8月30日午後1時(日本時間午後6時)より約1時間、金田勝年外務副大臣はラヴロフ外務大臣と会談を行ったところ、概要以下のとおり。
(1) 金田副大臣より、初めに午前中のキリエンコ連邦原子力局長官との会談の報告の後、8月16日の日本漁船に対する銃撃・拿捕事件に関する日本の立場を改めて申し入れた上で、概要以下のとおり発言。
(イ) 8月28日の麻生大臣とラヴロフ大臣との電話外相会談でのやり取りを踏まえ、同30日、2名の乗組員の引渡しが実現したことにつきロシア側の尽力を評価する。
(ロ) 日露関係に悪影響を及ぼさないためにも、改めて船長及び船体の速やかな解放を求める。
(ハ) 漁業協力に関する既存の協定・枠組みについては、これらの協定・枠組みを堅持し、その下で安全かつ安定的な操業を行うために双方で努力していくべき。
(ニ) 以上を実現することが、平和条約交渉を含め幅広い分野における協力を引き続き発展させることに資し、日露双方の利益に合致する。
(ホ) また、8月27日の日本漁船による「ロシア領海侵犯」に関しロシア外務省が日本側に抗議していた件について、日本側の調査結果を示し、ロシア側による事実関係の再確認を求めた。
(2) これに対し、ラヴロフ大臣より、概要以下のとおり述べた。
(イ) 亡くなった乗組員に対して改めて遺憾と哀悼の意を表明する。
(ロ) ロシア側としても人道的観点から尽力し、乗組員2名の引渡しを行った。
(ハ) 今般の事件については、船長にその責任がある。
(ニ) 漁業分野を含めあらゆる分野で日本との関係を進展させたい。
(ホ) また、上記(1)(ホ)の金田副大臣からの求めに対しては、ロシア側の事実誤認であり、ロシア側としても漁船が合法的に操業していたことを認めた。
(ヘ) なお、ロシアの退役原潜解体に対する日本の協力に対し、これを高く評価する旨の発言があった。
(ラヴロフ外務大臣との会談)
(1)ラヴロフ大臣自ら、漁業、非核化支援等の分野を始めとする日本との協力関係の重要性を確認した。当方からは、こうした両国の良好な関係の部分に影響を与えることのないよう我が国の国民感情も考慮しつつ、本事件に対応するようロシア側に申し入れた。
(2)8月27日に日本漁船が「ロシア領海」を「侵犯」したとしてロシア外務省が日本側に抗議していた件に関し、ラヴロフ大臣自ら、ロシア側の事実誤認であったことを認めた。