寄稿・インタビュー
ASEAN関連外相会議出席に際しての上川外務大臣のビエンチャン・タイムズ紙(ラオス)への寄稿 (令和6年7月25日) 「日本はASEANの連結性と強靱性の強化を支援」
今般のラオスのASEAN関連外相会議の開催を心よりお祝い申し上げます。昨年10月の訪問に続き、この機会に再びこの美しい国を公式訪問することを大変嬉しく思います。
ラオスを含むASEAN諸国と日本は、長年にわたる幅広い分野での協力と交流を通して、「信頼のパートナー」としての関係を構築してきました。
昨年、日本はASEANとの友好協力50周年を記念し、ソーンサイ首相をはじめASEAN諸国首脳を東京にお迎えして特別首脳会議を開催しました。その特別首脳会議で日本とASEANの首脳は、(1)世代を超えた心と心のパートナー、(2)未来の経済・社会を共創するパートナー、(3)平和と安定のパートナー、を三つの柱とする共同ビジョン・ステートメントを採択しました。
今回の日ASEAN外相会議では、この首脳が打ち出した新たなビジョンの下での着実な協力の進捗をレビューし、更なる協力強化に向けたコミットメントを再確認したいと思います。
特に日本はラオスのASEAN議長国のテーマ「連結性と強靱性の強化」を強く支持しています。「日ASEAN包括的連結性イニシアティブ」の下、ラオスからのクロスボーダー売電を促進する「モンスーン風力発電事業」など、具体的な協力プロジェクトが進行中です。GX、DX、文化芸術、環境、WPS、保健、人材育成など、幅広い分野でASEANの連結性と強靱性、共同体ビジョンに資する協力を引き続き強化していきます。
日ラオス関係も、昨年から着実に発展を遂げています。ラオスがASEAN議長国を務める本年、多くの日本側の要人がラオスを訪問し、様々な分野における協力関係の継続を確認しました。
私自身、昨年の外務大臣就任以来、サルムサイ副首相兼外相とは、既に三度の外相会談を行いました。両国の「戦略的パートナーシップ」を更に発展させるため、ラオスの経済・社会開発、日ASEAN協力や地域・国際情勢について、今回も率直かつ建設的な意見交換をすることを楽しみにしています。債務問題を含むラオスの開発課題に対しては、国際社会とも連携しながら、支援を継続していく所存です。
また、ラオス観光年でもある本年第1四半期(1月~3月)にラオスを訪れた外国人観光客は、前年比36%増で、110万人を超えたと承知しています。今後もこの傾向が続くよう、日ラオス間の観光振興で協力していきたいと思います。
さらに先般、ラオスの伝統的なナーガ(龍神)の模様の織物文化がUNESCOの世界無形文化遺産に指定されたと聞きました。ラオスの女性たちによって代々伝承されてきた豊かな文化と伝統が国際的に高く評価されたことに対し、ラオス国民の皆様に心からお祝いを申し上げます。
来年の日ラオス外交関係樹立70周年は、両国関係にとって極めて重要な節目となります。また来年は大阪・関西万博の年でもあり、ラオスの参加を歓迎します。この記念すべき年に向けて、特に、今後ラオス側要人を日本にお迎えし、政府間や政党間の交流を拡大していくことを楽しみにしています。
また、文化・人的交流は両国間の友好関係の基盤であり、様々なレベルでの交流がさらに活発化することを期待しています。特に、ラオスにおいて、元日本留学生の優秀な方々が、閣僚などの重要な指導的役割を担い各界で活躍されていることを大変嬉しく思います。今後もラオスの人々との文化交流、青少年交流事業を更に前進させたいと考えています。
両国間の「戦略的パートナーシップ」を新たな高みに押し上げ、共に未来を築いていくために、引き続きラオスと緊密に連携していきたいと思います。これからも、相互理解と相互尊重に基づく友好関係が末永く続くことを心より願っています。