2月5日(金曜日)から7日(日曜日)まで、武正外務副大臣は、ドイツ・ミュンヘンで開催された第46回ミュンヘン安全保障会議に出席したところ、概要は以下のとおり。
1.第46回ミュンヘン安全保障会議
(1)今回の会議は、3日間で合計7つのセッションに、ヴェスターヴェレ独外相、イワノフ露副首相兼外相、ジョーンズ米大統領補佐官、ラスムセンNATO事務総長、カルザイ・アフガニスタン大統領、天野IAEA事務局長等の参加を得て、欧州安全保障、核軍縮・不拡散、NATO戦略、アフガニスタン問題等のテーマにつき活発な議論が行われた。
(2)本年は、核セキュリティ・サミットやNPT運用検討会議を控え、核廃絶に向けた国際社会の機運が高まりを見せている中、核軍縮・不拡散問題に関心が寄せられた。中でも、核大国である米露による、START後継条約への合意を含む核軍縮における取組に対する指導力の発揮に期待感が示された。また、イランの核問題については、モッタキ・イラン外相が出席するセッションが設けられたが、基本的にこれまでの主張を繰り返すにとどまり、苛立ちと失望感とともにプロセスに対する厳しい見方が示された。特に、米欧諸国においては、同問題の扱いを失敗することによる、中東全域及び国際社会全体における核拡散の脅威に対する危機感が強調された。
(3)また、欧州安全保障及びNATO戦略の文脈では、ラスムセン新NATO事務総長及びアシュトン新EU外務・安全保障政策上級代表の参加を得て、欧州の統合、同盟関係やグローバル・パートナーシップに対する意識改革の必要性、台頭する新たな脅威に対する戦略の見直しの必要性が強調された。中でも、欧州諸国の集団安全保障とロシアとのパートナーシップとの関係について議論が集中した。
(4)カルザイ・アフガニスタン大統領の2期目の大統領就任を経て、また、アフガニスタンに関するロンドン会議の直後というタイミングもあり、同国主導による治安回復と復興努力に期待が示された。同大統領は、演説において、国際社会による支援を歓迎しつつも、いつまでも国際社会の負担となってはならず、早期に自立し、自国の政府主導による国家建設の実施が必要であるとの認識を表明した。なお、同大統領は、演説において、我が国による同国に対する和解・再統合努力への支援及び5年間で50億ドルを上限とする復興支援を取り上げ、謝意を表明した。
(5)武正外務副大臣は、「欧州及びグローバル安全保障の将来」のセッションにおいて、会場からの最初の発言者として指名され、アジア太平洋地域の安全保障環境に触れつつ、日米同盟の重要性及びグローバルな課題に対処するための日欧協力の重要性について言及した(ハイチPKOへの自衛隊派遣も紹介)。
2.要人との会談
武正副大臣は、滞在中、モラティノス・スペイン外相、エインズワース英国防相、ビルト・スウェーデン外相、ホイヤー・ドイツ外務省国務相、カーン・パキスタン外務担当国務相、ビルト・スウェーデン外相、アヤロン・イスラエル副外相等15人の要人と会談を行ったほか、レセプションの機会等に多くの立ち話を行った。
会談においては、二国間関係を取り上げたほか、特に、アフガニスタン支援、地球温暖化対策、日EU・EPA共同研究立上げの提案、国連安保理改革及びEUの対中武器禁輸問題に関する我が国の立場への理解を求めるとともに協力を要請した。
日付 | 内容 |
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2月5日 | ポロシェンコ・ウクライナ外相との会談 ミュンヘン市長主催夕食会参加 第46回ミュンヘン安全保障会議参加 |
6日 | 第46回ミュンヘン安全保障会議参加 天野IAEA事務局長との会談 パエト・エストニア外相との会談 ホイヤー・ドイツ外務省国務相との会談 エインズワース英国防相との会談 モラティノス・スペイン外相との会談 ボルド・モンゴル国防相との会談 ユクネビチエーネ・リトアニア国防相兼外務大臣代行との会談 カーン・パキスタン外務担当国務相との会談 ムラディノフ・ブルガリア外相との会談 ビルト・スウェーデン外相との会談 ミロショスキー・マケドニア外相との会談 アヤロン・イスラエル副外相との会談 バイエルン州首相主催夕食会参加 |
7日 | 第46回ミュンヘン安全保障会議参加 リエクスティンシュ・ラトビア外相との会談 ライチャーク・スロバキア外相との会談 |