世界の医療事情

モーリシャス

2022年10月

1.国名・都市名(国際電話国番号)

 モーリシャス(国際電話国番号230)

2.公館の住所、電話番号

○ 在モーリシャス日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Level 6, Tower C,1 Cybercity,Ebene 72201, Mauritius
電話:460-2200, FAX: 468-6612
ホームページ:https://www.mu.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

3.医務官駐在公館ではありません

 在マダガスカル日本国大使館 医務官が担当

4.衛生・医療事情一般

 モーリシャスは本島及びロドリゲス島等から成るインド洋の島国です。合計面積は2,040 km2、東京都よりもやや小さい国です。気候は亜熱帯気候に属し、年間を通じて温暖湿潤です。季節は夏期と冬期に分かれます。11月から4月までが暖かく湿った夏期で、平均気温は約25℃、12月から2月はサイクロンの時期でもあります。6月から9月が比較的乾燥した冬期で、平均気温は約20℃となっています。

 保健衛生に関する統計として、平均寿命は男性71.0歳、女性77.3歳、乳幼児死亡率(出生1,000あたり乳幼児が5歳までに死亡する数)は日本の2に対し、17(2020年WHO統計)、妊産婦死亡率(出産10万あたりの妊産婦死亡率)は日本の5に対して、61(2017年WHO統計)となっています。これらの数字から、アフリカ諸国の中では保健衛生が良好な国と言えます。人口1万人あたりの医師数は日本の24人に対して、26人(2019年モーリシャス保健省)で、国内で医学教育を行っています。国民は公立病院を受診すれば医療費は無料です。そのため、国民の多くは公的医療機関を利用しています。一方で私立病院での医療費は有料で高額です。医療は自由化されており、ホームドクター制度はなく、一般医からの紹介が無くても、患者自身が希望する医療機関の専門医の診療を受けることができます。

 国民が罹患する疾病構造は、先進国と同じく、感染症中心から高齢化および生活習慣病に変化してきています。特に糖尿病患者の増加が深刻です。また、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)患者も増えており、主要な病院には冠動脈インターベンションのための設備があります。他のアフリカ諸国と異なり、風土病が問題となることは少ないですが、時折デング熱や季節性インフルエンザの流行がみられます。マラリア、腸チフス、住血吸虫症等は輸入例を除いて、ほとんどみられません。

 モーリシャスは観光産業に力を入れており、海岸沿いにはリゾートホテルが並び、ヨーロッパ人等にとっての観光地となっていますが、この環境を利用したメディカルツーリズムが行われています。この地域では、フランス海外県のレユニオンと並んで高い医療水準を有しているため、モーリシャスの私立病院では近隣のインド洋諸国やアフリカなど医療事情の悪い国々から多くの患者を受け入れています。また、疾患を抱える観光客が治療を受けながら、観光を楽しむことができます。私立病院の中にはリゾートホテル並のVIPルームを有するところもあります。外国人を受け入れている病院では、フランス語の他、英語が通じます。

 しかし、重症疾患の場合は国内で初期対応後に国外への医療搬送を考慮しなければならないこともありえます。レユニオンの他、南アフリカ、フランス(パリ)等、場合によっては日本へ緊急搬送となる可能性もあります。緊急搬送費用は大変高額ですので、当地を旅行する方にとって海外旅行傷害保険への加入は必須です。

5.かかり易い病気・怪我

(1)食中毒(Intoxication alimentaire)・感染性胃腸炎(Entérocolite):

 下痢・腹痛はモーリシャスにおいて遭遇しやすい症状です。細菌、ウイルスなどに汚染された飲食物によって感染します。汚染した現地調理人やウェイターの手が感染源になることもあります。トイレの後に手洗いを行う習慣は一般的ではなく、特に現地調理人やウェイターの手洗いが不十分であった場合は感染源になることもあり得ます。使用人を雇う場合は手洗いの習慣をつけさせることが重要です。予防策としては、肉や魚介類、卵は十分加熱して食べること、生野菜や皮を剥かない果実(イチゴ等)は避け、どうしても食べる場合はよく洗う等の注意が必要です。外食する際は信頼できる飲食店で十分に加熱調理されたものを選び、路上で売っている屋台の食物は避けてください。感染した場合、多くは数日間症状が続きやがて軽快しますが、嘔吐や下痢、発熱等により脱水症状がひどくなった場合は、点滴治療が必要となります。強い下痢止めの使用は病原体の排泄を遅らせ、症状がかえって長引くことがあります。症状が続く場合や高熱を伴うときは医師の診察を受けて下さい。

(2)デング熱(Dengue):

 モーリシャス保健省によると、2019年は138例、2020年は229例が確定診断されています。デングウイルスを保有するヤブカ属の蚊(ネッタイシマカやヒトスジシマカ)に刺されることで感染するため、予防には防蚊対策が重要です。デング熱の潜伏期間は約4~7日で、突然の高熱(38~40℃)で発病します。典型的には、頭痛、眼の奥の痛み、関節痛、筋肉痛などを伴い、遅れて発疹もよく見られます。これらの症状が現れた場合には、医療機関への受診をお勧めします。また、鎮痛解熱剤にはアセトアミノフェンを使用し、アスピリン系の使用は避けてください。

(3)その他の感染症:

 インフルエンザ(Grippe)は毎年7~8月に流行します。この時期には日本でのインフルエンザ対策と同様に手洗い・うがいを励行してください。予防接種としては南半球型のワクチンをお勧めします。麻しん(Rougeole)、風しん(Rubéole)、水痘(Varicelle)は乳幼児が発症することがあります。予防接種は確実に接種しておくことが必要です。ポリオ(Poliomyélite)は、現在はモーリシャスでの発生は報告されていません。破傷風(Tetanos)発症数は少ないですが、重篤な疾患ですので予防接種をお勧めします。腸チフス(Fièvre typhoïde)はほとんど症例がありませんが、近隣国にも旅行をする場合には予防接種をお勧めします。A型肝炎(Hépatite A)は食中毒と同様の経口感染をします。B型肝炎(Hépatite B)は近隣国と比べて、ウイルス保有者は少ないとされていますが、医療行為や輸血で感染する可能性がありますので、A型肝炎とB型肝炎両方の予防接種をお勧めします。

 HIV/AIDS感染率は他のアフリカ諸国よりは少ないとされ、15-49歳における有病率は1.1%です(USAID 2021)。他の性感染症(淋病・梅毒など)にも注意は必要です。

(4)ダイビングによる減圧症(la décompression):

 モーリシャスには多くの観光客がスキューバダイビングを目的に訪れます。スキューバダイビングを行う人は、減圧症に関する知識が必須です。減圧症は急激な減圧による血行障害が原因で起こります。海面への急浮上により、急激な減圧が起こると、体内の空気(80%が窒素)が膨張し、組織や血管内で窒素気泡が生じ、血行が障害されます。全身で血行障害がおこるため、多彩な症状が出現します。特に神経系に障害が生じると、長期に障害が残ります。ダイビング後に関節痛、息切れ、胸痛、チアノーゼなどの症状がみられた場合は、直ちにダイビングショップやホテルに相談して、救急病院を受診してください。減圧症が疑われる場合は酸素吸入を行い、できるだけ早めに高圧酸素療法を受ける必要があります。モーリシャスで高圧酸素療法(chambre hyperbare)を受けることができる病院は公立病院Victoria Hospital(所在地:Candos, Candos Vacoas Road, Quatre Bornes、電話:425-3031 )だけです。

6.健康上心がける事

(1)食品・飲料水:

 食材は信頼のおける店かスーパーで購入してください。野菜や果物は良く洗い、肉類や魚介類は必ず火を通してから食べてください。当地で魚類の生食の習慣はありません。卵の生食はサルモネラ菌感染の可能性があるため避けてください。水道水は清潔とされていますが、外国人はスーパーマーケット等で売られているミネラルウォーターを飲む方が安全です。

(2) 熱中症・日焼け:

 夏の日差しは強く、長時間屋外にいる時は日焼け止めを塗るなど日焼け対策と共に、水分、塩分を補給する熱中症対策が必要です。

(3)メンタルヘルス:

 モーリシャスは観光客にとっては憩いの場ですが、長期に生活するとなると、日常生活全般で思うようにいかないことも多くストレスが溜まることがあります。また、日本と同等の娯楽は無く、文化や言葉の壁もあります。ストレスを溜めないためには、家族や友人などと何でも話し合える良好な関係を築くことが大切です。また、定期的に休暇を取るなど、心のリフレッシュを行うよう心掛けてください。

7.予防接種

  • 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種:

 入国時に必須の予防接種はありません。日本からの渡航者は入国時のイエローカード(黄熱予防接種証明書)は求められませんが、経由地で必要となることがあります。経由地の情報も確認してください。渡航される方はA型肝炎、B型肝炎、破傷風の予防接種を受けておくこと、乳幼児は日本での定期予防接種及び任意接種を済ませることをお勧めします。

(2)小児定期予防接種一覧(フランス人学校用フランス式スケジュール)

現地の小児定期予防接種一覧
ワクチン 初回 2回目 3回目 4回目 5回目
ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ 生後2ヶ月 生後4ヶ月 生後11ヶ月 6歳 11-13歳
B型肝炎 生後2ヶ月 生後4ヶ月 生後11ヶ月    
Hib 生後2ヶ月 生後4ヶ月 生後11ヶ月    
13価 肺炎球菌 生後2ヶ月 生後4ヶ月 生後11ヶ月    
麻疹・風疹・おたふく風邪 生後12ヶ月 生後16-18ヶ月      

注:当地域のDPT混合ワクチンはDiphtérie (ジフテリア)、Poliomyélite (不活化ポリオ)、Tétanos (破傷風)の3種混合ワクチンです。一般的には、この3種にCoqueluche (百日咳)を加えた4種混合、さらにHib (インフルエンザ菌b型)を加えた5種混合、さらにHépatite B (B型肝炎) を加えた6種混合ワクチンが用いられます。
ロタウイルス、ヒトパピローマウイルスも接種可能です。

(3)小児が現地校に入学・入園の際必要な予防接種・接種証明

 日本で定期接種に定められているワクチンを全て済ませているか確認し、母子手帳や予防接種記録・証明書及び罹患証明書(医師が作成した予防接種、罹患証明書)を必ず持参してください。

 欧米式では生後16-18ヵ月で麻しん・風しん・おたふく風邪の2回目、 6歳時に百日ぜき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオの4種混合ワクチンを接種します。邦人の子女はInternational Schoolまたはフランス人学校に入学することが多いと思われます。これらの幼稚園や小学校に入学する場合には、追加接種を要求される場合があります。学校に入学する際には、接種証明書(英文または仏文)が必要です。

8 病気になった場合(医療機関等)

○ モカ (Moka)

(1)Wellkin Hospital
所在地:Royal Road, Moka(ポートルイス郊外)
電話:605 1000、救急専用電話番号:132(24時間可能)
Web サイト:https://www.wellkinhospital.com/別ウィンドウで開く
概要:インド洋地域で最も設備が整っていると言われる私立総合病院で、邦人の利用があります。病床数は200床で、ICUが12床、新生児ICUもあります。医師150名、看護師480名が勤務し、歯科を含む全科の診療を行っています。モーリシャス人・ヨーロッパ人・インド人医師が勤務しています。診療は予約制ですが救急患者の受入れは24時間可能です。手術室4室、内視鏡検査室、血管造影室、人工透析室、CT、MRIを備え、外科系各科の手術が行われています。虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)に対する冠動脈インターベンション治療も行われています。マダガスカル、コモロ、ケニアなどからの医療搬送受入れ経験も豊富にあります。各種健康診断、ワクチン接種、イエローカードの発行も可能です。外国人対応の医療コーディネーターが在籍しており、ほとんどのスタッフはフランス語、英語を話します。下記Clinique Darnéと同系列経営です。

○ フロレアル (Floréal)

(1)Clinique DARNÉ
所在地:Georges Guibert Street, Floréal
電話:601 2300、救急専用電話番号:118(24時間可能)
Web サイト:https://c-care.com/mu/ 別ウィンドウで開く
概要:島中央部にある私立総合病院で邦人の利用があります。病床数114床、80名の医師と250名の看護師が勤務し、歯科を含む全科の診療を行っています。診療は予約制ですが救急患者の受入れは24時間可能です。手術室は4室あり、外科系各科の手術が行われています。CT、MRIなど最新の各種医療機器も配備され、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)に対する冠動脈インターベンション治療も行われています。近隣諸国からの医療搬送受入れ経験も豊富です。各種健康診断、ワクチン接種、イエローカードの発行も可能です。外国人対応の医療コーディネーターが在籍しており、ほとんどのスタッフはフランス語、英語を話せます。また、分院がGrand BayLa Croisette Mall内(電話 601 2500)と島の西部のTamarin(電話484 0600)にあり、こちらでも外来診療及び救急診療を行っています。

◎ ポートルイス (Port Louis)

(1)City Clinic
所在地:102-106 Sir Edgar Laurent St, Port Louis
電話:206 1600、救急専用電話番号:169(24時間可能)
Web サイト:https://cityclinic.mu/別ウィンドウで開く
概要:中国系オーナーの私立病院です。病床数60床、ICU 7床と規模は小さく、施設はやや老朽化していますが、首都での受診の際に便利です。ほぼ全科の診療が可能です。また日本人鍼灸師が勤務しています。診療は予約制ですが、救急患者の受入れは24時間可能でCT、MRIなど各種医療機器も配備され血液透析も可能です。City Clinic Groupはグランベおよびフリック・アン・フラックにも系列病院があります。

○ ローズヒル (Rose Hill)

(1)Nouvelle Clinique du Bon Pasteur
所在地:Mgr J. Mamet St, Rose Hill(ポートルイス郊外)
電話:401 9870
概要:総合診療医のDr. Pascale Dinanはパリで医学教育を受けた女性医師で、現地フランス大使館顧問医並びにフランス人学校の校医を勤めています。駐在員の子女等が学校に入学する際に必要な健康診断や診断書作成などでの受診に最適です。Dr. DinanはClinique Darnéでも診療を行っているため、診療日時に関し、事前にクリニックに確認ください。

○ グランベ (Grand Baie)

(1)Clinique de Grand Baie
所在地:Sottise Road, Grand Bay
電話:263 1212、救急専用電話番号:169(24時間可能)
概要:2005年に設立されたCity Clinic Groupの病院で観光客の利用が多いです。入院設備があり救患の受入れは24時間可能です。CT、MRI、消化器内視鏡など各種医療機器も配備されています。

9. その他の詳細情報入手先

(1)在モーリシャス日本国大使館  https://www.mu.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(2)モーリシャス政府による保健情報 https://govmu.org/EN/infoservices/healthandmedicalservices/Pages/default.aspx別ウィンドウで開く

(3)モーリシャス保健省 https://health.govmu.org/Pages/default.aspx別ウィンドウで開く

10.現地語一口メモ

日本語 フランス語
医師 Docteur
飲み薬 Un médicament à boire
注射 Une piqûre
頭痛がする。 J'ai mal à la tête.
胸痛がする。 J'ai mal à la poitrine.
腹痛がする。 J'ai mal au ventre.
下痢 La diarrhée
熱があります。 J'ai de la fièvre.
吐き気がする。 J'ai envie de vomir.
ケガ(傷)をしました。 Je suis blessé.
具合が悪い。 Je me sens malade.
病院へ連れて行ってください。 Pourriez-vous m'emmener à l'hôpital?

注:ほぼ全ての医療機関で英語は通じますが、一般のモーリシャス人に対しては英語よりもフランス語の方が通じることが多いです。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療英語、フランス語)も参照してください。

11. 新型コロナウイルス関連情報

 モーリシャスにおいては2020年3月18日に海外からの帰国者に初の感染例が発生し、国家外出禁止令が発出され、国境が封鎖されました。規制は段階的に解除され、現在は集会や行動の制限はなく、2022年7月1日以降はワクチン接種の有無に関わらず、入国時の抗原検査、入国後の自主隔離は不要となりました。また、病院や空港内、高齢者施設等を除きマスク着用の義務はありません。

 感染が疑われる際には、全日24時間対応の電話相談窓口(8924)に相談することができます。WELLKIN HospitalClinique DARNÉなど主要な私立病院では新型コロナ感染症の検査、治療が可能で、院内の感染対策も適切に行われています。検査・治療にかかる費用は、公立医療機関では無料です。薬局やスーパーマーケットでアルコール消毒薬やマスクの入手が可能です。

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