中華人民共和国

令和6年12月25日
写真撮影に応じる、岩屋外務大臣、あべ俊子文部科学大臣、王毅外交部長、孫業礼文化旅遊部長
会談する岩屋外務大臣とあべ俊子文部科学大臣
会談する日本側の岩屋外務大臣、あべ俊子文部科学大臣と、中国側の王毅外交部長、孫業礼文化旅遊部長

 現地時間12月25日午後3時30分(日本時間同日午後4時30分)から約1時間10分間(同時通訳)、岩屋毅外務大臣(日本側議長)及びあべ俊子文部科学大臣は、訪問先の中国において、王毅(おう・き)外交部長(中国側議長)、孫業礼(そん・ぎょうれい)文化旅遊部長等と第2回日中ハイレベル人的・文化交流対話を実施したところ、概要は以下のとおりです。

1 冒頭発言

  1. 王毅部長から、岩屋大臣及びあべ大臣を始めとする日本側出席者の訪中を歓迎し、二千年余りに及ぶ両国間の友好・交流の歴史に触れつつ、今般の会合を両国国民の相互理解・友好感情の促進につなげていきたい旨述べました。また、日中両国が、「戦略的互恵関係」を推進し、「建設的かつ安定的な関係」を構築するために知恵を出し、人的往来を拡大していくことが重要である旨述べ、時代の流れに順応した、より多くの交流を促進すべく日中両国政府が協力していきたい旨述べました。
  2. 岩屋大臣から、コロナ禍での中断を経て、日中ハイレベル人的・文化交流対話の再開を歓迎する旨述べ、交流の「質」を高め、時代のニーズを踏まえた人的・文化交流を再スタートさせていきたい旨述べました。また、日中両国が「建設的かつ安定的な関係」を構築するためには何よりも国民同士の交流が基盤になる旨述べ、中国の査証免除措置の再開を歓迎するとともに、中国人に対する観光に関する一連の査証緩和措置の実施を決定した旨表明しました。加えて、日本から中国への渡航者数の回復を図り、相互の往来を促進するためには、短期渡航者を含む日本人滞在者全般の安心・安全の確保が重要である旨強調しました。
  3. 孫部長から、人的・文化交流は両国国民の心と心を繋ぐ柱であり、今般の会合は、両国間の交流を促進するという両国首脳間の共通認識を具体化する上で重要な役割を果たしている旨述べました。その上で、日中双方の関係機関によるバックアップを強化するとともに、企業間協力の潜在力を発揮させることで、両国国民の相互理解を向上させるべく取り組んでいきたい旨述べました。
  4. あべ大臣から、5年ぶりの日中ハイレベル人的・文化交流対話の開催・出席を喜ばしく思う旨述べるとともに、文化・スポーツ交流を始めとする国民交流は両国国民の相互理解を深めるのに大きな役割を果たしており、将来にわたる両国の友好関係のために教育交流は極めて重要である旨述べ、今回の対話が日中関係の更なる発展につながることを期待している旨述べました。

2 総論

  1. 双方は、日中双方向の人的・文化交流を活発化させるため、日中両国政府として両国間の交流を後押しすることを確認しました。
  2. 双方は、コロナ禍を経て、時代のニーズを踏まえた人的・文化交流を再スタートさせることを確認し、日中相互の交流事業を実施するにあたって、青少年交流及び有識者交流の機会を拡充するとともに、個々のプログラムで設定されたテーマに従って、プログラムの質を向上させるべく、共に努力を重ねることで一致しました。
  3. 双方は、友好都市連携の活発化、地方の魅力発信イベントの開催等を通じて、日中両国の地方創生に資するよう、交流の深化を図ることで一致しました。
  4. 双方は、両国の幅広い世代において広くSNSが活用されている実態を踏まえ、SNSなどオンラインでの発信を強化するとともに、両国の最新文化等を定期的に紹介するオンラインコンテンツを相互に作成することを確認しました。

3 具体的な協力の方向性

  1. 双方は、若年層の相互理解を促進し、中長期的に日中関係の安定化に資する人材を育成していく上で、青少年交流の重要性を確認しました。
  2. 双方は、「日中教育交流5か年計画」を着実に実施するとともに、修学旅行の相互受入れを促進し、自治体や高校・大学等におけるスポーツ・文化活動を含めた交流を推進すべく、両国での環境醸成、モデル事例の創出に取り組むことで一致しました。また、日中の高校生、大学生を対象とする交流事業等の継続・推進を確認しました。
  3. 双方は、観光交流について、早期にコロナ禍前の水準への回復を目指すことで一致しました。双方は、各地域が誇る固有の観光資源を活用した特別な体験の提供や、新たな旅行商品の造成・販路開拓などを通じて地方への誘客を促進することで一致しました。
  4. 双方は、各種交流事業の推進を確認するとともに、「2025年-2026年日中韓文化交流年」や「東アジア文化都市」の取組を推進することを確認しました。双方は、国際交流基金の「ふれあいの場」が、若者を対象とした日本文化発信の拠点として、学生レベルでの文化交流を促進する上で重要であることを確認し、円滑な活用のために協力していくことを確認しました。
  5. 双方は、今月、東京にて開かれた第5回日中韓スポーツ大臣会合で採択された「2024東京共同声明」の合意事項である、両国間のスポーツ交流・協力の促進(ハルビンで行われる2025年アジア冬季競技大会及び愛知・名古屋で行われる2026年アジア・アジアパラ競技大会の成功に向けて相互に協力することを含む。)やスポーツの社会経済的価値の向上等を協力して実施することについて確認しました。
  6. 双方は、映画などのコンテンツを通じた双方向の交流や著作権をはじめ文化施策に関する共通の課題解決を通じた両国の健全な友好関係の発展に向けて、交流を充実させることを確認しました。双方は、中国における外国コンテンツ(アニメを含む放送コンテンツ、ゲーム等)に対する規制の透明化や、海賊版対策に関する相互協力の重要性を確認し、両国のクリエイターが安心して創作活動に従事できる環境整備を行っていくことを確認しました。双方は、映画関係者の相互訪問を含む日中映画共同製作協定に基づく協力を促進することで一致するとともに、日中映像作品共同製作覚書は、放送や配信される、アニメーション、ドラマ、ドキュメンタリー等の映像作品の共同製作を促進するものとして重要であるとの認識を確認し、早期署名に向けて努力することで一致しました。
  7. 日本側から、日中外務報道官協議の早期開催に期待を示すとともに、双方は、民間主催のメディア交流を再活性化させることを確認しました。
  8. 双方は、WPSの推進を含め女性のエンパワーメントという世界共通の課題に二国間及び多国間フォーラムの双方で共に取り組んでいくことで一致しました。
  9. 双方は、来年開催される大阪・関西万博を契機として、観光交流を更に活性化させるべく、ウェブサイト、SNSなどでの情報発信を強化することで一致しました。

4 国民交流促進のための環境整備

 中国側から、日本の一般旅券所持者の短期滞在を対象とする査証免除措置を本年11月末に再開し、滞在期間を以前の15日以内から30日以内に延長したことを改めて紹介しました。これに対し、日本側から、10年間有効の観光数次査証の新設及び団体観光査証の滞在可能日数の延長をはじめとする、中国人に対する観光に関する一連の査証緩和措置を実施することを表明しました。また、大阪・関西万博のために訪日する中国人を含む全ての外国人の査証手数料を免除する措置を紹介しました。
 双方は、短期渡航者を含めた中国における日本人滞在者全般の安心・安全の確保についての重要性を改めて議論し、日本の在外公館と中国の現地当局との間で、引き続き緊密に協力していくことで一致しました。

5 今後の進め方

 双方は、今次会合の結果を事務レベルの対話枠組みを通じ、フォローアップしていくことで一致しました。双方は、適切な時期に日本において第3回会合を開催するため調整していくことを確認しました。


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