パラオ共和国
日・パラオ首脳会談


6月4日、午後7時10分から約1時間35分、岸田文雄内閣総理大臣は、訪日中のスランゲル・ウィップス・ジュニア・パラオ共和国大統領(H.E. Surangel S. WHIPPS, Jr., President of the Republic of Palau)との間で、日・パラオ首脳会談及びワーキング・ディナーを行いました。両首脳のやり取りの概要は以下のとおりです。
1 冒頭
岸田総理大臣から、ウィップス大統領の第10回太平洋・島サミット(PALM10)に先立つ訪日を歓迎した上で、ウィップス大統領と3回目の首脳会談を開催することは喜ばしく、日本としても、長きにわたる交流の歴史により育まれたパラオとの「キズナ」と「トクベツ」(パラオ語でも「トクベツ」)な関係を不断に強化していきたいと述べました。これに対し、ウィップス大統領は、再び訪日し、岸田総理大臣と再会でき喜ばしい、あらゆる分野で日本と共に取り組んでいきたい旨述べました。
2 二国間関係
両首脳は、二国間関係の更なる強化に向けた議論を行いました。両首脳は、本年はパラオ独立30周年であるとともに、日・パラオ外交関係樹立30周年に当たる記念すべき年であり、この機会に日・パラオの「トクベツ」な関係を強化することで一致しました。また、両首脳は、ミナト橋架け替えを始めとするインフラ開発や観光産業の活性化、パラオ水域における日本漁船の安定操業を含む農業・漁業分野での、昨年の首脳会談以来の協力の進展を確認するとともに、岸田総理大臣から、日本人戦没者の遺骨収集へのパラオ政府の協力に対し謝意を述べるとともに、引き続き協力いただきたい旨述べました。
このほか、岸田総理大臣から、医療分野や金融分野での協力、地方自治体交流や留学生の受入れ、青少年交流といった人的交流の促進を強化していく旨述べました。また、両首脳は、海洋安全保障を含む二国間の海洋協力の進展を確認し、岸田総理大臣から、合同訓練等を通じた海上保安能力向上支援や、8月の海上自衛隊護衛艦「ありあけ」のパラオ寄港等に触れつつ、パラオとの連携強化の継続に期待を述べました。
ウィップス大統領から、これまでの日本の協力に改めて謝意が示されました。
3 ALPS処理水放出
岸田総理大臣から、ウィップス大統領の昨年の福島訪問に触れ、改めて謝意を述べた上で、ALPS処理水の海洋放出に関する日本の取組についてウィップス大統領が示した信頼に応えるべく、太平洋島嶼国との間で科学的根拠に基づく丁寧な説明を継続していく旨述べました。ウィップス大臣からは、昨年6月の福島訪問において、日本政府が最も高い安全基準に従ってALPS処理水の海洋放出を行っていることを確認したとして、安全性に関する日本政府のコミットメントに感謝する旨述べました。
4 第10回太平洋・島サミット(PALM10)
岸田総理大臣から、日本は、地域の一体性や、太平洋諸島フォーラム(PIF)の「ブルー・パシフィック大陸のための2050年戦略(2050年戦略)」への強い支持を表明し、PALM10に向けて、「2050年戦略」と軌を一にした成果を追求し、気候変動、海洋分野、自由で開かれた国際秩序の維持等、共通の課題に共に取り組むことを示したいと述べました。両首脳は、PALM10の成功に向けて協力していくことで一致しました。
5 地域情勢
このほか、両首脳は、地域情勢についても意見交換を行い、価値及び原則を共有する重要なパートナーとして、自由で開かれた国際秩序の維持に向け、協力していくことで一致しました。