世界の医療事情

スーダン

令和2年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 スーダン共和国(国際電話国番号249)

2 公館の住所・電話番号

在スーダン日本国大使館 (毎週金土休館)
住所:House 67, Street 43, Khartoum 1, Khartoum, Sudan
電話:01-83471601 / 01-83471602, FAX:01-83471600
ホームページ:https://www.sdn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/about_us.html別ウィンドウで開く

※金土以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

(1)気候・風土

 西部の山岳地帯を除き概ね標高500m以下の平坦地です。白ナイル川と青ナイル川が首都ハルツームで合流してナイル川本流となり、エジプトを経て地中海に注いでいます。北部は砂漠気候、南部はサバンナ気候です。首都ハルツームは国土の中央やや東よりに位置し、海抜380mと標高は低く、砂漠に囲まれています。1年を通じて高温低湿度であり、年平均気温は26.7度、年間平均降水量は254mmとなっています。ハルツームの気候は概ね次の4つの時期に分かれます。
 (1)4~6月:最も暑く、気温は50度を超え、またハブーブと呼ばれる砂嵐が頻繁にみられます。
 (2)7、 8月:雨季です。スコールのように短時間で激しく降ります。下水道整備が不十分のため降雨後は至る所で道路が冠水します。
 (3)9、10月:セカンドサマーと呼ばれ、高温が続きます。
 (4)11~3月:1年のうち最も涼しい時期ですが、日中の最高気温は30度を超えます。

(2)一般医療事情

 WHO統計によれば当国の平均寿命は65.1歳(2016年)、5歳未満児死亡率は1000人当たり60人(2018年)、妊産婦死亡率は10万出生当たり295人(2017年)といずれも世界平均と比べて悪く、当地の医療事情を示唆するものと考えられます。

 国内経済が極めて不安定なため、医療機器の不足やメンテナンス不良が著しく、特に国公立病院においてその傾向が顕著です。また、医薬品の供給も不安定です。国公立病院は貧困層の受診者であふれかえっており、適切な医療がなされているとは考えられないため、受診はお勧めできません。一方、ハルツーム市内には施設の充実した私立総合病院がいくつか存在し、CT・MRIや血液検査機器等も備えており、緊急時の検査・治療に利用可能です。ただし、スーダン国内には専門医の数が非常に少なく、さらに頭脳流出傾向が続いているため、日本と同等の診断や治療は期待できないものと考えられます。

 ハルツーム市内には多くの薬局が存在しますが、内服薬の供給が不安定であり、先進国製の医薬品はもちろんのこと、中国製、インド製、スーダン製の製品でも入手が困難なことがあります。必要な薬は日本や先進国で入手することをお勧めします。

 スーダン国内で治療が困難な場合、近隣の医療先進国へ緊急搬送する必要が生じます。重症例では一般の商用機に搭乗することができないため、専用の医療搬送機(エア・アンビュランス)を利用することになり、数千万円が必要となる場合があります。海外旅行傷害保険に必ず加入するとともに、その限度額を、医療搬送を充分にカバーできる額に設定することを強くお勧めします。

(3)首都ハルツームにおける医療事情

 ハルツームには現地富裕層や外交団向けの私立総合病院や私立歯科医院が数件あり、緊急時の受診に利用可能です(救急室は24時間対応、英語での受診が可能)。成人・小児の軽症~中等症の初期診断・治療に問題は無いと考えます。しかし、脳神経外科や心臓外科等の高度医療については、必要に応じて近隣国への緊急移送が考慮されます。また、各病院に輸血バンクが存在するものの、血液製剤の安全性が保証されないため、真に必要な時以外の輸血は避けた方がよいと考えます。

(4)地方都市における医療事情

 州都には必ず公的な病院が存在しますが、衛生状態に問題がある他に、機材の不足やメンテナンス不良、職員の不足等により信頼できる医療が受けられる病院は極めて限定的と考えられます。地方都市滞在中に体調不良となった場合はハルツームに戻り、信頼の置ける私立総合病院での精査・加療を受けられることをお勧めします。

(5)医療機関へのかかり方

 救急救命室、一般外来とも予約無しで随時受診可能です。歯科受診、専門医受診の際は予約が必要です。女性医師を希望の際は予約時に伝えてください。救急救命室は24 時間運営しており、あらゆる疾患に初期対応可能です。ほぼすべての医師は英語が通じますが、受付や看護師はアラビア語のみの場合があります。

 公的な救急車は存在しますが、実際は機能していません。各私立病院は自前の救急車を保有し、救急搬送サービスを提供しています。ただし、患者の場所を電話で正確に伝えることは難しく、自家用車やタクシー等で病院に直行する方が確実です。

 会計は診療費、検査代、医薬品代が別会計であり、それぞれの部署で現金前払い(スーダンポンド)となります。入院中であっても、患者側が院内薬局へ処方箋を持参して必要な点滴薬や内服薬を購入する形となるため、自力で動けない場合には付き添い者が必要です。医薬品の供給が不安定であるため、処方された医薬品が薬局で入手できないこともあります。なお、海外旅行傷害保険等のキャッシュレスサービスを使える病院はないため、医療費全額を一時的に立て替える必要があります。2020年10月現在、クレジットカードは使用できません。

5 かかり易い病気・怪我

(1)熱中症

 日差しが強く高温低湿度のため脱水に陥りやすく、特にスポーツの際や下痢が続く場合は注意が必要です。予防のため十分な水分、塩分の摂取を心がけましょう。当地でのスポーツドリンク購入は困難ですので、粉末タイプを日本から持参すると有用です。

(2)上気道炎、結膜炎等の眼科疾患

 乾燥や砂嵐の影響で上気道炎(咳など)や結膜炎になりやすく、また喘息の悪化もみられます。こまめに水分補給をしつつ、うがいを励行し、必要に応じてマスクを着用します。普段コンタクトレンズの方は眼鏡も持参しましょう。サングラスのほか、花粉症対策メガネも砂嵐対策として有用です。

(3)マラリア

 スーダン全土で見られており、当地に於いて致死率の最も高い疾患の一つです。発熱の際は常にマラリアを念頭に置いて血液検査を受ける必要があります。媒介する蚊(ハマダラカ)は夜更けから明け方にかけて活動するため、特に夜間の防蚊対策が重要です。夜間外出時は長袖・長ズボンにより肌の露出を少なくするとともに、虫除け剤を塗布します。就寝時には防虫剤を練り込んだ蚊帳を使うと効果的です。

 2020年10月現在スーダン国内では医薬品の供給が不安定であり、マラリア治療薬の入手が困難なことがあります。また、マラリア予防薬として第一選択薬であるAtovaquone/Proguanil(商品名は日本ではマラロン配合錠、欧州製はMalarone)は流通していません。必要な薬剤は日本から持参することをお勧めします。特に地方において信頼出来る医療施設が存在しない場合は予防内服を検討します。

(4)髄膜炎菌性髄膜炎

 発症頻度は少ないものの、症状が激烈で急速に進展することがあるため、予防接種を強くお勧めします。スーダンでは8~10年毎に流行しています。感染者の唾液の飛沫から経気道感染し、高熱、発疹、髄膜刺激症状(頭痛、嘔気・嘔吐、意識障害など)を呈します。マラリア同様、早期診断、早期治療が大切です。

(5)A型肝炎

 水や食事を介して感染します。予防接種は極めて有効ですので必須といえます。接種完了までに期間を要する場合があるので、時間に余裕をもって医療機関と相談してください。

(6)旅行者下痢症

 旅行者下痢症を防ぐには飲料水や食事に対する注意が必要です。当地の水道水には大腸菌がよく混入しているため直接の飲用には適していません。飲用にはミネラルウォーター、食事はよく加熱したものを選びましょう。腸チフス、アメーバ赤痢、ポリオなども食事や水を介して感染しますので、上記の対策が有効です。腸チフス、ポリオはワクチン接種も考慮してください。

(7)住血吸虫症

 ナイル川水系に依然として存在する寄生虫感染症です。住血吸虫で汚染された淡水(川やダムなど)に浸かった際に健常皮膚を介して感染するため、レジャー(釣り、ヨットなど)でも感染の可能性があります。予防は淡水に直接皮膚が触れないようにすることです(泳がない、素足を曝したりしない)。

(8)デング熱、チクングニア熱

 カッサラ州、紅海州など東部での流行がみられます。媒介する蚊(ネッタイシマカ)はマラリアのハマダラカとは異なり日中に吸血するため、特に日中の防蚊対策が重要です。長袖・長ズボンにより肌の露出を減らし、虫除け剤を塗布します。

(9)交通外傷

 自動車の運転マナーは極めて悪く、飛び出しや割り込みは日常的です。また路面の陥没や故障車の路上放置もみられ、運転の際にも歩行の際にも十分な注意が必要です。タクシー等を利用する際はシートベルトを着用しましょう。またリキシャと呼ばれる3輪タクシーは転倒事故が多発しているため利用はお勧めできません。路上に放置されたゴミ、危険物も多いため、歩行の際はサンダルよりも、足をすべて覆うタイプの歩きやすい靴の着用をおすすめします。

(10)精神疾患(うつ状態など)

 日本とは異質な生活環境(言語、文化、気候、治安)に加え、娯楽が乏しく、また宗教上の理由により酒類・豚肉の輸入が禁じられているなど各種制限もあり、当地到着後しばらくして精神的に落ち込む事が多いため、定期的な運動等を通じてストレス軽減を図ることが重要です。

6 健康上心がける事

(1)感染症予防対策としては、感染経路を考え、自己防衛することが重要です。虫、特に蚊の対策(虫除け剤・蚊帳の使用、長袖長ズボンや靴の着用)、衛生管理(食事・水、手洗い・うがい)、不特定多数との性行為を避けることが重要です。また様々な疾患は抵抗力が低下した際に発症することが多いため、十分な睡眠・栄養が大切です。

(2)乾燥した気候のため、肌荒れを生じやすいようです。ボディーローションや保湿剤の持参をお勧めします。またドライアイ対策の目薬も有効です。

(3)水道水は衛生的ではありません(水道管の老朽化による重金属の含有、汚水混入による大腸菌など)。飲料にはミネラルウォーターを購入するか、水道水を浄水器で濾過したうえ煮沸しましょう。

7 予防接種(ワクチン接種機関含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

 日本から到着した場合、スーダン入国に際して必須とされているワクチンはありませんが、ワクチンで予防できる疾患は、できる限り接種しておくことが重要です。スーダン国内では医薬品の供給が不安定であるため、先進国では治療可能な疾患であっても、治療ができず致死的になることもあり得ます。各ワクチンの有効期間を確認し、必要に応じて追加接種を実施してください。

  • 成人:黄熱、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、髄膜炎菌性髄膜炎、麻疹、狂犬病、ポリオ。難民と濃厚に接触する可能性のある方や地方に滞在予定の方は、コレラのワクチンも検討してください。
  • 小児:黄熱、4種混合(破傷風、ジフテリア、百日咳、ポリオ)、BCG、A型肝炎、B型肝炎、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、水痘、髄膜炎(髄膜炎菌4価、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌b型)、狂犬病、腸チフス。

注意1.いずれのワクチンも当地で信頼の出来るものは入手出来ません。

注意2.日本から入国する場合イエローカード(黄熱ワクチン接種証明書)は不要ですが、黄熱汚染国からスーダンへ入国する場合はイエローカードの提示を求められます。またスーダン南部では依然として黄熱がみられていることからスーダンは黄熱汚染国とみなされており、スーダンから他国へ移動する際、他国への入国時に同カードの提示を求められることがあります。黄熱ワクチンの予防効果はほぼ100%で、1回の接種で接種後10日以降、生涯有効です。接種する場合は入国する10日以上前に接種してイエローカードを携行してください。

(2)現地の小児定期予防接種

現地の小児定期予防接種
ワクチンの種類 接種方法
BCG 生後7日に1回
ポリオ 生後7日(経口)、45日(経口)、2ヶ月半(経口)、3ヶ月半(経口+注射)の4回
麻疹 9ヶ月、18ヶ月の2回
5種混合 生後45日、2ヶ月半、3ヶ月半目の3回
ロタウイルス 生後45日、2か月半の2回

5種混合:ジフテリア、破傷風、百日咳、インフルンザ桿菌b型 (Hib)、B型肝炎

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 髄膜炎菌性髄膜炎

8 病気になった場合(医療機関リスト)

◎ 首都(ハルツーム)

 以下すべて日本語不可、英語可。支払いは現金(スーダンポンド)。

私立総合病院

(1)Royal Care International Hospital
Khartoum 市内、Burri Al 60 Street
病院代表電話番号:01-56550150
コールセンター:01-56550154、01-56550155
概要:全199床の私立総合病院。外国人の利用が多い。受診費用は他の医療機関と比べ高額であるが、待ち時間は少なく、CT、MRI等の医療機器、ICU、CCU、手術室、透析治療室、カテーテル治療室を保有している。精神科以外のすべての診療科を有し、歯科も併設。救急救命室は24時間対応、年中無休。別料金で優先的に診察を受けられるVIPコースがある。
(2)Fedail Medical Center
Khartoum 市内、Hospital Road 沿い
病院代表電話番号:01-83766661
ホームページ:http://fedailhospital.com/contact-us/別ウィンドウで開く
概要:全170床の私立総合病院。上述のRoyal Care病院同様の設備と専門医を有するが、心臓外科専門医と、常勤の歯科医は不在。救急救命室は24時間対応、年中無休。ドクターカーを有する。

歯科医院

(1)Da Vinci Dental Center
Khartoum市内、Africa Road, Amarat St No.19 QNBの隣 
病院代表電話番号:01-83469582、ホットライン 2669
概要:小児歯科医を含む複数の歯科専門医と、口腔外科医が在籍する私立歯科医院。 米ドルでの支払いも可能(応相談)。
(2)Horizon dental clinic
Khartoum市内、Al Manshiya、MTNビルの向かい 
病院代表電話番号:01-20616634
概要:2020年に開業した私立歯科医院。米国、英国大使館員が利用している。緊急の場合は、時間外でも診療を行う。米ドルでの支払いも可能。

眼科医院

(1)Alzarga specialized eye center
Khartoum市内、Amarat – st 25 – block 12
代表電話番号:01-83486861、ホットライン 2977
概要:レーザー治療機器や複数の手術室、専門医を備えた私立眼科医院。毎日手術を行なっている。緊急の場合は、時間外でも診療を行う。
(2)Al Faisal eye center
Khartoum市内、Al-Ryadh
代表電話番号:09-62616662
ホームページ:http://alfaisalhospital.com/alfaisalcom/alfaisal_eye.html別ウィンドウで開く
概要:レーザー治療機器、手術室、専門医を備えた私立眼科医院。手術は週二回行なっている。緊急の場合は、時間外でも診療を行う。

9 その他詳細情報入手先

(1)在スーダン日本国大使館 https://www.sdn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/about_us.html別ウィンドウで開く

10 一口メモ (いざというときのアラビア語)

  • ワジャ・フィ・サドル=胸が痛い。
    (痛み)(ある)(胸)
  • ワジャ・フィ・バトン=お腹が痛い。
    (痛み)(ある)(お腹)
  • ワジャ・フィ・ラース=頭が痛い。
    (痛み)(ある)(頭)
  • ワジャ・フィ・アスナーン=歯が痛い。
    (痛み)(ある)(歯)
  • アナ・アイヤーン=私は具合が悪い。
    (私)(具合が悪い)
  • イッタシル・ビ・サファーラ ヤバーン=日本大使館に連絡してください。
    (連絡)    (日本大使館)
  • イッタシル・ビ・イスアーフ=救急車を呼んでください。
    (連絡)   (救急車)

11 新型コロナウイルス関連情報

(1)感染者数等の統計

 一日当たりの検査数、感染者数、死亡者数の公式発表は、保健省のフェイスブックページで公表されています。また、患者数の推移等は、WHOのウエブサイト、COVID-19 dashboard の項目から参照できます。

スーダン保健省フェイスブック https://www.facebook.com/Fmohsd/別ウィンドウで開く

WHOのdashboard(スーダンの統計) https://covid19.who.int/region/emro/country/sd別ウィンドウで開く

(2)治療のための医療機関

 重症例は、公立病院・隔離施設、私立病院にて入院加療が行われます。ハルツーム市内では、上述のRoyal care hospitalもしくはFedail hospitalの受診が勧められます。

 地方では医療体制は脆弱であり、感染が疑われる場合には、検査・治療が受けられるようすみやかに首都へ移動することをお勧めします。

(3)検査

 感染疑いがある場合の検査、渡航のための検査とも、公立の検査施設と複数の私立病院にて行っています。公立の検査施設は大変混雑しているため、選択肢のある場合は私立病院での検査をお勧めします。私立病院の中には、出張検査を行っているところもあります。渡航のための検査は、航空会社ごとに検査機関を指定している場合があるので、ウエブサイト等で確認が必要です。

(4)入手可能な衛生材料

 マスク(使い捨て、布マスク)やサニタイザーは、スーパーマーケットや薬局にて購入可能です。


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