中華人民共和国
日中首脳会談
平成29年11月13日


11月13日18時10分頃(日本時間19時10分頃)から約1時間、ASEAN関連首脳会議出席のためフィリピン・マニラを訪問中の安倍総理は、マニラ市内のホテルにおいて、李克強・中国国務院総理との間で日中首脳会談を行ったところ、概要は以下のとおり(日本側:野上内閣官房副長官、長谷川総理補佐官、兼原官房副長官補、秋葉外務審議官ほか、中国側:肖捷財政部長、張業遂外交部常務副部長ほか同席。)。
1 冒頭
(1)李総理から、安倍総理の再任に対する祝意を述べつつ、概要以下の発言があった。
- ア 1年余りを経て再会でき嬉しい。現在、両国関係には積極的な変化が現れている。一方、一部敏感な要因が存在することも否定できず、双方が努力し、改善の勢いを強固にしていく必要がある。
- イ 今年は日中国交正常化45周年、来年は日中平和友好条約締結40周年である。友好条約があるということは、まさに両国は友好を発展させ、困難を克服していかなければならないということである。
- ウ 日本側と共に歩み寄り、改善の勢いを維持し、積極的な動向に留意しつつ、「歴史を鑑とし、未来に向かう」との精神で、良い方向に向かうための雰囲気を作り、両国で前進していくようにしたい。
(2)安倍総理から、概要以下の発言があった。
- ア 李総理の中国共産党政治局常務委員への再任に祝意を表したい。
- イ 来年の日中平和友好条約締結40周年を見据えながら、李総理と手を携えて、「戦略的互恵関係」の下、関係改善を力強く進めていきたい。
2 日中関係
(1)総論
- ア 双方は、日中韓サミットの開催、その際の李克強総理の総理としての初訪日を念頭に、日中関係改善に向けた取り進め方について意見交換を行った。
- イ 双方は、日中両国が、今や地域と国際社会の平和と繁栄に大きな責任を有しており、そうした中で、2008年の日中共同声明に明記された「互いにパートナーであり、互いに脅威とならない」との原則を、両国国民の間にしっかりと定着させていくべきとの点で一致した。
- ウ 双方は、中国における構造改革に向けた取組や日本におけるアベノミクス等の互いの経済政策について意見交換を行った。その中で、安倍総理から、中国の経済発展は日本にとってもチャンスであり、中国経済が安定的に持続可能な形で発展していくことを期待する旨述べた。
(2)経済協力の強化
- ア 双方は、日中両国が、win-winの経済関係を深化・拡大させていくために共に協力していくべきこと、第三国でも日中のビジネスを展開していくことが、両国のみならず対象国の発展にとっても有益であるとの点につき一致した。また、経済界の交流促進につき一致した。
- イ 双方は、「一帯一路」を含め、両国の地域や世界の安定と繁栄に対する貢献の在り方を議論していくことで一致した。
- ウ 双方は、RCEPや日中韓FTAにつき、質の高い協定の早期妥結に向けて、両国の連携を強めていくことで一致した。
(3)国民交流の促進
- ア 安倍総理から、李総理が、80年代から何度も訪日し、日中の青少年交流に尽力してきた経緯等にも触れつつ、こうした交流の歴史を両国の若い世代に引き継ぎながら、国民交流の深化を図っていくべきとの点で一致した。
- イ 双方は、来年の「40周年」における文化交流・青少年交流の促進も念頭に、日中文化交流政府間協議を再開させることで一致した。
3 地域情勢
(1)北朝鮮問題に関し、双方は、朝鮮半島の非核化は日中両国の共通の目標であることを確認した。安倍総理から、中国が安保理決議を履行する上で具体的な取組を実施していることを歓迎する旨述べ、双方は、関連安保理決議の完全な履行を含め、地域の平和と安定のため、日中間の連携を更に深めていくことで一致した。
(2)安倍総理から、拉致問題の一日も早い解決は安倍内閣の最重要課題であり、中国の支持と協力を期待する旨述べた。
(3)李総理から、南シナ海に関する行動規範(COC)策定に向けた対話の進展等についての説明があり、安倍総理から、中国とASEANの間で前向きな取組が進展していることを歓迎する、同時に、いかなる地域でも、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要である旨を指摘した。