ASEAN(東南アジア諸国連合)

令和6年10月21日
手を取り合って写真撮影する日・ASEAN首脳会議出席者 (写真提供:内閣広報室)
日・ASEAN首脳会議で発言する石破総理大臣 (写真提供:内閣広報室)
首脳会議の様子 (写真提供:内閣広報室)

 現地時間10月10日午前11時40分(日本時間午後1時40分)から約1時間、ラオス人民民主共和国の首都ビエンチャンにて、第27回日・ASEAN首脳会議が開催され、石破茂内閣総理大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

  1. 日・ASEAN協力
  1. 石破総理大臣は、議長であるソーンサイ・シーパンドン・ラオス人民民主共和国首相(H. E. Mr. Sonexay SIPHANDONE, Prime Minister of the Lao People’ s Democratic Republic)に続いて、概要以下のとおり述べました。
    1. 総理大臣就任後、初の外国訪問で、「心と心」の繋がる真の友人であるASEANの首脳との会議に参加することは光栄。日本とASEANは、半世紀にわたる信頼関係を構築してきた。最初に、この関係をさらに強固なものとするとの強い決意をお伝えする。
    2. 日本は、自由、民主主義、法の支配など諸原則を共有し、世界の成長センターであるASEANと、共に未来を創り、未来を守っていきたい。
    3. 本年の議長国のテーマである「連結性と強靭性の強化」についても、力強く後押ししていく。
    4. 昨年の日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議の機会に、日本とASEANが「信頼のパートナー」として打ち出した三本柱の協力が、着実に進展していることは喜ばしい。

    <世代を超えた心と心のパートナー>
     「次世代共創パートナーシップ—文化のWA2.0—」を通じ、既に100名を超える日本語パートナーズがASEAN各国に派遣されている。

    <未来の経済・社会を共創するパートナー>

    • 「日・ASEAN包括的連結性イニシアティブ」の下、デジタル、交通インフラ整備、電力連結性等ハード・ソフト両面の幅広い分野でプロジェクトが進展しているほか、地域金融協力も推進している。
    • さらに、ASEAN感染症対策センター及びASEAN防災人道支援調整センターへの日本人専門家の派遣を決定した。
    • こうした取組に加え、日本は、活力ある地域の未来を共に創るため、グリーン・トランスフォーメーション(GX)、デジタル・トランフォーメーション(DX)といった新たな課題の解決のため協力を推進する。
    • GXに関し、明11日、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)首脳会合を開催し、経済成長及びエネルギーの安定供給を確保しつつ、地域における脱炭素化の取組を共に推進する。
    • DXに関し、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)と協力し、AI人材育成など、具体的協力へのロードマップを策定する。5Gインフラ整備、中小企業のプラットフォーム構築など、様々な取組を推進する。

    <平和と安定のためのパートナー>

    • 巡視船艇の供与や、海上法執行に関する研修を通じた海洋安全保障の強化を進めている。
    • 人材育成や、金融支援を通じたサプライチェーン強靭化を含む、経済安全保障の強化にも取り組んでいる。日・ASEANサイバーセキュリティ能力構築センターを通じた協力を含め、サイバーセキュリティの強化も進めていく。
    • 共に未来を守っていくため、ASEAN各国との協力をさらに強化していく。
  2. ASEAN各国からは、石破総理大臣の就任への祝意が述べられるとともに、日本との協力を高く評価しており、日本とASEANの協力が着実に進展していることを歓迎する旨の発言がありました。また、DX、GXといった新たな分野を含め日本との協力深化への高い期待が表明されました。さらに、日本のFOIPがAOIPと相互補完的であるとして、協力の進展への期待が述べられました。
  3. これを受けて石破総理大臣から、概要以下のとおり述べました。
    • ASEAN各国から、人的交流、連結性、そしてDX、GXなど日本との協力への高い期待の声を聞き、日・ASEAN協力の強化に取り組む決意を新たにした。
    • 来年の大阪・関西万博を機に、ASEANから多くの人々が訪日することを期待。
    • 今後とも各国首脳と協力して、二国間そして日・ASEAN関係の双方を強化し、「心と心」のつながる「信頼のパートナー」として、共に未来を切り拓いていきたい。
  1. 地域・国際情勢
  1. ASEAN諸国からは、東シナ海・南シナ海における一方的行為が地域の安定を損なっていること、国連海洋法条約に基づく紛争の平和的解決の重要性、また、北朝鮮が安保理決議を履行すること、朝鮮半島の非核化や拉致問題を含む人道的問題の解決の重要性、日本がミャンマーに関する「5つのコンセンサス」を支持していることへの謝意、中東情勢の平和的解決の重要性、についての言及がありました。
  2. これに対し、石破総理大臣から概要以下のとおり述べました。
    1. 総論
      • 国際社会では不確実性が高まっており、インド太平洋地域においても、安全保障環境は益々厳しくなっている。
      • 主権及び領土一体性の尊重、国際法に基づく紛争の平和的解決、武力行使の禁止など国連憲章の原則の重要性が高まっている。世界のどこであれ、力又は威圧による一方的な現状変更の試みを許容してはならない。日本は、「インド太平洋に関するASEANアウトルック」を一貫して強く支持しており、ASEANと共に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に取り組む。
    2. 東シナ海、南シナ海、台湾
      • 海洋をめぐる問題について、東シナ海で日本の主権を侵害する活動や、挑発的な軍事活動が継続・強化されていることに強く反対する。南シナ海でも、軍事化や威圧的な活動が継続・強化されていることに深刻に懸念している。
      • 国連海洋法条約に基づかない不当な海洋権益の主張や海洋活動は認められない。日本は、一貫して海における法の支配を支持している。国際法に基づく紛争の平和的解決が重要である。
      • 台湾海峡の平和と安定は地域・国際社会にとって重要である。
      • 日本としても、中国とは、引き続きあらゆるレベルで緊密に意思疎通を図っていく。
    3. 北朝鮮
      • 北朝鮮については、安保理決議違反の核・ミサイル活動に邁進していることを深刻に懸念している。
      • 朝鮮半島の平和と安定は、我々全ての共通利益である。国際的な不拡散体制堅持のためにも、北朝鮮の完全な非核化の実現に向け、国際社会全体の力強い対応が重要であり、ASEAN各国の協力を要請する。
      • 拉致問題の即時解決に向け、引き続き各国の理解と協力を要請する。
    4. ミャンマー情勢
      • ミャンマー情勢を深刻に懸念しており、状況の改善を求める。
      • 日本は、「5つのコンセンサス」の実施を含むASEANの取組を最大限後押しするとともに、引き続き人道支援を実施していく。
    5. ロシアによるウクライナ侵略
      • 今なお続くロシアによるウクライナ侵略については、国際法の明白な違反である。
      • 一日も早く、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和を実現することが必要。
         日本は、今後ともウクライナ支援と対露制裁を継続する。
    6. 中東
      • 中東情勢のエスカレーションが、地域及び国際社会全体にとって極めて危険であることは明らか。
      • 今こそ我々が一致して、全ての関係者に最大限の自制を働きかける時。我が国としても最大限の外交努力を行っている。
      • ガザを含む人道状況改善も喫緊の課題であり、共に取り組んでいきたい。
  1. 閉会発言にあわせて、石破総理大臣は、日本は東ティモールのASEAN正式加盟を一貫して支持していることを改めて強調したところ、グズマン東ティモール首相より、日本語で「ありがとう」との発言がありました。
(参考1)議長声明(和文概要(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く
(参考2)別添

 日ASEAN友好協力50周年共同ビジョン・ステートメント下での主な取組(和文(PDF)別ウィンドウで開く英文(PDF)別ウィンドウで開く


ASEAN(東南アジア諸国連合)へ戻る