寄稿・インタビュー

「太平洋で結ばれた大切な友人、サモアと日本」

令和6年2月13日

Talofa Lava!(サモア語で「こんにちは!」)

 このたび、初めての太平洋の島国への訪問として、サモアを訪問します。
 豊かで美しい海と自然に恵まれたサモアに滞在できることをずっと楽しみにしてきました。サモアの人々は、伝統的なポリネシアの慣習を守って生活していると聞きました。経済的な発展を遂げながらも、伝統を大切にしてきた日本人とよく似ています。
 私の訪問に際し、サモア政府に敬意を表するともに、温かく受け入れてくださるアピアの皆様に感謝を申し上げます。

 昨年、日本とサモアは外交関係樹立50周年を迎え、両国の関係は一層緊密さを増しています。50年の間、日本は信頼できる友人として国造りを支えてきました。私は、人的交流は友好関係の基盤であると信じています。
 サモアは、1972年に大洋州で初めてJICA海外協力隊を受け入れた国です。それ以来、約700名の隊員が派遣され、教育、保健、建設、環境、IT、スポーツ、文化等々、幅広い分野で活動してきました。日本とサモアのキズナを固く強いものにし、日本が信頼できるパートナーとなったのは、隊員達がサモアの人と共に、現場で汗を流して協働してきた成果だと思います。これまで、教育・スポーツの分野で、多くの理数科教師や小学校教師が派遣されてきました。隊員達がサモアの子ども達の将来に貢献していることを嬉しく思います。また、元気な隊員達は、サモアの文化を学び、サモアでの楽しい生活・思い出を大切にしています。
 また、ラグビーは両国の国民が親密になったものの1つです。「マヌ・サモア」(注:サモア代表の名称)は、日本代表にとって手強い相手です。サモアの勝ち数の方が断然上回っていますが、昨年9月の仏ラグビーワールドカップでは、日本代表がサモア代表に2015年のワールドカップに続く勝利を挙げ、日本とサモアの熱い戦いに日本のファンは釘付けになりました。サモアからは日本の高校にラグビー留学する選手がいて、私の地元のチーム「静岡ブルーレヴズ」にもサモアの選手が在籍していました。サモアの選手達は、日本の若い世代との友好の架け橋となっています。

 日本とサモアは深い友情とキズナによって結ばれており、これからも日本は信頼できる友人でありたいと思っています。そのことは、私が今回サモアを訪問することの、2つの目的につながります。

 一つ目は、日サモアの友好関係の更なる促進です。
 日本とサモアは、自由、民主主義、人権、法の支配などの基本的な価値や原則を共有しています。こうした信頼関係を一層強化し、気候変動の問題や、それによって起こり得るものを含む自然災害やWPSの主流化などで緊密に協力していくことができます。また、共に海洋国家である両国は、海洋の安全保障や管理の分野でも協力できます。日本は、地域において、気候変動に対応するための人材を育て、情報や技術を共有する拠点として、サモアの「太平洋気候変動センター」(PCCC)の立ち上げを支援し、JICA専門家の派遣を通じてセンターの機能強化を図っています。日本と太平洋島嶼国が共有する価値や原則に基づく信頼関係とキズナの中で紡がれてきた友好関係を時代の変遷に対応させながらも、次世代につないでいくこと。これは外交の役割の一つであると考えます。

 二つ目は、太平洋・島サミット(PALM)プロセスの継続と発展です。今年で10回目を迎えるPALMは、1997年から始まりましたが、常に進化し続けています。地域を取り巻く国際環境が大きく変化する中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守り抜くことがますます重要となっています。様々な共通の課題にあたり、日本は、サモアを含む地域の一体性と太平洋諸島フォーラム(PIF)による「2050年戦略」の取組を強力に支持し、島嶼国のニーズに寄り添いながら、これからもこの地域の信頼できるパートナーであり続けたいとの強い思いを持っています。
 こうした信頼関係の上に、ALPS処理水の海洋放出については、IAEAと緊密に連携を続けながら、科学的根拠に基づいた丁寧で透明性の高い説明を行っていきます。
 サモア訪問の後、フィジーでのPALM中間閣僚会合に出席します。私は、この機会に島嶼国の友人達と様々な課題について率直に議論を重ね、私たちの未来に向けたメッセージを一緒に考えていきます。
 PALMプロセスを通じて、日本とサモア、日本と太平洋島嶼国の関係を一層飛躍させたい。今回の訪問を通じて、その可能性が無限にあることを再確認したいと思います。

 日本の外務大臣として、私たちの友好関係の発展のために力を尽くしていきます。


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