中華人民共和国

令和6年12月25日
王毅外交部長と握手する岩屋大臣
ワーキング・ランチの様子

 中国・北京を訪問中の岩屋毅外務大臣は、現地時間12月25日、午前11時5分から約3時間、王毅(おう・き)外交部長と日中外相会談(同時通訳)及びワーキング・ランチ(逐次通訳)を行ったところ、概要は以下のとおりです。

  1. 両外相は、日中両首脳で確認した、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、「建設的かつ安定的な関係」を構築するという大きな方向性の下、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくために互いに努力していくことを確認しました。また、そのために、あらゆるレベルで幅広い分野において意思疎通をより一層強化するとともに、必要な協議と作業を加速化し、首脳・外相を含むハイレベルの意思疎通・往来の機会も活用しながら具体的な成果を挙げるために最大限努力することで一致しました。
     さらに、両外相は、日中両首脳間で確認した大きな方向性に沿って日中関係を前に推し進め、具体的な進展を得るためには、外相同士が頻繁に直接かつ率直な意思疎通を重ねていく必要があることを改めて確認し、今回の岩屋大臣訪中がそのための重要な一歩となったことを評価しました。両外相は、来年の最も早い適切な時期に王毅部長の訪日を実現し、その際に、ハイレベル経済対話を開催することで一致し、具体的な調整を進めていくこととしました。
  2. 両外相は、日中両首脳で確認したとおり、ALPS処理水の海洋放出と日本産水産物の輸入規制に関する9月の発表を両国できちんと実施していくことで一致し、岩屋大臣から、日本産水産物の輸入規制の撤廃を早期に実現するよう求めました。
     また、両外相は、日本産牛肉の輸入再開、精米の輸入拡大に係る当局間協議の早期再開を確認しました。さらに、両外相は、日中ハイレベル経済対話も見据え、省エネ・環境等のグリーン経済や医療・介護・ヘルスケア、地理的表示(GI)等の分野において、具体的な協力の進展を図っていくことで一致しました。
  3. 岩屋大臣から、尖閣諸島を巡る情勢を含む東シナ海情勢や、中国軍の活動の活発化、ブイ、中国による一方的資源開発等につき、深刻な懸念を伝え、中国側の対応を求めました。両外相は、安全保障分野における意思疎通を深めていくことの重要性を確認し、日中安保対話を開催することで一致しました。
  4. 岩屋大臣から、人的交流や経済活動は日中関係の基礎であることを指摘しつつ、中国に渡航する短期滞在者を含む、日本人の安心・安全の確保につき中国側の協力を改めて求めました。両外相は、蘇州や深圳での日本人児童殺傷事件を含め、日本人の安心・安全について関係当局間で引き続き意思疎通をしていくことを確認しました。また、岩屋大臣から、邦人拘束事案や「反スパイ法」の不透明性は、日本人が中国への渡航をためらう要因となっていることを指摘し、透明性の向上及び拘束されている邦人の早期釈放を求めました。
  5. 岩屋大臣から、南シナ海等の状況に対する深刻な懸念を表明するとともに、台湾については、最近の軍事情勢を含む動向を注視している旨伝えつつ、台湾海峡の平和と安定が我が国を含む国際社会にとって極めて重要である旨改めて強調しました。
  6. 両外相は、日中両国の国民間の相互理解の促進の観点から、政府による発信のあり方やメディアとの関係等について外交当局間で意見交換を行う日中外務報道官協議を早期に再開することを確認しました。
  7. 両外相は、核・ミサイル問題及び拉致問題を含む北朝鮮への対応、ウクライナ情勢、中東情勢等の地域情勢についても意見交換を行いました。また、両外相は、日中両国が地域・国際社会の平和と繁栄に重要な責任を有していることを改めて確認し、地域情勢やグローバルな課題等に関する各種対話を積極的に行っていくことで一致しました。

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