中華人民共和国

平成27年3月22日
日中韓外相会議への出席のために韓国・ソウルを訪問中の岸田外務大臣は、3月21日(土曜日)15時15分頃から約1時間、王毅(おう・き)中国外交部長との間で日中外相会談を行ったところ、概要は以下のとおり(日本側同席者:杉山外務審議官、伊原アジア大洋州局長他、中国側:邱国洪駐韓大使、孔鉉佑アジア司長他)

1 日中関係総論

  1. 冒頭、岸田大臣から、昨年11月の北京APEC以降、日中関係が改善の方向に向かっていることを評価しており、今回の会談を契機に、様々な分野・レベルで前向きな動きをさらに積み重ね、関係改善の流れを定着させていきたい、日中双方が未来志向の協力関係を発展させることが重要である旨述べた。
  2. これに対し、王毅部長は、岸田大臣が述べたとおり、昨年11月に日中両国が改善の第一歩を踏み出したことに続き、両国間の往来が徐々に回復していることに留意している、これから真の意味で関係を全面的に正常に発展できるかは、双方が昨年11月の四項目を順守できるかにかかっている旨述べた。

2 当面の日中関係の進め方

  1. 岸田大臣から、最近訪日した李立国・中国民政部長とのやり取りや19日に開催した日中安保対話等の具体的な例を挙げながら、北京APEC以降の日中関係改善の流れが着実なものになりつつある、しかし、一方で東シナ海では緊張が継続しており、日中関係に慎重な舵取りが必要な状況は変わらないと述べた上で、こうした状況だからこそ、双方の外交当局の役割が重要であり、自分も関係改善に積極的に貢献するので、王毅部長にも同じ役割を期待したい、外相間で緊密に意思疎通すべき旨述べた。
  2. さらに、岸田大臣から、今回の外相会談を経て、(1)政府間のみならず、政治レベル、地方交流、文化交流、経済面での交流等を積極的に追求していきたい、(2)本年秋に日中間の文化交流を集中的に実施したい、(3)事務レベルの協議を継続、強化していきたい旨述べた。
  3. これに対し、王毅部長からは、日中は隣国であり、また、世界第2、第3の経済規模を有しているので、両国が緊密な関係を保ちながら付き合っていくのは当然であり、日中間の交流・協力を増やさなければならない旨、また、日中間の4つの基本文書、そして、昨年11月の四項目をしっかり守ることが大切である旨述べた。
  4. その上で、王毅部長より、今年は戦後70年ということで、日中双方にとって重要かつ敏感な年であり、今年をどのように過ごすかについて外相同士で相談していきたい、戦後70年の機会に世界の人々が歴史について注目することは必然であり、日本がどのような態度で歴史に向き合うかに注目が集まっている旨指摘した。
  5. これに対し、岸田大臣より、安倍内閣は歴代内閣の歴史認識を全体として引き継いでおり、これからもそうしていく、そのことはこれまでにも何度も表明しているといった我が国の立場について述べた。

3 海洋を巡る課題

  1. 岸田大臣から、日中双方が関係改善の機運を高めようとしている中で、東シナ海ではそれに反する動きが依然として見られるとして、中国側の一連の動きに対する懸念を表明した。同時に、海空連絡メカニズムの運用開始や日中SAR協定の署名を早期に実現したい旨述べた。
  2. これに対し、王部長からは、中国側の立場が表明された。

4 その他

このほか、本会談後に行われる日中韓外相会議についても意見交換が行われた。

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