世界の医療事情

セネガル

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 セネガル共和国(ダカール)(国際電話国番号221)

2 公館の住所・電話番号

在セネガル日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Ambassade du Japon au Sénégal, Boulevard Martin Luther King, Dakar, Sénégal (B.P. 3140)
電話:(221)338495500,Fax:(221)338495555
ホームページ:http://www.sn.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 セネガルの気候は熱帯乾燥気候であり,季節は7月から9月の雨季(平均気温27℃)と10月から6月までの乾季(平均気温21℃)とに分かれます。雨季の始まりとともに蚊の発生が急増し,マラリアの発症が徐々に増えはじめ11月から12月にかけて罹患者数はピークに達します。また,雨季には高温多湿の環境から旅行者等の間で下痢症,赤痢,サルモネラ等の消化器感染症の罹患者も増える傾向にあります。乾季には,ハルマッタンと呼ばれるサハラ砂漠の砂塵を含む季節風が吹き,乾燥,埃による呼吸器感染症状や結膜炎が増える傾向にあります。また,細菌性髄膜炎が流行するのもこの季節です。内陸部の気温は沿岸部よりはるかに高く50℃に達することもあります。このため,短期の旅行の場合には,季節と行き先の環境を十分考慮した服装の準備が必要です。

 当地では上下水道や電力等の社会基盤の整備が遅れています。水道水は飲料には適しておらず,食中毒の原因になる可能性があります。歯磨き,コンタクトレンズの洗浄を含めミネラルウォーターの使用を心がけてください。また,首都ダカールにおいても電力供給が不安定なため停電が日常的に起こっており,このような環境下での診療が前提となります。

 当地の医療レベルは,首都ダカール市と地方都市,更に農村地区とで大きく異なりますので,出来る限りダカールの外国人がよく利用する医療機関を受診するようにしてください。特に交通事故等による外傷への対応,入院治療や手術は地方ではまず不可能だと考えておいてください。なお,当地の血液センターでの輸血用血液が汚染されている可能性も否定できません。したがって,重症かつ緊急を要する疾患及び外傷については速やかに国外へ搬送することになるため,万一の場合に備えて十分な額の海外旅行傷害保険(特に,疾病治療費用,傷害治療費用,救援者費用)に加入しておくことを強くお勧めします。

5 かかり易い病気・怪我

(1)マラリア

 一年を通して発生しますが雨季の始まりと共に増え,11月から12月にかけてピークに達します。セネガルでは4種類あるマラリアのうち一番悪性度の高い熱帯熱マラリアが90%以上を占めています。熱帯熱マラリアは,発熱や頭痛といった症状が出始めて5日間無治療で放置すると約50%の感染者が死に至ります。近年セネガル政府により施行された疾病対策が奏功し罹患数は減少傾向にありますが,依然として首都ダカールでの感染報告も多数見られ,放置すれば死に至る疾患であるため注意が必要です。マラリアの感染ルートは,ハマダラカ(蚊)に刺された時にマラリア原虫が体内に侵入し,約1週間後に発熱,頭痛,寒気,夜間の盗汗,だるさ,吐き気,筋肉痛などが始まります。血中で原虫が大量に繁殖し脳に移行すると,治療が困難となるため,早期治療を要します。子供や妊娠中の女性ほど症状が重く,進行が早い傾向があります。顕微鏡検査にて血液中にマラリア原虫がみつかれば診断が確定します。当地のクリニックにおいては、まず簡易な血液検査により判定します。

 発熱は37度台から40度台まで個人差が大きいという特徴があります。発熱はマラリアに限ったことではなく,他の病気でも頻繁に見られますが,当地ではまずマラリアを疑い血液検査を行います。多少の発熱だからと楽観しないことが大切です。

 予防薬としてメフロキン(MEPHAQUIN,LARIAM),ドキシサイクリン(Doxycycline)またはプログアニルとアトバコンの合剤(Malarone)が推奨されています。治療は,ACT治療薬(アルテミシニン ベース混合治療薬)であるCoartem,Duo-cotexinなどを用います。予防薬,治療薬は当国内の薬局で購入可能です。

 ハマダラカ(蚊)は夕方から朝方にかけて出没します。感染リスクが高い地方だけではなく市内でも夜間外出を控え,やむを得ない場合は長袖・長ズボンなど肌の露出を少なくし,虫除けスプレー等蚊の忌避剤を使用してください。蚊帳の使用も有効です。

(2)黄熱

 セネガルは黄熱の汚染地域です。黄熱は日中に活動するネッタイシマカ(蚊)を媒介とし,刺されることで感染するウイルス性疾患で,3-6日間の潜伏期を経て発熱,黄疸,出血傾向を示し,致死率が60%にも達する感染症です。当地では2002年11月,小規模の流行が見られ,44例の死亡例がありました。予防接種を受けることが必要で,極めて重要です。予防接種後に配布されるイエローカード(接種証明書)は出入国時に提示を求められる場合がありますのでパスポートと共に必ず携帯してください。

(3)赤痢

 年間を通して見られ,雨季に多くなる消化器疾患です。下痢,発熱,及び血便の症状が出ますのでそのような症状が出た場合は病院を受診してください(検便等が必要です)。点滴と,細菌性なら抗生物質,アメーバ性ならばメトロニダゾール(FLAGYL等)にて治療します。水道水での飲料,歯磨きは避け,ミネラルウォーターを使ってください。邦人旅行者でヤシ酒を飲んでアメーバ赤痢に感染した例,サンドウイッチに挟んであるレタス,トマトから細菌性赤痢に感染した例があります。大部分が不衛生な水を摂取することにより感染します。

(4)コレラ

 米のとぎ汁様の下痢が大量に出て,急速に脱水に陥ります。経口感染ですので,生水,生野菜はさけ,流行時には特に手洗いをしっかり行ってください。2005年には,約半年で5,201例の発症者があり,うち109例が死亡しました。何よりも不衛生な水を摂取しないよう心がけることが重要です。

(5)結膜炎

 乾季,砂が舞う季節に流行し,目が赤く充血し,時に痛みを伴います。アポロ病と当地では呼ばれ,非常に感染力が強く,外出から帰ったら手洗い,洗顔を行い,清潔を保ってください。患者さんとはタオル等触れるものは共用しないでください。結膜炎に罹患したら抗生物質の点眼が必要になります。

(6)細菌性髄膜炎

 乾季に流行することがあり,発熱,頭痛を初期症状とし,頸部硬直,意識障害といった重い症状が出現してきます。入院治療が必要です。予防接種がありますので,この季節に滞在する場合は,あらかじめ接種しておくことをお勧めします。2007年には近隣国で,100名を超す死亡者がみられる流行がありました。

(7)住血吸虫症

 湖や川等,淡水中に生息する寄生虫が皮膚を貫いて体内に侵入し,肝臓や膀胱に寄生します。症状は腹痛,下痢,血尿等です。淡水では泳がないのはもちろん,水路や水たまりに入る必要がある時には,必ず長靴を着用してください。

(8)狂犬病

 動物(犬だけでなく,猫,山羊,羊,牛等)と接触する場合,噛まれなくても,唾液により狂犬病ウイルスに感染する危険があります。ダカールでは野良犬の十数パーセントが狂犬病ウイルスに感染している,と言われています。噛まれた場合,ダカールのパスツール研究所で狂犬病ワクチンを摂取する(暴露後免疫)必要があります。いったん発病すると致死率はほぼ100%ですので,動物との接触が予想される場合は,予めワクチンを接種(暴露前免疫)することをお勧めします。

6 健康上心がける事

(1)交通事故

 交通渋滞が頻繁で,整備不良車両,交通ルールの無視,飛び出しなど諸事情の悪さにより交通事故は多く,救急外傷への対応は,ダカール以外では非常に困難です。

(2)食中毒

 年間を通じてみられます。水道水は飲料に適しません。ミネラルウォーターを飲んでください。生野菜も十分に洗浄していないものは食べないこと。鶏卵も良く火が通ったものを食べてください(半熟不可)。サルモネラ菌で汚染されている場合があります。肉は火が通っていても安心できません。購入した場所での保管状況に問題がある場合があります。信頼の置ける店で購入するか,またはレストランで食べるようにしてください。また,加熱不十分な牛肉を摂取したことで寄生虫(条虫症)に感染した例もありますので,肉類は十分に加熱したもののみ摂取するようにしてください。

(3)日焼け

 日差しは年間を通じ強く,帽子,日傘,日焼け止めを使用してください。

(4)熱中症

 屋外にいると喉の渇きが出る前に汗で水分が失われます。常にミネラルウォーターを携行し,水分補給に努めてください。特にスポーツ(ゴルフ,テニス等)の時は十分行ってください。頭痛,だるさ,発熱は熱中症の症状です。重症例は経口摂取も不十分となるので,病院を受診し点滴が必要の場合があります。

(5)大気汚染

 ダカールでは整備不良の車の排気ガスで大気汚染が見られます。喘息等の呼吸器疾患のある方は,マスク等で予防に努めてください。

(6)有害動植物

 セネガルでは55種の蛇が確認されており,その三分の一が毒蛇です。ダカールでも郊外の住宅地にコブラ(Naja nigricollis)が居ます。毒蛇咬傷の場合,11種の蛇(内7種がセネガルに生息)の蛇毒に対する抗血清が入ったFavafriqueを速やかに静脈注射する必要があります。咬傷時には速やかに,プランシパル病院やSOS MEDECINを受診してください。

(7)ダイビング

 ダカールは大西洋に面しており,ダイビングスポーツも盛んですが,潜水病の治療を行える高圧酸素療法施設はセネガルにはありません。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種

  • 成人:黄熱,破傷風,A型肝炎,B型肝炎,髄膜炎菌性髄膜炎,腸チフス
  • 小児:上記に加え,日本で実施されている定期,任意の予防接種

(2)現地の小児定期予防接種の一覧

現地の小児定期予防接種の一覧
ワクチン初回2回目3回目4回目
BCG出生時
経口生ポリオ出生時6週10週14週
不活化ポリオ14週
DTP/Hib/HepB 注16週10週14週
腸チフス2歳
黄熱9ヶ月
MR 注29ヶ月15ヶ月
ロタウイルス0週6週10週
髄膜炎菌(A,C)2歳6歳
肺炎球菌6週10週14週

注1:ジフテリア,破傷風,百日咳(全菌体),インフルエンザ桿菌b型(Hib),B型肝炎(HepB)の5種混合。

注2:麻疹,風疹

 接種時期,回数が日本と異なり,接種計画を立てる際,注意が必要です。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 予防接種証明が要求される場合には大使館で接種歴を翻訳し,証明します(有料)。

8 乳児検診

 現地任意の公立・私立医療機関で,乳児検診と定期予防接種を行っています。しかし,医療レベルを考慮すると,邦人の診療が可能な病院は限られています。邦人の利用できる病院では,1回の診察料(ワクチン代別)が約20,000-40,000 FCFAです。

9 病気になった場合(医療機関等)

ダカール

(1)Clinique du Cap (クリニック・ド・キャップ)
所在地:Avenue de Pasteur
電話:338890202,Fax: 338216146
概要:内科,外科,産婦人科,神経内科,眼科,小児科を有する私立病院。入院・手術及び人工透析も可能。レントゲン・CT・MRI・エコー検査も可能。フランス語,一部の医師にのみ英語が通じます。原則的には24時間救急対応も可能で,支払いは現金か小切手(当地の銀行口座)やクレジットカードも使用できますが入院に際しては保証金約800,000 FCFAが必要です。
(2)Clinique de la Madelaine(クリニック・ドゥ・ラ・マドレーヌ)
所在地:18, Avenue des Jambaars
電話:338899470,Fax:338228893
概要:内科,循環器科,外科,産婦人科,小児科,耳鼻咽喉科,泌尿器科を有する私立病院。入院・手術・人工透析も可能。レントゲン・エコー・内視鏡検査も可能。フランス語,英語が通じます。原則的には24時間救急対応も可能。支払いは現金,小切手(当地の銀行口座),またはクレジットカードです。入院に際しては保証金約750,000 FCFAが必要です。
(3)SOS MEDECIN (エスオーエス メドゥサン)
所在地:Baie de soumbedioune rue 62×64
電話:338891515,Fax:338233398
概要:24時間,医師同乗の救急車にて往診,救急移送を行っているクリニック。フランス語,英語が通じます。費用は救急搬送のみ145,000 FCFA,往診25,000 FCFAですが,処置代(縫合,点滴等)がそれぞれ加算されていく課金システムです。
(4)Institut Pasteur (アンスティテュ パストゥール)
所在地:36, Avenue Pasteur
電話:338399200,Fax:338399210
概要:予防接種(BCG,黄熱,B型肝炎,腸チフス,髄膜炎菌性髄膜炎,狂犬病)が受けられます。時間は月~木曜日(14時~16時),金曜日(15時~17時),土曜日(9時~11時)です(フランス語)。狂犬病治療センターは月~木曜日(9時~11時,14時~16時),金曜日(9時~11時,15時~17時)土曜日(9時~11時)受診です。念のため受診前に電話にて確認をしてください。
(5)Hopital Principal (オピタル プランシパル)
所在地:1, avenue Nelson Mandela
電話33839.5050,Fax:33839.5088
概要:内科・外科・脳外科・救急(蘇生科)・産科婦人科・小児科等の各科を有する軍病院ですが,現地の方の受診が多いです。各種検査機材,X線CT,MRIなどの医療器材もそろっています。邦人の婦人科手術(卵巣摘出),交通事故による意識不明邦人患者の緊急開頭術などの実績が有ります。受付は英語が通じません。医師も必ずしも英語が通じるとは限りません。入院の際には保証金が必要です。また,外国人が利用する場合,入院費用は高額です。

10 その他の詳細情報入手先

(1)SOS Medecinhttp://www.sosmedecinsenegal.org/別ウィンドウで開く

(2)パスツール研究所:http://www.pasteur.sn/別ウィンドウで開く  (予防接種情報有り)

(3)Hopital Principalhttp://www.hopitalprincipal.sn/別ウィンドウで開く

(4)セネガル保健・社会活動省:http://www.sante.gouv.sn/別ウィンドウで開く

11 現地語・一口メモ

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしものときの医療フランス語)を参照願います。


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