外務本省

金田外務副大臣のメキシコ、パナマ及び米国訪問(概要)

平成18年5月8日

 金田外務副大臣は、5月2日から8日まで、メキシコ、パナマ及び米国を訪問。メキシコでは、日・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)の合同委員会第2回会合に日本側議長として出席。パナマでは、トリホス大統領及びルイス・ナバロ第一副大統領兼外相等と会談。また、米国では、昨年8月のハリケーン・カトリーナにより被害を受けたルイジアナ州ニューオリンズを訪問し、ネーギン・ニューオリンズ市長と会談、被災現場を視察したほか、テネシー州ナッシュビルを訪問し、現地邦人企業関係者と懇談。それぞれ主なポイントは以下のとおり。

1.メキシコ訪問

 メキシコは、中南米における最も重要な貿易・投資相手国の一つであり、対米州戦略上の重要拠点(日本企業約300社進出)。日本にとって初めての本格的なEPAである日墨EPA発効(2005年4月)から1周年の機会での訪問。

(1)日墨EPAの合同委員会第2回会合

(写真)合同委員会の模様

<合同委員会の模様>

(写真)合同委員会決定文書への署名

<合同委員会決定文書への署名>

(2)現地進出日本企業関係者との会合

(3)アランダ外相代行との会談

(4)日系人との懇談

2.パナマ訪問

 パナマは、日本の物流にとって戦略的に重要なパナマ運河を有し、現在中米統合機構(SICA)議長国を務める。近年、日本とパナマのハイレベルの交流は停滞気味であった(1995年以来大統領の訪日はなく、我が方も1998年の町村政務次官訪問以来、副大臣クラス以上の訪問実績なし)が、今次訪問はハイレベルの政策対話活性化の契機となった。特に、パナマ運河拡張計画発表の直後のタイミングの訪問となった。

(1)トリホス大統領表敬

(2)ルイス・ナバロ第一副大統領兼外相及びアレマン運河庁長官との会談

(写真)トリホス・パナマ大統領表敬

<トリホス・パナマ大統領表敬>

(写真)ニューオリンズ被災現場視察

<ニューオリンズ被災現場視察>

3.ニューオリンズ訪問

 昨年8月のハリケーン・カトリーナ後初めての我が国政治レベルの訪問。ネーギン市長と会談して、お見舞いと支援を表明。今なお生々しい被災現場を視察。

(1)死者1,300名、行方不明者1,000名を出したハリケーン・カトリーナにより、ニューオリンズ市の8割(45万戸)が浸水、今でも21万戸は居住不可能。元の人口45万人のうち約6割(24万人)は避難先から帰還していない。連邦政府は次のハリケーン・シーズン到来前の6月1日を目標に大規模な堤防補強工事を突貫工事で進めているが、市民の「安全と安心」は回復されていない。

(2)ネーギン市長との会談では、これまで日本の民間等から少なくとも4,000万ドルの支援が行われたことに言及し、日本国民がジャズのメッカとして知られるニューオリンズ市に強い友情を感じている印である旨述べた。また、日本政府は多額の支援は出来ないが、むしろ同様に自然災害の多い国として、「災害復興」や「防災」について一緒に考えるべくニューオリンズ市の防災関係者8名を日本に招待したいと表明、先方は、そのような未来に向けた対等な協力を提案されたのは日本が始めであり、強く勇気づけられるとして感謝を表明した。

(3)ニューオリンズはジャズとケイジャン料理に代表される文化の街で、市中心部では活気が戻りつつある。
 我が国は、引き続き、困難にある友人に手を差し延べる姿勢を堅持しつつ、文化交流を中心に活動を進める。

4.ナッシュビル(テネシー州)訪問

 米国では人口及び経済成長が北部から南部に動き、これに伴って政治の重心も南進しつつある。その旗手であるナッシュビルを訪問して、邦人企業関係者と今後の戦略について協議した。これを我が国政府の南部におけるプレゼンス強化の契機としたい。

(1)テネシー州の州内総生産は、対1980年比479.5%、全米ランキングは24位から18位に躍進。日系企業は日産、日野、ブリヂストン等自動車関連産業を中心に進出、今では約3万人の雇用を創出している。

(2)ナッシュビルを中心とする中部テネシーには2,000名以上の邦人が居住し、強力な日本人会を組織、今後この地を日系企業の一つの拠点としていこうとのエネルギーが満ちている。日本人会の役員はいずれも現場をとりしきる働き盛りであり、NY等とは違った情報を有していると見受けられた。日本文化紹介等の活動にもこれから協力していきたいとの気持ちもある。

(3)邦人側からは、総領事館の日頃の活動に対して高い評価が示されたが、今後あらゆる方面で一層の連携を図るためには総領事館のニューオリンズからナッシュビルへの移転を要請したいとの率直な希望が表明された。これに対し、最近の外務省の邦人企業支援強化の方針を伝達し、協力強化を確認した。

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