世界の医療事情

モザンビーク

平成30年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 モザンビーク共和国(国際電話国番号258)

2 公館の住所・電話番号

在モザンビーク日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Av. Julius Nyerere, n˚2832, Maputo
電話:21-499819 / 21-499820
ホームページ:https://www.mz.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 当国は南北に長く,北部が熱帯気候,南端に位置する首都マプトは亜熱帯気候に属します。雨季(10~3月頃)と乾季(4~9月頃)に分かれ,雨季には高温多湿の日が続きます。一方,乾季は比較的涼しく,朝夕は肌寒い日もあるので,上着の携行をお勧めします。

 公用語はポルトガル語で,公立病院では英語はほとんど通じません。マプト市内の一部の私立病院では英語も通じますが,スタッフ全員が英語を理解するわけではありません。尚,日本語で利用可能な医療施設はありません。また,公的医療保険制度も整備されていません。

 医療水準は非常に低く,邦人の方々が安心して利用できる医療施設はありません。但し,マプト市内には富裕層や在留外国人などを主な顧客としている病院がいくつか存在し,簡単な治療や検査のみならば利用可能です。しかし長期間の入院や手術が必要な場合には十分対応できませんので,南アフリカ等,他の医療先進国で治療を受けることをお勧めします。特に地方都市では病院設備・診療体制ともに不十分ですので,速やかに南アフリカなどへの搬送を検討してください。緊急医療搬送には多額の費用がかかります。当国滞在中は海外旅行傷害保険等に加入して病気や怪我に備えてください。

 当国は医師が非常に不足しています。評判の良い医師や専門医の診察を希望する場合には,まず病院に診療日や診療時間を確認の上,予約することをお勧めします。それでも長時間待たされることもあります。

 支払いは基本的に現金・クレジットカードによる前払いを求められます。

 当国の水道設備の管理能力は十分とは言えず,また家庭内の配管や貯水槽の管理も不適切です。マプトを含めた国内全域において,飲用には市販のミネラル水の購入をお勧めします。但し,ミネラル水も品質の劣る製品が出回っていることがあり,注意が必要です。なお,欧米製の浄水器が市販されています。

 一般的に,当地の食品衛生管理は信頼できません。屋台や小さな食堂等,衛生環境が不十分な場所での飲食は控えた方が良いでしょう。そのような場所では氷や乳製品にも注意してください。特に雨期は細菌が繁殖し易いので食中毒に気を付けてください。

5 かかり易い病気・怪我

(1)感染性胃腸炎

 原因となる病原体は細菌,ウイルス,原虫,寄生虫と様々です。細菌性の場合,サルモネラ感染症(日本でも頻度の高い食中毒原因菌であり,また腸チフスの原因菌でもある),腸炎ビブリオ菌,病原性大腸菌,ブドウ球菌等に加えて,当地においては細菌性赤痢,コレラ等に罹患する可能性があります。特にコレラは毎年雨季を中心に流行します。2017年10月~2018年5月のアウトブレークでは4人が死亡しています。また衛生状態の悪い当国では,各種ウイルス,赤痢アメーバ等の原虫,その他の寄生虫に感染して胃腸炎を起こすことがあります。これらは主に食事や飲み水,食器,不潔な手指などから経口的に感染します。症状は原因となる病原体,感染菌量,体調等により異なりますが,一般的に発熱,下痢,悪心,嘔吐,腹痛等が見られます。少量の下痢のみであれば十分な水分摂取(電解質を含んだ経口補水液が望ましい)を行い,休養をとってください。下痢止め等の使用は原因菌の排泄を妨げることがあるためお勧めしません。大量の下痢,血便や粘血便,持続する高熱,強い吐き気や腹痛などの症状がある場合には,病院を受診してください。また,食事前やトイレ使用後は良く手を洗う,生野菜は調理前によく洗浄する,生ものや加熱の不十分なものは摂取しない等の予防対策を行うことが重要です。

(2)マラリア

 ハマダラカという蚊に刺されることによりマラリア原虫が体内に侵入して発病します。ヒトが感染するヒトマラリアには熱帯熱,三日熱,四日熱,卵形マラリアの4種類があります。このうち当国で圧倒的に多いのは熱帯熱マラリアで,迅速かつ適切な治療が施されないと短期間のうちに重症化し死に至る可能性があります。潜伏期間(蚊に刺されてから発熱等の症状が出るまでにかかる日数)は熱帯熱マラリアで平均12日とされており,当国を離れてから発症することもあるため注意が必要です。マラリアの主症状は主に発熱ですが,倦怠感,頭痛,筋肉痛,関節痛などを伴う事も多く,腹部症状や呼吸器症状が見られることもあります。マラリア流行地域に渡航中あるいは渡航後に発熱した場合,まずマラリアを疑うことが重要です。当国では国内全域で年間を通じてマラリアに罹患する可能性があり,特に蚊が増える雨季には注意が必要です。2017年の患者数は750万人余りで死亡者数は約7.3万人となっています。また薬剤耐性(クロロキン耐性)熱帯熱マラリアも認められています。一般的に抗マラリア薬の予防内服の適応は,高度流行地域に7日間以上滞在する場合で,発症時に適切な医療対応が期待できない場合とされます。首都マプト以外の地方都市に長期滞在する場合には予防内服の必要性につき検討してください。しかし,最も基本的な対策は,蚊に刺されないことです。特にハマダラカが活動する夜間には外出を控え,皮膚を露出しない,網戸や蚊帳などの防蚊対策が整った宿泊施設を選択する,蚊取り線香・殺虫スプレー・昆虫忌避剤を使用する等の予防策が重要です。

(3)交通事故による怪我

 近年の交通量増加に比例し,交通事故件数が激増し,死亡事故も多発しています。当国の医療水準の低さ,緊急搬送体制の脆弱さ,また輸血における感染リスクを考慮し,被害に遭わないように細心の注意を払ってください。

(4)HIV/AIDS

 モザンビーク人のHIV感染率は非常に高く,2017年の15~49歳における全国平均は13.9%,最高はガザ州の24.4%,最低はテテ州で5.2%です。首都のあるマプト市では16.9%となっています。ウイルス保有者とのコンドーム等で防御しない性行為,汚染血液の傷口からの侵入,輸血や注射器事故等で感染する可能性があります。

(5)結核

 当国の結核感染者数は年々増加傾向にあり,年間16万人超が新規感染していると推測されています。結核患者が咳やくしゃみをして喀出するしぶきを直接吸い込むことによって感染します。排気の悪い狭い空間に排菌患者と長時間一緒にいると感染の危険が高まります。

(6)狂犬病

 当国では狂犬病の予防接種を受けていない犬が多数おり,国内全域で感染の危険があります。2017年には72名が狂犬病で死亡しました。狂犬病ウイルスに感染している動物に咬まれたり,傷口や粘膜を舐められたりすることで狂犬病に感染し,発症した場合はほぼ100%死亡します。当国では犬以外の動物(コウモリ,マングース,ジャッカル等)からの感染の危険もあります。無闇に動物に近づかないようにしてください。狂犬病の疑いのある動物に咬まれた場合には,直ちに傷口を洗い,病院を受診してワクチン接種・治療等について相談してください。

(7)ウイルス性肝炎

 代表的なものとして,経口感染するA型肝炎と血液・体液を介して感染するB型肝炎があります。A型は上述の感染性胃腸炎と同様な衛生対策が必要です。B型は不適切な医療行為(輸血,注射,針治療)や入れ墨などで感染します。当地では現地の方の間でB型肝炎感染率が高く,カミソリ,歯ブラシ,タオルの共有でも感染する可能性があります。

(8)住血吸虫症

 川や湖等の淡水中には,皮膚から浸入する寄生虫(ビルハルツ住血吸虫)が生息しています。淡水での水遊びには十分注意してください。

(9)昆虫が媒介する様々な病気

 マラリア以外にも蚊,ブユ,ハエ,ノミ,シラミなどの昆虫が媒介する感染症に罹患する可能性があります。不衛生な場所での宿泊,屋外での活動の際には,これらの昆虫による刺傷に気をつけてください。

(注)当国は感染症流行時の調査体制が十分とは言えず,感染症流行情報が適切な時期に得られないことがあります。滞在中は当国のみならず周辺国の感染症流行状況にも注意を払うようにしてください。周辺国で大規模な流行が報じられている場合には,当国までも感染が拡がっている可能性を考慮して行動する必要があります。

6 健康上心がける事

(1)熱中症

 高温多湿となる雨季には熱中症にかかり易くなります。無理な行動,過度な運動を避け,十分な休息をとりつつ頻繁に水分を摂るように努めてください。市販の経口補水液(電解質を含んだスポーツドリンクなど)の携帯をお勧めします。

(2)有害動物による咬傷

 当国には毒蛇,サソリ,また危険な海洋生物が生息しています。日常生活で被害に遭う可能性は高くはないと考えますが,サファリやダイビング参加時には十分な注意が必要です。

(3)紫外線

 10月から3月頃の紫外線は非常に強く,長袖シャツや日焼け止めクリーム,サングラス,帽子等の携帯をお勧めします。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種(成人,小児)

 本邦からの直接の入国時に義務付けられた予防接種はありません。しかし,周囲の黄熱汚染国から入国する場合には黄熱ワクチン接種証明書(イエローカード)の提出を求められます。また当地では様々な感染症に罹患する可能性がありますので,以下の予防接種の実施が推奨されます。

  • 成人:破傷風,A型肝炎,B型肝炎,狂犬病,麻疹(特に麻疹ワクチンを今まで一度も受けたことがなく,かつ麻疹に未罹患の人),腸チフス。
  • 小児:日本の定期接種【BCG,DPT,ポリオ,麻疹,風疹,水痘,インフルエンザ菌b型(Hib),肺炎球菌等】,日本の任意接種【季節性インフルエンザ,おたふく風邪,ロタウイルス等】,A型肝炎,B型肝炎,狂犬病,腸チフス。

(2)モザンビークにおける小児定期予防接種一覧

小児定期予防接種一覧
初回 2回目 3回目 4回目
BCG 出生時
ポリオ(注) 出生時 6週 10週 14週
DPT+B型肝炎+ Hib(インフルエンザ桿菌b型) 6週 10週 14週
B型肝炎 5種混合ワクチンに含まれる    
Hib(インフルエンザ桿菌b型) 5種混合ワクチンに含まれる    
PCV(肺炎球菌) 6週 10週 18週
麻疹(はしか) 9ヶ月 18ヶ月  
ロタウイルス(注) 6週 10週    
ヒトパピローマウイルス 9~13才の女児のみ  初回から4週後    
MR 9ヶ月 18ヶ月
ムンプス(おたふく風邪) 実施されていない
風疹(ふうしん) MRに含まれる

(注)経口生ワクチン

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明書

 現地の公立校への入学には,予防接種記録・証明書は必要とされません。インターナショナルスクール等の私立校では予防接種記録の提出を求められる場合があります。

8 病気になった場合(医療機関等)

 救急医療電話番号「115」があり,全国の公立病院に搬送することになっています。しかし,救急車両については医療装備の全くない病院間搬送用車両が各地域病院に2~3台配備されているだけです。外国人が115番を利用することはほとんどありません。

マプト市

 以下に紹介する病院は,いずれも十分な医療水準に達しているとは言えません。簡単な診察・治療や急変時の一次収容のみの利用に限定し,手術が必要な場合や重症化した場合には先進国で治療を受けることをお勧めします。なお,マラリアの基本的な診断・治療は以下の3病院とも可能ですが,重症化した場合には十分な対応ができません。

 入院時保証金は2,000米ドルほどです。

(1)Hospital Privado de Maputo(オスピタル・プリバード・デ・マプト)
所在地:Rua do Rio Inhamiara Sommerschield Ⅱ
電話:21-488600(総合受付)/ 84-3030967(受付用携帯),FAX:21-493683
概要:2012年にオープンした南アフリカ系私立病院です。英語・ポルトガル語が使用可能です。成人・小児ともに24時間対応しています。支払いは現金・クレジットカードによる前払いとなります。入院時には保証金が必要です。手術を要する場合には別途手術費用を前払い請求されます。
(2)Instituto do Coraҫão(ICOR)(インスティチュート・ド・コラサン)
所在地:Av. Kenneth Kaunda, n˚1111
電話:21-417848(総合受付)/ 82-3274800 ,84-3274800(受付用携帯),FAX:21-414385
概要:2001年に欧州のNGOなどの支援を受けて設立された病院です。循環器疾患対応に重きをおいており,欧州から指導医を招き,小児を対象に無償で心臓外科手術や心臓カテーテル治療を行っていますが,待機的手術のみで緊急対応はしていません。使用言語は基本的にポルトガル語ですが,医師及び一部のスタッフは英語を話します。成人・小児ともに24時間対応しています。支払いは現金・クレジットカードによる前払いです。入院時には保証金が必要です。手術を要する場合には別途手術費用を前払い請求されます。
(3)Clinica de Sommerschield(クリニカ・デ・ソマシールド)
所在地:Rua Pereira do Lago, n˚52
電話:21-493924 ,21-493925(総合受付)/ 82-6418747(受付用携帯),FAX:21-493927
概要:英語・ポルトガル語が使用可能です。成人・小児ともに24時間対応しています。支払いは現金・クレジットカードによる前払いとなります。入院時には保証金が必要です。手術を要する場合には別途手術費用を前払い請求されます。

ナンプラ州ナンプラ市

(1)Boa Saude(ボア・サウーデ)
所在地:Rua dos Viveiros, n˚100
電話:26-216222 ,84-4605170(受付用携帯),FAX:26-216223
概要:私立有床診療所です。マラリアやデング熱などの感染症はじめ,小児科や産婦人科にも対応しています。外国人への診療にも慣れています。診療所なので重症者には対応できません。しかし,院長は下記Hospital Central de Nampulaにも勤務しているため,重症者の対応につき相談可能です。歯科クリニックも併設されており,一時的な簡易治療は可能です。
(2)Hospital Central de Nampula(オスピタル・セントラル・デ・ナンプラ)
所在地:Av. Samora Machel
電話:84-0124069(有料診療する特別クリニック)
概要:CT検査が可能な公立総合病院です。交通外傷など緊急或いは重症の場合は,ナンプラではこの病院しか対応できません。しかし,スタッフや設備が不十分であるため,初期対応後に早急に南アフリカなどへの移送が必要です。

ソファラ州ベイラ市

(1)Hospital Central de Beira(オスピタル・セントラル・デ・ベイラ)
所在地:Av. FPLM
電話84-3053861 ,82-3767672(有料診療する特別クリニック)
概要:重症の場合はこの公立病院でしか対応できません。しかし,上記オスピタル・セントラル・デ・ナンプラと比べスタッフや設備が不十分であり,早急に南アフリカなどへの移送が必要です。

マプト市内の歯科クリニック

 モザンビークの公立医療機関では十分な歯科治療を受けることはできません。しかし以下の私立歯科クリニックでは外国人患者の診療も多く,基本的な診断・治療を受けることが可能です。但し,根管治療やインプラント施行術等,高度な技術を要する治療は積極的には勧められません。また,器具の洗浄・滅菌など基本的な感染対策は実施されていますが,当国のHIVや肝炎の感染率の高さや,歯科助手等の技術水準を考慮すると,感染の危険性が皆無とは言えません。やむを得ない場合以外は,可能な限り医療先進国で治療を受けることをお勧めします。支払いは現金・クレジットカードによる前払いとなります。

(1)Clinica Elim(クリニカ・エリム)
所在地:Rua do Rio Inhamiara Sommerschield Ⅱ(上記Hospital Privado de Maputoの建物内にある。)
受付用携帯電話: 82-3110660
使用可能言語:英語,ポルトガル語
診療時間:月~金曜日 8時~12時30分,14時~17時
概要:南アフリカ人歯科医です。
(2)Dental Care (Clinica Dentaria)デンタルケア(クリニカ・デンタリア)
所在地:AV. 25 de Setembro, No916, R/C Predio Macau
電話:21-303386,受付用携帯電話:82-0683903/84-6641443
使用言語:英語,ポルトガル語
診療時間:月~金曜日 7時30分~20時30分
概要:ポルトガル人歯科医で,小児歯科もあります。

その他の医療機関

 マプトやナンプラ以外の地方都市にも公立病院が存在しますが,民間病院はほとんどありません。医療水準は非常に低く,邦人の利用に耐えうる施設はありません。重症化する前に速やかにマプトや南アフリカの病院受診をお勧めします。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在モザンビーク日本国大使館:https://www.mz.emb-japan.go.jp/別ウィンドウで開く

(2)モザンビーク保健省:http://www.misau.gov.mz/別ウィンドウで開く(ポルトガル語標記のみ)

(3)厚生労働省検疫所:http://www.forth.go.jp/別ウィンドウで開く

(4)米国疾病予防管理センター(CDC):http://www.cdc.gov/travel/別ウィンドウで開く

(5)世界保健機構(WHO)モザンビーク事務所:http://www.who.int/countries/moz/en/別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療ポルトガル語)を参照願います。


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