世界の医療事情

セネガル

2022年10月

1.国名・都市名(国際電話番号)

 セネガル共和国(ダカール)(国際電話国番号221)

2.公館の住所・電話番号

在セネガル日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Ambassade du Japon au Sénégal, Boulevard Martin Luther King, Dakar, Sénégal (B.P. 3140)
電話:33 849 55 00、Fax:33 849 55 55
ホームページ:https://www.sn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日はホームページをご覧ください。

4.衛生・医療事情一般

 セネガルの気候は熱帯乾燥気候であり、季節は7月から9月の雨季(平均気温27℃)と10月から6月までの乾季(平均気温21℃)とに分かれます。雨季の始まりとともに蚊の発生が急増し、マラリアの発症が徐々に増えはじめ10月から11月にかけて罹患者数はピークに達します。また、雨季には高温多湿の環境から旅行者等の間で腸チフス、赤痢、サルモネラ等による消化器感染症の罹患者も増える傾向にあります。乾季にはハルマッタンと呼ばれるサハラ砂漠の砂塵を含む季節風が吹き、大気が汚染されるとともに乾燥、埃による呼吸器症状や結膜炎が増える傾向にあります。また、細菌性髄膜炎が流行するのもこの季節です。内陸部の気温は沿岸部よりはるかに高く50℃に達することもあります。このため、短期の旅行の場合には、季節と行き先の環境を十分考慮した服装の準備が必要です。

 上下水道や電力等の社会基盤の整備が遅れています。水道水は飲料には適しておらず、胃腸炎の原因となる場合があります。医療レベルは首都ダカール市と地方都市、更に農村地区とで大きく異なります。出来る限りダカールの外国人がよく利用する医療機関を受診するようにしてください。地方では交通事故等による外傷への対応、入院治療や手術は不可能だと考えておいてください。また、輸血用血液が汚染されている可能性も否定できません。重症かつ緊急を要する疾患及び外傷においては、速やかに国外へ搬送する必要があり、十分な額の海外旅行傷害保険(特に治療救援費用)に加入しておくことを強くお勧めします。

5.かかり易い病気・怪我

(ア)交通事故

 交通渋滞が頻繁で、整備不良車両、交通ルールの無視、飛び出しなど、諸事情の悪さにより交通事故は多く、また、ダカール以外では、救急外傷への対応は非常に困難です。

(イ)下痢性疾患

 年間を通じてみられます。水道水は飲料に適していません。邦人旅行者でヤシ酒を飲んでアメーバ赤痢に感染した例、サンドイッチに挟んであるレタスやトマトから細菌性赤痢に感染した例があります。過去にはコレラの流行もみられました(2005年)。

(ウ)マラリア・デング熱等

 マラリアやデング熱など蚊が媒介する感染症は全国的に年間を通して発生します。雨季の始まりから増加し、10月から11月頃がピークとなります。マラリアは、政府による疾病対策が奏功して罹患数は減少傾向にありますが、依然として首都近郊での感染報告も見られます。また、熱帯熱マラリアが90%以上であり、治療せずに放置すれば死に至るため、早期の診断と治療が必要です。南部、特に南東部においては、発熱性疾患の大部分がマラリアです。同地域での滞在を避けることでマラリア罹患リスクを低減することが可能です。同地域に雨季に滞在する場合は、予防薬(メフロキン(Mefloquine)、ドキシサイクリン(Doxycycline)またはアトバコンとプログアニルの合剤(Malarone))の使用を考慮してください。

 デング熱は過去に何度か流行が見られています。最近では、2017年9月から2018年1月にかけて血清型1型がルーガ州を中心に流行し、ダカール州でも5名の陽性者が確認されました。また過去には、1981年(1型)・1984年(2型)・2009年(3型)及び2014年9月から2015年12月(3型)の流行がありました。

 マラリアやデング熱を含む蚊媒介感染症の予防のために、長袖・長ズボンで肌の露出を少なくし、虫除けスプレーなどの忌避剤を使用してください。蚊帳の使用も有効です。予防薬、治療薬、忌避剤等は、薬局で購入できます。

(エ)結膜炎

 乾季、特に砂塵の季節に流行し、目が赤く充血し、時に痛みを伴います。外出から帰ったら手洗い、洗顔を行い、清潔を保ってください。患者さんはタオル等触れるものを他者と共用しないでください。

(オ)細菌性髄膜炎

 乾季の周期的な流行が知られており、発熱、頭痛を初期症状とし、頸部硬直、意識障害といった重い症状が出現してきます。入院治療が必要です。予防接種がありますので、この季節に滞在する場合は、予め接種しておくことをお勧めします。2007年には近隣国で、100名を超す死亡者がみられる流行がありました。

(カ)住血吸虫症

 湖や川等、淡水中に生息する寄生虫(住血吸虫)が皮膚を貫いて体内に侵入します。症状は腹痛、下痢、血尿等です。淡水で泳がない、また水路や水たまりに入る場合は必ず長靴を着用してください。

(キ)狂犬病

 動物(犬だけでなく、猫、山羊、羊、牛等)と接触する場合、噛まれなくても、唾液により狂犬病ウイルスに感染する危険があります。噛まれた場合、ダカールのパスツール研究所で狂犬病ワクチン接種(暴露後接種)が可能ですが、発病すると致死率はほぼ100%ですので、動物との接触が予想される場合は、予めワクチンを接種(暴露前接種)することをお勧めします。

(ク)黄熱

 セネガルは黄熱の汚染地域です。セネガル政府(観光・航空運輸省)より、入国に際しては予防接種証明書(イエローカード)の携行が義務とされております。なお証明書は、接種の10日後から有効となることにご注意ください。

6.健康上心がける事

(1)日焼け

 日差しは年間を通じ強く、帽子、日傘、日焼け止めを使用してください。

(2)熱中症

 屋外にいると喉の渇きが出る前に汗で水分が失われます。常に水を携行し、水分補給に努めてください。特にスポーツの時は十分に水分補給を行ってください。頭痛、だるさ、発熱は熱中症の症状です。重症例では経口摂取が十分にできなくなるので、病院を受診し、点滴が必要となる場合があります。

(3)大気汚染

 ダカールでは、整備不良車の排気ガスや季節的な粉塵による大気汚染が顕著に見られます。喘息等の呼吸器疾患のある方は、マスク等で予防に努めてください。

(4)有害動植物

 セネガルでは50種以上の蛇が確認されており、その三分の一が毒蛇と言われています。咬傷時には速やかにSOS MEDECIN等に連絡し、専門医を受診してください。

(5)ダイビング

 潜水病の治療を行える高圧酸素療法施設は国内にありません。

7.予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(ア)赴任者に必要な予防接種

  • 成人:黄熱、A型肝炎、腸チフス、狂犬病、破傷風、髄膜炎菌性髄膜炎、B型肝炎
  • 小児:上記に加え、日本で実施されている定期、及び任意の予防接種

(イ)現地の小児定期予防接種の一覧

セネガル国の小児の定期予防接種
ワクチン 初回 2回目 3回目 4回目
BCG 出生時      
経口生ポリオ 出生時 1.5か月 2.5か月 3.5か月
B型肝炎 出生時      
DTP/Hib/HepB 注1 1.5か月 2.5か月 3.5か月  
黄熱 9か月      
MR 注2 9か月 15か月    
ロタウイルス 1.5か月 2.5か月    
肺炎球菌 1.5か月 2.5か月 3.5か月  

注1:ジフテリア、破傷風、百日咳(全菌体)、インフルエンザ桿菌b型(Hib)、B型肝炎(HepB)の5種混合。

注2:麻疹、風疹

 接種時期や回数が日本と異なるため、接種計画を立てる際は注意が必要です。

(ウ)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 予防接種証明が要求される場合には、大使館で接種歴を翻訳し、証明します(有料)。

8.病気になった場合(医療機関等)

◎ダカール

(1)Clinique du Cap (クリニック・ド・キャップ)
所在地:Avenue de Pasteur、 フランス大使公邸の向かい側
電話: 33 889 02 02、Fax: 33 821 61 46
内科、外科、産婦人科、神経内科、眼科、小児科を有する私立病院。入院・手術、人工透析、および、レントゲン・CT・MRI・エコー検査が可能。フランス語、一部の医師にのみ英語が通じます。24時間の救急対応も可能です。現金、小切手(当地の銀行口座)、クレジットカードが使用できます。入院に際して保証金約100万FCFAが必要です。
(2)Clinique de la Madeleine (クリニック・ドゥ・ラ・マドレーヌ)
所在地:18, Avenue des Jambaars
電話:33 889 94 70、Fax: 33 822 88 93、https://www.cliniquedelamadeleine.com別ウィンドウで開く
内科、循環器科、外科、産婦人科、小児科、耳鼻咽喉科、泌尿器科を有する私立病院。入院・手術・人工透析、レントゲン・エコー・内視鏡検査が可能。フランス語、一部の医師に英語が通じます。24時間の救急対応も可能。現金、小切手(当地の銀行口座)、クレジットカードが使用できます。入院に際して保証金約100万FCFAが必要です。
(3)SOS MEDECIN (エスオーエス メドゥサン)
所在地:Baie de soumbedioune rue 62×64、魚市場・民芸品店街の近く
電話:33 889 15、Fax: 33 823 33 98、https://www.sosmedecinsenegal.com別ウィンドウで開く
24時間、医師同乗の救急車にて往診、救急移送を行っているクリニック。フランス語、英語が通じます。専門医等の所在把握をしており、搬送先の情報を得られます。往診25,000 FCFAに処置(縫合、点滴等)と搬送の料金が加算されます。
(4)Institut Pasteur (アンスティテュ パストゥール)
所在地:36, Avenue Pasteur
電話:33-839-9200、Fax:33-839-9210、http://www.pasteur.sn/fr別ウィンドウで開く(予防接種情報あり。英語ページあり)
予防接種(BCG、黄熱、B型肝炎、腸チフス、髄膜炎菌性髄膜炎、狂犬病)が受けられますが、流通事情により在庫切れのことがあります。狂犬病治療センターは月~木曜日(7時半~12時半、14時半~16時)、金曜日(7時半~13時半、15時~18時)、土曜日(9時~11時半)です(フランス語、要予約33 839 92 11、78 103 39 37)。その他の予防接種は月~木曜日(14時~16時)、金曜日(16時~17時)、土曜日(9時~11時)です(フランス語、要予約33 839 92 11)。変更がありうるので受診前に電話で確認してください。
(5)Hopital Principal (オピタル プランシパル)
所在地:Rte de la Corniche Estate, Dakar
電話:33 839 50 50、Fax: 33 839 50 88
内科・外科・脳外科・救急(蘇生科)・産科婦人科・小児科等の各科を有する軍病院ですが、一般の受診も可能です。邦人の婦人科手術(卵巣摘出)、交通事故による意識不明邦人患者の緊急開頭術などの実績が有ります。受付は英語が通じません。医師も必ずしも英語が通じるとは限りません。入院の際には保証金が必要です。また、外国人が利用する場合、入院費用は高額です。
(6)空港内医療施設
所在地:到着階中央にある到着客出口を見て左側の階段の先の通路
SUM Assistance(ダカール市内にある私立のクリニック)が24時間体制で医師を派遣しています。

9. その他の詳細情報入手先

(1)セネガル保健・社会活動省:https://www.sante.gouv.sn/別ウィンドウで開く

(2)セネガル保健・社会活動省、緊急医療オペレーションセンター:Centre des Opérations d'Urgence Sanitairehttp://www.cousenegal.sn/別ウィンドウで開く

10. 現地語一口メモ(もしものときの医療フランス語)

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしものときの医療フランス語)を参照願います。

11. 新型コロナウイルス関連情報

 2022年10月現在、セネガル滞在中に感染を疑う場合は上記の医療機関(SOSメドゥサン等)へ電話し、往診または直接受診して、必要と判断された場合は検査を受けます。陽性の場合、軽症であれば自宅隔離とされ、指定期間経過後に隔離解除となります。重症であれば指定病院へ入院となります。その他、在セネガル日本国大使館ホームページを参照ください。

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