
金田外務副大臣のウィーン訪問(概要と評価)
平成18年9月4日
8月29日、金田勝年外務副大臣は、ウィーンを訪問し、エルバラダイIAEA事務局長及びヴィンクラー・オーストリア外務閣外大臣と会談を行った。
1.エルバラダイIAEA事務局長との会談概要
(全般)
- 金田副大臣より、エルバラダイ事務局長の指導の下でIAEAが国際的な核不拡散体制の維持・強化に貢献してきたことに対する評価を伝達。
(イランの核問題)
- イランの核問題については、金田副大臣より、イランが、安保理決議1696に従い、速やかにすべての濃縮関連・再処理活動を停止し、交渉のテーブルに戻ることを働き掛けていくことが重要との考えを伝達。エルバラダイ事務局長からは、今後数週間の対応が重要、北朝鮮のようなNPTからの脱退宣言やIAEA査察官の追放といった事態を招かないよう注意深く対応する必要がある、国内政治上、イランが濃縮関連活動を完全に停止することは困難と思われるが、国際社会はイランに核兵器の開発を許してはならないことでは一致している旨発言。
(北朝鮮の核問題)
- 北朝鮮の核問題については、金田副大臣より、安保理決議1695の着実な実施の重要性、本件の解決に向けた国際的な取り組みにおいてIAEAも引き続き重要な役割を果たしていくことへの期待を伝達。エルバラダイ事務局長からは、六者会合を通じた対話の枠組みによる解決が重要である旨発言。
2.ヴィンクラー・オーストリア外務閣外大臣との会談概要
- 金田副大臣より、4月のシュッセル首相のEU議長国としての訪日等の両国間の要人往来及び2国間関係について言及し、両国の友好関係が一層強化されることを希望する考えを述べた。
- これに対し、ヴィンクラー閣外大臣より、両国の有識者の対話の場である「日墺21世紀委員会」について、両国関係を増進していくに当たって是非同委員会を活用していきたいとの発言があった。
(ヴィンクラー・オーストリア外務閣外大臣との会談)
3.訪問の評価
(1)エルバラダイIAEA事務局長との会談
(全般)
- エルバラダイ事務局長の指導の下でIAEAが国際的な核不拡散体制の維持・強化に重要な役割を果たしている中で、イランの核問題や北朝鮮の核・ミサイル問題という核不拡散上の喫緊の課題に関し、その解決に向けて自ら積極的にイニシアティブを発揮してきている同事務局長との間で、ハイレベルで突っ込んだ意見交換を行うことができた。
(イランの核問題)
- 特に、イランの核問題に関するエルバラダイ事務局長の報告(8月31日発出)に国際的な注目が集まる中、同報告に先立ってイランを巡る情勢の認識について同事務局長との間でハイレベルの意見交換を行うことができたことの意義は大きい。
(2)ヴィンクラー・オーストリア外務閣外大臣との会談
- 金田副大臣は、ヴィンクラー外務閣外大臣との会談において、両国間の良好な友好関係を再確認するとともに、2009年の日・オーストリア外交関係樹立140周年に向けて、今後の協力について両国間で検討していくことで一致した。