世界の医療事情

モロッコ

平成28年10月

1 国名・都市名(国際電話番号)

 モロッコ王国 (国際電話国番号212)

2 公館の住所・電話番号

在モロッコ日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Ambassade du Japon 39, Avenue Ahmed Balafrej, Souissi - Rabat
電話:0537–63–17-82~84
ホームページ:http://www.ma.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(注)土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので,ご覧ください。

4 衛生・医療事情一般

 モロッコは立憲君主国です。アフリカ大陸の北西の端に位置し,北は地中海,西は大西洋に面し,国土のほぼ中央に北東から南西に向けてアトラス山脈が走っており,南部には砂漠地帯があります。こうした地形がモロッコの気候を変化に富むものにしており,北西部は地中海性気候,東部は大陸性気候,南部は砂漠気候と大きく3つに分けられます。国教はイスラム教で,モロッコ人に対しては,イスラム教とユダヤ教のみが認められています。外国人が他宗教徒であることは許容されます。公用語はアラビア語とベルベル語で,その他フランス語も広く使われています。 医療施設においても同様で,英語が通じる医療施設は限られます。

 当地の医療事情(医療施設や医療レベル)は,大都市と地方都市さらに郡部では大きく異なります。大都市には国公立病院や大学付属病院をはじめ,24時間救急対応の病院もあります。また,大手私立病院等,日本や欧米と比較して大きな遜色は無いレベルの医療を提供できる医療施設もあります。都市部で医療を受ける時は,大手私立病院・クリニック等を利用するのが良いでしょう。旅行中でしたら,まずホテルのフロントに尋ねてください。救急車には医療器具が整備されていますが,要請しても日本のように速やかな出動は望めません。群部では,安心して受診できる医療施設を見つけるのは難しい場合が多いでしょう。海外旅行傷害保険に加入されている方は,保険会社によっては,連絡すると医師を推薦してもらえる場合もあります。事前に契約内容を確認しておいてください。重症疾患や重症外傷では,日本や欧州などの医療先進国へ緊急移送が必要になる場合があります。 滞在期間や滞在地に関わらず,モロッコへご旅行の際は海外旅行傷害保険へ是非加入してください。薬局は市内に多くあり,処方箋無しで購入できる医薬品もあります。事前に血液型,アレルギー・喘息・糖尿病・高血圧などの持病の有無,服用中の薬剤名,連絡先等を英語かフランス語で書いて携帯すると良いでしょう。歯科治療,検眼・眼鏡作成等は,旅行前に済ませてください。

5 かかり易い病気・怪我

(1)感染性胃腸炎(旅行者下痢症)

 旅行中体調を崩す原因として最も頻度の高いのは旅行者下痢症で,病原菌等で汚染された食べ物や飲み物の摂取が原因となります。生で摂取するのは安心できる物だけに限り,しっかり加熱した清潔な食事を心掛けてください。下痢が続くときは,脱水を防ぐため,まず十分に水分を補給してください。

(2)熱中症・あせも・日焼け・紫外線障害

 季節・地域によっては,大変日差しが強く気温が上がって乾燥します。外出時は日焼け止めを使い,帽子・サングラスを着用して,水分やミネラルを十分に取ってください。

(3)虫刺症・寄生虫症

 デング熱,リーシュマニア症等,蚊やハエに刺されて感染する病気があります。また,住血吸虫症のように水辺で皮膚から感染する寄生虫症もあります。長袖・長ズボンを着用する,防虫剤を使う,素足で地面や水辺を歩かない,淡水(川や湖)に入ったり泳いだりしない等,注意を払ってください。

(4)A型肝炎

 A型肝炎ウイルスに汚染された食べ物・飲み物の摂取でかかります。2から6週間の潜伏期ののちに,発熱・倦怠感などに続いて黄疸や食欲不振・嘔吐などの消化器症状が出現します。多くは 1~2ヶ月で回復しますが,重症化し劇症肝炎となる場合もあります。A型肝炎ワクチンの接種で予防できます。

(5)交通事故

 交通ルールの無視,道路事情の不備等により交通事故は多く発生しています。手術,輸血等が必要な重症外傷への対応は,都市部以外では非常に困難ですので,十分気をつけてください。特にラマダンの時期は交通事故が増えますので,注意が必要です。

(6)マラリア

 マラリア原虫を保有したハマダラカ(蚊)に刺され感染します。重症化する熱帯熱マラリアの潜伏期間は1~4週間です。 モロッコ国内でのマラリア感染はきわめて稀ですが,旅行中の場合,前の訪問国で感染し,モロッコへ入ってから発症する可能性があります。

 国内発症例が少ないため,医師がマラリアの可能性を疑わず治療開始が遅れて重症化する例が出ています。マラリア流行地を通過後,突然の発熱等で医療機関を受診するときは,それまでの旅行国を医師へ伝えてください。

(7)狂犬病

 狂犬病ウイルスに感染した動物(イヌ・ネコ・コウモリ等)に咬まれたり引っかかれたりすることで感染します。潜伏期間は咬まれた部位によって異なりますが,一般的には1から2ヶ月です。感冒様症状で始まり,咬傷部の痒みや知覚異常を伴い,脳炎症状が出ると興奮・不安狂騒・恐水発作等を呈し,昏睡に陥り死に至ります。発症後の致死率はほぼ100%です。モロッコでは飼い犬や飼い猫であっても狂犬病予防接種をしているとは限りません。野生動物はもちろん,犬猫にも不用意に近づかないようにしてください。長期間の野外活動や野生動物と接する機会が多い場合は,あらかじめ 狂犬病ワクチンの接種をお勧めます。万一咬まれた場合は石けんと流水でよく洗い,直ちに各地の保健センター(Bureau Communal d’Hygiène)を受診して,予防接種を受けてください(無償)。

 カサブランカとタンジェのパスツール研究所でも有料で接種してもらえます。

(ア)予防接種スケジュール

 受診日(0日)ワクチン2本 → 14日目 同 1本 → 21日目 同 1本

(イ)各地のBureau Communal d’Hygiène(BCH)(電話は繋がりにくいです)

  • ラバト:0537 20 28 33(8時30分~15時45分)
  • カサブランカ: 0670 75 02 96 / 0522 63 68 61
  • マラケシュ:0524 45 48 49 (9時~16時)
  • フェズ:0661 30 15 81
  • タンジェ:0539 93 65 59 (8時~14時30分)

(ウ)パスツール研究所

  • カサブランカ: 0522 43 44 68 (8時30分~15時)
  • タンジェ: 0539 93 11 11 (8時30分~15時30分)

6 健康上心がける事

(1)海外旅行傷害保険への加入は必須とお考えください。

(2)日本とは時差(9時間,夏時間の間は8時間)があり文化も宗教も異なります。当地で生活する場合は,当地の気候・自然・人的環境への順応に数か月を要すると考えましょう。その間に知識・情報を蓄積し,人的ネットワークの形成を図って,心身の健康を守ってください。

(3)当国はイスラム教国家であることを理解し,モロッコの習慣を受け容れるよう心掛けて生活し,不要なストレスを避けましょう。

(4)夏季には,かなり気温の上がる日があります。常に水分補給を心掛け,熱中症に注意してください。尿量が少ない時は脱水気味と考えて水分を摂取してください。気温32度以上では,2度上がる毎に500ミリリットルの水分補給(1日当たり)が必要と言われています。

(5)飲料水は一度沸騰させた水道水か,未開封のミネラルウォーター等を飲みましょう。 酒・ジュース類に入っている氷は,水道水で作られている場合が多いので要注意です。野菜や果物は流水で丁寧に洗いしっかり水を切ってください。消毒薬としては,家庭用塩素系漂白剤(5%塩素)を使うのが一般的で,食器類等だけでなく食物を消毒するためにも使えます。肉・魚類は十分に加熱してください。

(6)帰宅後・食事前等はうがい・手洗いを励行してください。

(7)思わぬ感染症の危険があります。不用意に動物に近づかず,素足で地面を歩かず,川や湖に入ったり泳いだりしないでください。

(8)家電用電気は日本より高電圧(220ボルト)です。感電に気を付けてください。

(9)当地の陶器は食べ物などに鉛が溶け出してくる可能性があります。釉薬(うわぐすり)として鉛を使用していないものを選んでください。赤・緑・金など派手な色の絵がある陶器は要注意です。

(10)一部の地域でのみ流行している病気などは,他所では情報を入手し難い場合があります。旅行前には,旅行会社などから旅先についての十分な情報を得るよう努めてください。

7 予防接種(ワクチン接種機関を含む)

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

 生ワクチンを含む複数の予防接種を受ける時は,4週間以上間隔を空けることが必要となる場合があります。予防接種スケジュールは時間のゆとりを持ってたててください。

(1)赴任者に必要な予防接種(成人・小児)

 入国時に必要とされる予防接種はありませんが,滞在地・滞在理由等によっては医師と相談の上,破傷風,腸チフス,A型肝炎,B型肝炎,狂犬病,髄膜炎菌などの予防接種を受けることをお勧めします。小児も同様です。日本脳炎及びダニ脳炎は,現在のところ,流行していません。

 小児は赴任前に日本の「定期予防接種スケジュール」にしたがって予防接種を受けてください。赴任時期により定期予防接種を済ませられない場合は,医師に相談してください。 ロタウイルスおよび水痘ワクチンは2013年後半から供給が止まっており,モロッコでは入手できません。

(2)現地の小児定期予防接種一覧

 日本とモロッコでは定期予防接種の種類とスケジュールが多少異なります。各地の保健センター等では,下表のスケジュールに従って無料で接種を受けられます。日本人を含め外国人は,私立小児科クリニックで医師と相談して予防接種スケジュールを立て,それに従って接種するのが一般的な方法です。ワクチンを薬局で購入し,それを私立クリニックへ持参して接種してもらいます。その場合,ワクチン代及び接種料は有料です。任意接種として髄膜炎菌, A型肝炎,季節性インフルエンザ等の予防接種も可能です。また,母子手帳(Carnet de Santé)を書店等で購入できます。活用してください。

現地の小児定期予防接種一覧
予防接種 回数 出生時 1ヶ月内 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 9ヶ月 12ヶ月 18ヶ月 5歳
B型肝炎(単剤) 1              
BCG 1                
DPT+Hib+B型肝炎 3            
DPT注1 2              
ポリオ(経口)注2 6      
肺炎球菌 3            
ロタウイルス 注3 3            
麻疹+風疹 1                
麻疹(単剤) 1                

注1:5歳と10歳時にジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの追加接種をします。日本では11歳時,ジフテリアと破傷風を追加接種します。

注2:保健センターではポリオ(生ワクチン・経口)ですが,私立クリニックではDPTおよびHibとポリオ(不活化)の混合ワクチンを接種します。

注3:2014年初めから,ロタウイルスはワクチン供給不足のため実施していません。

(3)小児が現地校に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明

 現地校入園・入学・転入に際し,予防接種歴の証明を求められます。要求される予防接種の種類は学校によって異なります。赴任前に医療機関で予防接種歴の英訳あるいは仏訳証明書を作っておくことをお勧めします。日本の母子手帳も参考になる場合がありますので,持参してください。

(例)ラバト・アメリカン・スクール入学時には,麻疹・風疹・おたふく風邪各ワクチンの各2回接種歴と,ツベルクリン反応結果の証明の提出を求められます。

8 病気になった場合(医療機関等)

 日本語の通じる医療施設はなく, 日本語の医療通訳もいません。また,いずれの施設でも英語が通じるのはごく一部の医師のみです。

 検査や治療の前に支払いを求められる場合もあります。

 ラバト・カサブランカ・マラケシュいずれの空港にも診療室はありません。

Poison Control Center

電話:080-100-0180 / 0537-68-64-64(24時間対応)

概要:薬品・食物等の各種中毒症(洗剤・殺虫剤の誤飲時や食中毒等)や,動物(毒蛇・サソリ・蜂・その他毒虫等)による毒について専門医が常駐し,モロッコ 全国からの電話相談に応じ,必要に応じ病院を紹介します。

保健所

概要:狂犬病ワクチンの接種ができます。野良犬・野良猫等に咬まれた時は,速やかに最寄りの保健所へ行き,曝露後接種を受けてください。無料です。(市中病院・薬局には狂犬病ワクチンはありません。)

主な医療機関

ラバト市

「救急車(有料,24時間対応)」
SAMU(Service Ambulance d'Urgence)de Rabat(サミュ・ドゥ・ラバ)
電話:0537-73-73-73
(1)Hôpital Cheikh Zaïd(オピタル・シェイク・ザイッド)
所在地:Avenue Allal El Fassi, Madinat Al Irfane, Hay Ryad, Rabat
電話:0537-68-68-68 / 0537-68-49-9(救急部直通)
概要:私立病院(救急外来24時間対応)。日本や欧米と同レベルとは言えませんが, 医療レベル・規模とも国内随一です。歯科もあります。多くの在留邦人が利用する施設です。一般診療は要予約。
(2)Clinique des Nations Unis(クリニック・デ・ナション・ズュニ)
所在地:Avenue es Nations Unies, Rue Ibn Hanbal, Agdal, Rabat
電話:0537–67-05-05
概要:私立病院(救急外来24時間対応)。住宅街からも近い中堅病院。救急以外でも各科担当医が24時間常駐している。一般診療は要予約。
(3)Clinique Agdal(クリニック・アグダル)
所在地:6, Place Talha, Avenue Ibn Sina, Agdal, Rabat
電話:0537-67-77-77・0537-77-77-77
概要:私立病院(救急外来24時間対応)。住宅街からも近い中堅病院。一般診療は相談すると,契約開業医を紹介してくれる。
(4)Clinique de la Tour Hassan (クリニック・ド・ラ・トゥール・ハッサン)
所在地:Rue Idriss Al Azhar, Rabat
電話:0537–70-98-91 / 0537-72-91-62 / 0537-72-91-73
概要:私立病院(救急外来24時間対応)。市中心にある中堅病院。一般診療は要予約。

カサブランカ市

「救急車(有料,24時間対応)」
SAMU de Casa(Service Ambulance d'Urgence de Casa)(サミュ・ドゥ・カサ)
電話:0522-25-25-25、0522-98-98-98
(1)Clinique des Specialités Achifaa (クリニック・デ・スペシャリテ・アシファ)
所在地:Angle Rues Lahcen El Arjoune et Lavoisier(face Hôpital 20 Août)
電話:0522-86 22 86 / 0522-85 92 20
概要:私立病院(救急外来24時間対応)。救急部医師は英語堪能。一般診療は要予約。
(2)Clinique Dar Essalam(クリニック・ダル・エッサラム)
所在地:Avenue Modi Bokita728, Bd. Modibo Keita Casablanca
電話:0522-85 14 14 / 0522-28 37 75
概要:私立病院(救急外来24時間対応)。一般診療は要予約。

マラケシュ市

(1)Clinique Internationale Marrakech(クリニック・インターナショナル・マラケシュ)
所在地:Rte. De l’Aeroport Bab Ighli
電話:0524-36 95 95 / 0524-44 40 40
概要:私立病院(救急外来24時間対応)。一般診療は要予約。
(2)Policlinique de Sud (ポリクリニック・ドゥ・スゥド)
所在地:2 rue Yougouslavie, Gueliz, Marrakech
電話:0524-44-79-99
概要: 私立病院(救急外来24時間対応)。一般診療は要予約。

フェズ市

(1)Clinique Al Kawter(クリニック・アル・カウテル)
所在地:Ave. Mohamed El Fassi, Route d’Imouzzer, Fes
電話:0535-61 19 00
概要:私立病院(救急外来24時間対応)。一般診療は要予約。

9 その他の詳細情報入手先

(1)在モロッコ日本国大使館 ホームページ(日本語):
http://www.ma.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(2)モロッコ保健省 ホームページ(仏語、アラビア語):
http://www.sante.gov.ma別ウィンドウで開く

(3)世界保健機関(WHO)地域事務所 ホームページ(仏語):
http://www.emro.who.int/morocco/別ウィンドウで開く

10 現地語・一口メモ

 公用語はアラビア語とベルベル語です。フランス語も多くの人が話します。フランス語については,「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療フランス語)を参照願います。

日本語 アラビア語 フランス語
医師 タビーブ médecin
飲み薬 ダワーオ médicament
注射 シューカ piqûre
頭痛 ラシ カイ ダルニ mal à la tête
腹痛 カルシ カ ダルニ mal du ventre
下痢 カルシ ジャリア diarrhéea
発熱 スカナ fièvre
吐気 ドーハ nausées
マジュローフ blessure
具合が悪い。 アナ アヤーヌ Je me sens mal.
病院へ連れて行ってください。 デーニ ラスビタール Emmenez-moi à hôspital, s’il vous plaît.

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