大洋州

令和6年5月8日

 4月29日から5月5日まで、石原宏高内閣総理大臣補佐官は岸田文雄内閣総理大臣の特使として、パプアニューギニア独立国及びナウル共和国を訪問しました。本訪問の概要は以下のとおりです。

I パプアニューギニア(4月30日~5月1日)

1 政府要人等との面会

(1)ジェームス・マラペ・パプアニューギニア独立国首相への表敬

マラベ首相と記念撮影を行う石原総理補佐官

 4月30日、石原補佐官は、ジェームス・マラペ・パプアニューギニア独立国首相(Hon. James MARAPE, Prime Minister of the Independent State of Papua New Guinea)を表敬しました。
 石原補佐官から、二国間関係の強化やPALM10に向けた協力に関するマラペ首相宛ての総理親書を手交しつつ、日本は、パプアニューギニアとの関係を重視しており、PALM10に向けて二国間関係を更に強化していきたい旨を述べました。
 これに対し、マラペ首相からは、日本はパプアニューギニアにとって非常に緊密な関係にある大切な友人であり、ナザブ・トモダチ国際空港の開港は二国間の友好関係の象徴である、パプアニューギニアとして日本のLNG調達に協力するとともに日本企業の関与にも期待を寄せている旨の発言がありました。

(2)ビリー・ジョセフ・パプアニューギニア独立国国防大臣との会談

ジョセフ国防大臣と記念撮影を行う石原補佐官

 4月30日、石原補佐官は、ビリー・ジョセフ・パプアニューギニア独立国国防大臣(Hon. Dr Billy M. JOSEPH MP, Minister for Defense of the Independent State of Papua New Guinea)との会談を行いました。
 石原補佐官は、PALM10に向けて日本政府として準備を進めていることを説明し、パプアニューギニア及び地域の平和と安定のため、安全保障・防衛分野における二国間協力を強化していきたい旨述べました。また、日本とパプアニューギニアの間で自衛隊によるパプアニューギニア国軍の能力構築支援を始めとした様々な協力が進んでいることを歓迎しました。
 これに対し、ジョセフ国防大臣からは、本年3月の東セピック州での地震及びハイランド地方を含む広域の洪水・地滑り被害に対する日本の緊急援助支援に対するお礼が述べられるとともに、日本との特別な関係は防衛協力分野での礎になっているとして、パプアニューギニアに対するこれまでの日本の支援に感謝する旨の発言がありました。
 また、両者は、防衛分野での今後の更なる協力について議論を深め、変化する地域情勢等についても意見交換を行いました。

(3)エリアス・ラフロモ・ウォヘング・パプアニューギニア独立国外務次官との会談

ウォヘング外務次官と記念撮影を行う石原総理補佐官

 5月1日、石原補佐官は、エリアス・ラフロモ・ウォヘング・パプアニューギニア独立国外務次官(Mr. Elias Rahuromo WOHENGU、Secretary, Department of Foreign Affairs of the Independent State of Papua New Guinea)との会談を行いました。
 石原補佐官から、パプアニューギニアは、太平洋で結ばれた大切な友人であり、共通の価値と原則を共有する重要なパートナーであり、日・パプアニューギニア外交関係樹立50周年に当たる来年に向けて、貴国との「キズナ」を一層強化していきたい旨述べました。また、本年3月の東セピック州での地震及びハイランド地方を含む広域の洪水・地滑り被害に対しお見舞いを述べました。
 これに対し、ウォヘング外務次官からは、日本は共通の課題に取り組む太平洋の隣国であり、今後も協力していきたい旨述べるとともに、これまでの日本の協力に対する感謝の発言がありました。
 また、両者は、PALM10に向けて協力を進めていくことを確認するとともに、変化する国際情勢について意見交換を行いました。

2 日本による協力案件の視察

(1)ポートモレスビー下水道整備施設視察

下水道整備施設を視察する石原総理補佐官

 5月1日、石原補佐官は、日本の有償資金協力により2019年に完成したポートモレスビー下水道整備施設を視察し、同施設が周辺地域への下水道サービスの提供及び沿岸海域への汚水流出の抑制を図り、住民の生活環境改善及び産業活性化に極めて重要な役割を果たしていることを確認しました。

(2)パプアニューギニア国立博物館視察

国立博物館を視察する石原総理補佐官

 4月30日、石原補佐官は、パプアニューギニア国立博物館を視察しました。日本は、同美術館に対し、令和4年度一般文化無償資金協力により博物館所蔵品・映像・音声資料等をデジタルアーカイブ化するための協力事業を実施しています。

3 在留邦人との意見交換

在留邦人と記念撮影を行う石原総理補佐官

 4月30日、石原補佐官は、在留邦人と面会し、日パプアニューギニア関係強化への貢献に謝意を表明しつつ、二国間関係やパプアニューギニアにおける課題等について意見交換を行いました。

II ナウル(5月2日~4日)

1 政府要人等との面会

(1)デイビッド・アデアン・ナウル共和国大統領への表敬

アデアン大統領と記念撮影を行う石原総理補佐官

 5月3日、石原補佐官は、デイビッド・アデアン・ナウル共和国大統領(H.E. Mr. David W.R. ADEANG, President of the Republic of Nauru)を表敬しました。その際、二国間関係の強化やPALM10に向けた協力に関するアデアン大統領宛ての総理親書を手交しました。
 石原補佐官から、ナウル共和国と日本は、太平洋で結ばれた大切な友人同士であり、共通の価値と原則を共有する重要なパートナーである旨述べ、日本は、1968年のナウル独立と同時に外交関係を樹立して以来、ナウルとの友好関係を培ってきていることを紹介しつつ、昨年6月に共同発表した東部ミクロネシア海底ケーブル事業等のインフラ整備など様々な分野で協力を行っていくことを確認し、日本は常にナウルと共にありナウルの国造りに協力していく旨述べました。また、PALM10に向けて日本政府として準備を進めていることを説明しました。
 これに対し、アデアン大統領から、ナウルを訪問してくれたことを嬉しく思うと述べるとともに、ナウルの周回道路を始めとして、長い友好関係にある日本の様々な協力に感謝する旨の発言がありました。
 また、両者は、PALM10に向けて協力を進めていくことを確認するとともに、変化する国際情勢について意見交換を行いました。

(2)マーカス・スティーブン・ナウル共和国国会議長への表敬

スティーブソン国会議長と記念撮影を行う石原総理補佐官

 5月3日、石原補佐官は、マーカス・スティーブン・ナウル共和国国会議長(H.E. Marcus Ajemada STEPHEN, Speaker of Parliament of the Republic of Nauru)を表敬しました。
 石原補佐官からは、ナウル共和国と日本は、太平洋で結ばれた大切な友人同士であり、共通の価値と原則を共有する重要なパートナーである旨述べ、今回の訪問を通じ、両国の「キズナ」を一層強化していきたい旨述べました。また、スティーブン国会議長の大統領時代の二国間関係強化への貢献に謝意を表し、東部ミクロネシア海底ケーブル事業等のインフラ整備など様々な分野で協力を行っていく旨述べました。
 これに対し、スティーブン国会議長から、これまでの日本の支援・協力に改めて謝意が述べられるとともに、今後も二国間関係を強化していきたい旨の発言がありました。
 また、両者は、連結性強化や漁業を始めとするナウルの産業振興、変化する国際情勢についても意見交換を行いました。

(3)ライノル・ローウェン・エニミア・ナウル共和国大統領補佐兼外務・貿易兼ナウル警察兼法務・国境管理兼ナウル港湾庁兼船舶会社担当大臣との会談

エレミア大臣と記念撮影を行う石原総理補佐官

 5月3日、石原補佐官は、ライノル・ローウェン・エニミア・ナウル共和国大統領補佐兼外務・貿易兼ナウル警察兼法務・国境管理兼ナウル港湾庁兼船舶会社担当大臣(Hon. Lionel Rouwen EINGINEA, Minister Assisting the President, Foreign Affairs & Trade, Nauru Police Force, Justice & Border Control, Nauru Port Authority and Nauru Shipping Line of the Republic of Nauru)との会談を行いました。
 石原補佐官から、ナウルは太平洋で結ばれた友人で、かつ共通の価値と原則を共有する重要なパートナーであり、今回の訪問を通じて、長年の信頼によって育まれてきた「キズナ」をより一層強化していきたいことを述べました。また、日本は、1968年のナウル独立と同時に外交関係を樹立して以来、ナウルとの友好関係を培ってきていることを紹介しつつ、東部ミクロネシア海底ケーブル事業等のインフラ整備など様々な分野で協力を行っていくことを確認し、日本は常にナウルと共にありナウルの国造りに協力していく旨述べました。
 これに対しエニミア大臣から、日本からのハイレベルの訪問に感謝するとしつつ、日本の長きにわたる経済支援への謝意を表明するとともに、両者は、更なる二国間関係の強化に向けて協力していくことを確認しました。
 両者は、国際場裏における協力や変化する地域情勢等についても意見交換を行いました。

(4)バロン・ディバベシ・ワンガ次期太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局長との会談

ワンガ次期PIF事務局長と意見交換を行う石原総理補佐官

 5月3日、石原補佐官は、バロン・ディバベシ・ワンガ次期太平洋諸島フォーラム(PIF)事務局長(Hon. Baron Devavesi WAQA, Incoming Secretary General of the Pacific Islands Forum)との会談を行いました。
 石原補佐官から、次期PIF事務局長就任のお祝いを述べ、太平洋島嶼国との協力を推進する上で、PIFとの連携は不可欠であり、引き続きワンガ次期事務局長と緊密に連携していきたい旨述べました。また、ナウルは太平洋で結ばれた大切な友人で、共通の価値と原則を共有する重要なパートナーであり、東部ミクロネシア海底ケーブル事業等のインフラ整備など様々な協力を通じてナウルの発展に貢献していく旨述べました。
 これに対し、ワンガ次期事務局長からは、石原補佐官との意見交換の機会に対する感謝の表明があるとともに、PIFの一体性と調和に対する日本の支持を求めつつ、PIFメンバーである太平洋島嶼国に対する引き続きの協力について期待する旨の発言がありました。

(5)ナウル政府閣僚他との意見交換

石原補佐官主催の夕食会の様子

 5月3日、石原補佐官は夕食会を主催し、アデアン大統領やナウル政府閣僚との意見交換を行い、日本とナウルの二国間関係の更なる発展について協力していくことを確認しました。

2 日本による協力案件の視察

(1)アイウォ港

アイウォ港を視察する石原総理補佐官
タグボートや港湾整備関連機材が置かれている様子

 5月3日、石原補佐官は、ADBプロジェクトとして整備が行われているアイウォ港を視察し、日本が供与した大型船の入港を補助するタグボートや港湾整備関連機材が同港において活用されていることを確認しました。アイウォ港は、今後地域のハブとして地域の海上輸送網強化に貢献することが期待されています。

(2)アニバレ港

 5月4日、石原補佐官は、対ナウル草の根無償資金協力「アニバレ漁港ウインチ整備計画」及び「ナウル水産公社クレーントラック整備計画」で支援を行った、アニバレ港を視察し、日本が供与した機材が同国の水産業発展に寄与していることを確認しました。

(3)住民の高台移転計画に係る予定地・リン鉱石採掘場跡地

 5月4日、石原補佐官は、リン鉱石採掘跡地を視察し、海面上昇による家屋崩落や高潮被害が発生している沿岸部の住民の高台移転計画について説明を受けるとともに、日本が供与した土地整備のための機材が活用されていることを確認しました。

(4)周回道路

 ナウル滞在中、石原補佐官は、周回道路を視察しました。この周回道路は、ナウルの島全周約20kmと内陸部の一部の道路で、1970年代に鹿児島県の民間企業が整備したもので、今でもナウルの人々にとって立派な道路として誇りにされていますが、排水問題等で一部修復が必要な状態とのことです。

3 第二次世界大戦記念碑献花

献花を行っている石原総理補佐官

 5月3日、石原補佐官は、第二次世界大戦慰霊碑に献花を行いました。この記念碑は、第二次世界大戦中、1942年から45年の日本軍占領中、1943年に約1200名のナウル人が日本の統治下にあったトラック諸島に強制移住され、戦後になってそのうち約740名がナウルに帰還したことを記念して2021年に設置されたものであり、戦争中に亡くなった方々も慰霊されています。

4 その他

ナオレオ博物館を視察する石原総理補佐官

 石原補佐官は、ナオレオ博物館のほか、旧日本軍占領期の収容所や遮蔽壕跡地を視察しました。


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