーダーシップを発揮して取り組んでいます。

(インフラ海外展開)
  第二の柱であるインフラ海外展開に関しては,官民連携で行っていきたいと思います。ベトナムの原発受注は,我が国にとり初めての原発の海外での受注であり,大きな成果となっています。また,今月チュニジアにおいて,第二回日本・アラブ経済フォーラムが開催され,私(大臣)も出席しましたが,40件近くの案件がまとまりました。今後,このような様々な地域経済フォーラムをバックアップしていきたいと考えています。
 また,ODAを戦略的に使うことにより,日本企業の受注につながるように取り組みたいと思います。JICAの海外投融資,JBICの投資金融やNEXIの貿易保険の拡充など,官民をあげてインフラ受注に向けて取り組みたいと考えています。
 日・アラブ経済フォーラムでチュニジアを訪問した後,アルジェリアを訪問しましたが,このアルジェリア訪問は,日本の外務大臣として初めてのものでした。アルジェリアでは,高速道路計画があり,すでに民間が努力していますが,官民あげて緊密に連携を取り,日本企業の活動を促進するため,投資・ビジネス環境を向上させることが必要です。このような動きをバックアップするために,各国との間で投資協定,租税条約,原子力協定などの二国間協定を進めていきたいと思います。

(資源・エネルギー・食料の長期的な安定供給の確保)
  第三の柱は,資源・エネルギー・食料の安定供給の確保です。資源についてレアアースは,埋蔵国は多いものの,生産は中国に集中しており,日本の供給国の多角化が重要です。9月に就任以降,モンゴル,ベトナム,インド,カザフスタン,豪州,米国などとの協力関係を強化し,多角的な資源外交を推進しました。

(観光)
 第四の柱観光です。観光に関しては,私(大臣)が国交大臣当時から取り組んできたものです。日本の観光は,Outbound(出国日本人数)が1500万人に比べてInbound(訪日外客数)が670万人と少なく,その差は2倍以上の差があり,日本経済にとっては問題です。つまり,日本人のお金が国内で使われず,海外でも使われていることになり,日本経済のためにはなりません。外国人が日本に来て,購買し,宿泊し,日本の交通機関に乗り,地域を巡るようにすることで,日本経済を活性化したいと思います。この観点から,本年7月から中国人の個人観光ビザの発給基準を緩和しました。また,アジアを中心に世界の方々に我が国の最先端医療や温泉等を利用していただくための「医療滞在ビザ」を創設し,明年1月より,運用を開始します。今後とも在外公館と協力しながら,Inboundを強めていきたいと考えています。

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