令和2年10月
1 国名・都市名(国際電話国番号)
マダガスカル共和国(国際電話国番号261)
2 公館の住所、電話番号
- ○ 在マダガスカル日本国大使館 (毎週土日休館)
- 住所:Villa chrysantheme III, Ambohijatovo-Analamahisty, 101 Antananarivo
- 電話:(020)-224-9357、FAX: (020)-224-9494
- ホームページ:https://www.mg.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
※土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。
3 医務官駐在公館
4 衛生・医療事情一般
マダガスカルは、国民の約76%が1日1.9ドル以下で生活する(2017年世界銀行統計)という極度の貧困状態にあります。首都アンタナナリボは人口約200万人の大都会ですが、ゴミの回収や下水道などのインフラ整備が進んでおらず、市内の至る所が非衛生的になっています。都市部では上水道は整備されており、水道水は塩素消毒されていますが、配管の老朽化などのため褐色に汚濁することがあり、飲用には適していません。
気候に関しては、乾季(4月~10月)と雨季(11月~3月)に分かれ、12月~2月は暴風雨(サイクロン)の来襲により水害が発生することがあります。マダガスカルの気候は、東海岸・中央高地・西海岸の3地帯で異なります。首都のある中央高地は涼しく、マラリアの発生は稀です。東海岸地域では通年高温多湿の熱帯性気候でマラリアの発生も高頻度です。西海岸地域は、乾季は温暖・乾燥ですが、雨季は高温多湿でマラリアも多く発生しています。
保健衛生に関わる統計では、平均寿命は男性63.9歳、女性67.0歳、乳幼児死亡率(出生1,000あたり乳幼児が5歳までに死亡する数)は日本の2.7に対し、49.6(2016年WHO統計)、妊産婦死亡率(出産10万あたりの妊産婦死亡率)は日本の3.4(2013年厚労省統計)に対して、353(2016年WHO統計)となっています。特に妊産婦死亡率は日本の1910~20年代の統計と一致します。人口10万人当の医師数は日本の245人に対して、16人(2015年WHO統計)です。マダガスカル国内の大学には複数の医学部がありますが、十分な医師養成ができていません。
公立病院は無料あるいは非常に低額な料金で受診可能です。しかし、薬の他、注射器などの道具まで患者側で用意する必要があります。食事は自分で賄わねばならず、院内では付添家族が煮焚き物する光景が見受けられます。公立病院は大学病院でさえも老朽化し、医療器具は古い上に十分ではなく、サービスも悪く、常に人であふれ、治安の問題さえもあり、邦人が利用できる環境ではありません。
アンタナナリボ市内には比較的設備の整った私立病院があり、X線撮影・内視鏡検査・エコー検査・血液検査が可能です。しかし、CTやMRIは限られた医療機関にしかない上に、常に検査可能とは限りません。日本のような行き届いた診療やこまやかな看護は期待できません。一般的に言葉はマダガスカル語とフランス語以外は通じません。
重症の場合は、国外への医療搬送を検討するしかありません。在留フランス人はしばしばレユニオン(フランス海外県)に移送されています。邦人は保険会社の判断により、レユニオンの他、南アフリカ、パリ等への緊急移送になる可能性があります。移送には大変高額な費用を要します。当地を旅行する方は、海外旅行傷害保険への加入が必須です。
私立病院では入院に先立って高額のデポジットを要求されることが普通です。緊急時の支払い方法を考慮しておく必要があります。また、海外旅行傷害保険に加入しても、日本の保険会社の支払い保証が通じないことがあります。保険加入時に保険会社指定の医療機関が当地にあるかの確認が必要です。
5 かかり易い病気・怪我
(1)食中毒・感染性胃腸炎
下痢・腹痛はマダガスカルで最も遭遇しやすい症状です。細菌、ウイルス、アメーバやジアルジア等の原虫に汚染された食べ物を摂食し感染します。当国の人々の間では、トイレの後に手洗いを行う習慣は一般的ではなく、特に現地調理人やウェイターの手洗いが不十分であった場合は感染源になることもあり得ます。予防策としては、十分に加熱調理された物を食べること、路上で売っている屋台の食物は避けること、皮を剥かない果実(イチゴ等)はよく洗う等の注意が必要です。また使用人を雇う場合は手洗いの習慣をつけさせることが重要です。
多くの場合、数日間症状が続きやがて軽快します。発熱などの症状を伴うこともあります。脱水症状がひどくなると、輸液などの治療が必要です。下痢止めの使用は病原体の排泄を遅らせ、症状がかえって長引くことがあります。症状が続く場合や発熱を伴うときは医師の診察が必要です。
(2)虫刺され(虫刺皮膚炎)
マダガスカルで生活しているほとんどの邦人が悩まされています。原因はツメダニ(0.3~0.5 mm)、イエダニ(0.7 mm)等のダニ類であることが多いです。小さな虫ですから、肉眼では見えません。上腕、下腿、お腹の周囲などが刺されやすい場所です。刺されると5 mm~1 cmくらい腫れ、刺された箇所が赤くなり、激しい痒みが1週間くらい続きます。治療はステロイド軟膏の塗布で、絶対に掻かないようにします。掻くと化膿することがあります。ダニは高温多湿(温度20~30℃、湿度60~80%)環境を好み、特に雨季に多くみられます。予防は清掃の徹底、寝具等の高温乾燥です。防虫剤や殺虫剤も効果があります。また、洗濯物の場合はアイロンをかけることで、熱でダニを退治することができます。これらのダニ類の他、ノミ、トコジラミ(南京虫)、ヒゼンダニ(疥癬症)による皮膚炎もあります。
(3)マラリア
肝臓や赤血球に寄生する原虫による感染症で、ハマダラカ(蚊)が媒介します。感染(蚊の刺咬)から発症までの潜伏期間は1週間~1か月以上です。首都アンタナナリボ等、中央高地でのマラリア罹患は極めて稀です。東海岸では通年、北・西海岸では雨季に流行します。マラリアには4つのタイプがありますが、重症化しやすい熱帯熱マラリアが当地マラリア症例の90%以上を占め、初期に適切な治療が行わなければ貧血、腎不全、脳症等によって死亡することがあります。治療薬として抗マラリア内服薬であるArtéméther / Luméfantrine合剤(欧州製の商品名はRiametまたはCoartem)が有効です。
発熱等のマラリア症状はある一定の潜伏期間後に出現しますので、流行地滞在中に発症するとは限りません。流行地から戻った後に発熱等がみられた場合はマラリアを疑い、マラリア検査を早急に受ける必要があります。また、沿岸部は医療事情が悪く、現地での発症は危険ですので、沿岸部に10日間以上滞在する場合は抗マラリア薬予防内服を勧めます。マラリア予防薬としては副作用の少ないAtovaquone / Proguanil(商品名は日本ではマラロン配合錠、欧州製はMalarone)が第一選択薬となります。Méfloquine(商品名は日本ではメファキン、欧州製はLariam)は副作用のために使われなくなっています。アフリカでは抗マラリア薬の粗悪品や偽薬が問題になっていますので、予防内服をされる方は、本邦や先進国のトラベル外来などで専門医から処方をしてもらってください。
防蚊対策は重要です。ハマダラカは夜間(日没後~明け方)に活動します。電気蚊取り器(特に地方では停電が多いため、電池式が望ましい)の持参をお勧めします。日本では、身につけるタイプの電池式蚊取り器も販売されています。防虫スプレーも効果があります。ただし、日本製品はDEET成分の濃度が低いため、2時間程度しか効きません。一方、現地で購入可能なフランス製防虫スプレーはDEET成分の濃度が高く、6~8時間有効です。また、最近では防虫効果のある特殊な繊維で作られた「防蚊服」もあり、本邦で入手できます。
(4)ウイルス性肝炎
A型肝炎とB型肝炎に感染するリスクがあります。A型肝炎は慢性化することはありませんが、時に劇症肝炎となり、現地病院での治療は難しいため、国外への緊急移送を要することがあります。生牡蠣などの貝類の生食で感染することが多いですが、それ以外の食物からも感染します。B型肝炎は輸血や手術などの医療行為、性行為等から感染します。2014年には当国でのB型肝炎ウイルスHBs抗原の陽性率は23%と非常に高く、当国にて感染する危険性は高いと言えます。感染予防には予防接種が重要です。
(5)ペスト
日本では過去80年以上患者は認めませんが、マダガスカルは世界有数のペスト汚染国です。細菌性の伝染病で、ネズミに寄生しているノミが媒介します。毎年、8月以降雨季の間に発生していますが、2017~18年には首都を含め感染力の高い肺ペストが大流行し600名以上の患者が発生しました。近年、麻疹やCOVID-19流行対策のため、ペスト対策がおろそかになっており、今後も各地でのペスト流行が危惧されています。不衛生な所へ近づかないことが重要です。
(6)狂犬病
マダガスカルでは今なお毎年数十名程度の狂犬病患者が発生しています。狂犬病に感染した動物の唾液内にウイルスが含まれており、そのウイルスが人に感染することで狂犬病が発症します。潜伏期を経ていったん発症すれば、治療法は無く、ほぼ確実に死亡する危険な病気です。
首都では多くの飼い犬は放し飼いであり、また地方では多くの野犬を認め、それらの犬が狂犬病ウイルスを保持している可能性もあり、犬に接触しないことが重要です。犬以外にもキツネザルを含む野生動物からも狂犬病ウイルスが検出されることもあり、野生動物にはむやみに近づかない方が賢明です。
狂犬病発症予防として、咬傷後24時間以内に予防接種を開始(曝露後接種)する必要があります。曝露後接種は最寄りの公立病院でも可能ですが、アンタナナリボのパスツール研究所での処置が最善です。同研究所では年間4,500人程度が曝露後接種を受けているとのことです。曝露後接種は通常、合計6回のワクチン接種が必要ですが、咬んだ動物が狂犬病を発症していないことが判明した場合(約1週間後に動物の状態に変化がない)は感染のリスクはなくなりますので、ワクチン接種を中断することも可能な場合もありますので、主治医にご相談ください。
あらかじめ予防接種を受けていると、曝露後接種の回数を減らすことができます。動物に接触する機会が多い方には旅行前に予防接種をお勧めします。
(7)ポリオ
ポリオは世界的にはほぼ根絶されている疾患ですが、2015年にはマダガスカル北部で大流行し、大きな問題になり、教育省は小学校でのワクチンキャンペーンを行いました。また、国際空港では幼児には強制的に生ワクチン接種を行う等の事例がありました。2018年6月マダガスカルはポリオ撲滅宣言を行っており、邦人が生活している環境での感染の可能性は低いですが、ポリオに対する免疫を十分持っておく必要があります。日本の予防接種スケジュールでは6歳時に不活化ポリオ、DPTの追加接種をしていないことがあります。2015年には、邦人の小学生について、この未接種が指摘されました。当地での就学を考えている6歳以上の学童は、渡航前に不活化ポリオ、DPTの追加接種を考慮してください。
(8)デング熱、チクングニヤ熱
ネッタイシマカ(ヤブ蚊類)が媒介するウイルス感染症で、高熱・関節・筋肉痛を主症状とする病気です。致死率は低いものの、症状が激烈で後遺症に苦しむ場合もあります。コモロやレユニオン島などインド洋諸島でしばしば流行しており、マダガスカル沿岸部でも時々発生しています。マラリアを媒介するハマダラカと異なり、ヤブカ類は日中の活動が主です。昼間も防蚊対策をとりましょう。
(9)住血吸虫症
湖、河川、衛生的に管理されていないプールでは、住血吸虫の幼虫が皮膚から感染することがあります。当地では、マンソン住血吸虫症とビルハルツ住血吸虫症の2種類が存在します。
マンソン住血吸虫症は消化管周囲に寄生します。ビルハルツ住血吸虫は膀胱周囲に寄生し、慢性期には膀胱癌を起こします。健診で血尿が指摘されると、ビルハルツ住血吸虫症を疑わなければなりませんが、日本の医療機関では検査や治療が困難な場合があります。地方での長期滞在者など感染リスクが高い方には帰国時に内服治療を勧めることもあります。
(10)HIV/AIDS・性感染症
当国のHIV感染率は1%未満、Commercial sex workerの感染率は5.5%(UNAIDS 2019年版国別資料)とアフリカ諸国では低い方です。しかし正確な疫学調査が行えていない可能性があります。性感染症(梅毒など)は港町を中心に蔓延しています。
(11)その他の疾患
破傷風、腸チフスも珍しくない疾患です。予防接種をお勧めします。近年、コレラの大流行は見られていませんが、隣国のコモロではしばしば流行しています。
マダガスカルは自然の豊かな国ですが、首都では大気汚染が深刻で、呼吸器疾患に悩む人が少なくありません。気管支喘息などの慢性疾患をお持ちの方は常用薬を持参してください。
(12)交通外傷
首都アンタナナリボの道路事情は非常に悪く、狭い道路に歩行者、荷車が行き交う中、車が溢れ、運転は乱暴、坂道が多く、正確な市街地図も存在しません。車の行き交う道路の真ん中で、物乞い、物売りが寄ってくる状況ですので、初めて当地を訪れる方が自分で車などを運転することは危険です。また、車道と歩道の区別は殆どないことに加え、当地は厳然たる「車優先社会」ですので、そのつもりで歩行してください。歩行中の転倒は致命傷になりかねないので、歩行する場合には道路事情、交通事情などに充分注意してください。さらに、市内に交通信号機はほとんどありませんので、道路の横断には十分注意が必要です。
6 健康上心がける事
(1)食事・飲料水
路上の屋台など衛生状態の悪い場所では食事は控えてください。食材は信頼のおける店かスーパーで購入してください。野菜や果物は良く洗い、肉類や魚類は必ず火を通してから食べてください。卵の生食はサルモネラ菌感染の可能性があるため避けましょう。首都の水道水は塩素殺菌されていますが、配管・受水槽の維持管理状態によっては細菌が混入している可能性があるので飲用には適しません。国産のミネラル・ウォーターは一般に良質で安価です。
(2)防蚊対策
マラリアを媒介するハマダラカ(蚊)に刺されないよう、日暮れ以降は長袖・長ズボンで行動し、虫除けスプレーやクリームを必要に応じて使用してください。就眠時に蚊取り線香や電気蚊取り器、地方のホテルでは蚊帳を用いてください。
(3)熱中症・日焼け
夏の日差しは強く、長時間屋外にいる時は日焼け止めを塗るなど日焼け対策と共に、水分、塩分を補給する熱中症対策が必要です。
(4)洗濯
洗濯物に蝿が卵を産み付けることがあります。また、ダニやノミなどによる虫刺されも多いので、洗濯物には下着や靴下でもアイロンをかける必要があります。
(5)メンタルヘルス
当地では日常生活全般で思うようにいかないことが多く、ストレスが溜まりやすくなります。治安等の問題でちょっとした外出でも注意が必要です。先進国並みの娯楽は無く、英語が通じないという言葉の問題もあります。また、在留日本人の数も限られており、人間関係が負担となる場合もあるかもしれません。ストレスを溜めないためには、家族や友人などと何でも話し合える良好な関係を築くことが大切です。また、定期的に休暇を取るなど、心のリフレッシュに心掛けてください。
7 予防接種
現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)
(1)赴任者に必要な予防接種
入国時に必須の予防接種はありません。イエローカード(黄熱予防接種証明書)は入国時には求められませんが、経由地で必要となることがあります。経由地の情報も確認してください。成人・学童児はA型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフスの予防接種を受けてくることを勧めます。乳幼児は日本での定期予防接種及び任意接種を済ませることを勧めます。
(2)小児定期予防接種一覧(フランス人学校用フランス式スケジュール)
ワクチン | 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
---|---|---|---|---|---|
ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ | 生後2ヶ月 | 生後4ヶ月 | 生後11ヶ月 | 6歳 | 11-13歳 |
B型肝炎 | 生後2ヶ月 | 生後4ヶ月 | 生後11ヶ月 | ||
Hib | 生後2ヶ月 | 生後4ヶ月 | 生後11ヶ月 | ||
肺炎球菌(13価) | 生後2ヶ月 | 生後4ヶ月 | 生後11ヶ月 | ||
麻疹・風疹・おたふく風邪 | 生後12ヶ月 | 生後16-18ヶ月 |
注:当地域のDPT混合ワクチンはDiphtérie(ジフテリア)、 Poliomyélite(不活化ポリオ)、Tétanos(破傷風)の3種混合ワクチンです。一般的には、この3種にCoqueluche(百日咳)を加えた4種混合、Hib(インフルエンザ菌b型)を加えた5種混合、さらにHépatite B (B型肝炎)を加えた6種混合ワクチンが用いられます。ポリオは、マダガスカルの乳幼児には現在のところ生ワクチンが使われていますが、不活化ワクチンに移行の予定です。不活化ポリオワクチンが入った混合ワクチンは当地のパスツール研究所で接種可能です。
なお、13価肺炎球菌(プレベナー)、ヒトパピローマウイルス、ロタウイルスワクチンの接種は当地ではできません。
(3)小児が現地校に入学・入園の際必要な予防接種・接種証明
日本で定期接種に定められているもの、ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオの4種混合ワクチン、Hib、B型肝炎、13価 肺炎球菌、MR(麻しん・風しん混合ワクチン)、水痘、BCGの他、任意接種となっているおたふく風邪、ロタウィルスは全て済ませているかを確認してください。欧米式では生後16-18ヵ月で麻しん・風しん・おたふく風邪の2回目、6歳時に百日ぜき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオの4種混合ワクチンを接種します。日本で接種された方は4回目(6歳)の不活化ポリオ、DPTを接種していない場合があります。2015年のポリオ流行の際には、6歳でのポリオ追加接種が指摘されました。邦人の子女はアメリカンスクールまたはフランス人学校に入学することが多いと思われます。これらの幼稚園や小学校に入学する場合には、これらの追加接種を要求される場合があります。学校に入学する際には、接種証明書(英文または仏文)が必要です。
8 病気になった場合(医療機関等)
◎アンタナナリボ市
- (1) Clinique des Soeurs Ankadifotsy
- 所在地:Rue Rajaonah Ankadifotsy
- 電話:020 22 235 54
- 概要:1913年創立、カトリック系修道院経営の私立病院。日本人シスターが看護師として勤務しているので、邦人がよく利用しています。内科・小児科・外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科などの診療を行う総合病院です。救急外来は毎日24時間オープンです。マダガスカル語・フランス語以外は通じませんが、日本人シスターの勤務時間内ならば通訳の労を執ってくれます。一般的な血液検査、マラリア検査、寄生虫の検査、X線撮影、CT、エコー検査が可能です。
- (2) Polyclinique D'Ilafy
- 所在地:headquarters: Andafiavaratra Ambohitrahaba
- 電話:020 22 425 66
- 概要:首都北部にある中規模の私立総合病院。富裕層・外国人を対象にした病院で、邦人も利用可能のレベルにあります。内科・小児科・外科・整形外科・循環器科・産婦人科・脳外科・眼科・耳鼻咽喉科・腎臓内科・精神科・歯科とほぼ全科を診療しており、専門医の診察には予約が必要です。緊急時は救急外来を受診することになります。全日24時間の受入れが可能です。検査については単純X線・エコー検査・内視鏡検査・CT・MRI・血管造影等が可能です。血液・生化学検査、寄生虫検査も院内で行えます。人工透析、冠動脈インターベンションなども行っていますが、実施実績が絶対的に少なく信頼できるかどうかは明らかではありません。入院には高額の保証金が必要です。
- (3) Espace Medical
- 所在地:Pres Tana Waterfront
- 電話:020 22 625 66
- 概要:Water frontに隣接する救急中心としたクリニックです。入院設備はありません。救急患者は全日24時間受入れています。検査については単純X線・エコー検査・内視鏡検査・CTなどが可能です。また眼科や皮膚科等の特殊専門の外来も行っています。いくつかの企業と提携しており、海外への救急搬送の経験も豊富です。
- (4) Centre Hospitalier de Soavinandriana
- 所在地:Rue du Dr Moss, Soavinandriana
- 電話:020 23 397 51
- 概要:以前は軍直轄の病院でしたが、現在は私立総合病院(病床数500床)です。建物・設備共に古く、病院は患者であふれ、受診の際はかなりの待ち時間を強いられます。邦人の非緊急性疾患での受診には不適切と思われますが、救急外来は全日24時間オープン、CT検査が可能であり、また海外への救急搬送の経験も豊富であるため、交通事故や救急疾患のなどでは利用することがあり得ます。
- (5) Clinique MM 24/24
- 所在地:Rue de l'Universite
- 電話:020 22 235 55
- 概要:ベッド数30床の病院。院長のDr. Lala ARISON は欧州で研修した外傷治療の専門医。標記の病院名のとおり、24時間365日診察しています。電話で依頼すれば救急車の迎えも可能(有料)。病室や設備も古く、CTもありませんが、交通事故などの突発的なケガの際には利用し得ます。
- (6) Clinique NOA
- 所在地:VILLA G 15, Explorer Business Park, Ankorondrano
- 電話:020 22 608 80
- 概要:診療科は産婦人科。Dr. Hary RANDRIANASOLOはフランスで資格を取った専門医で、超音波検査等での診断技術は優れています。邦人の産科検診や婦人科疾患はここを利用することが多いです。しかし、病室などの設備は邦人が安心して出産ができるレベルではありません。
- (7) Cabinet Dentaire
- 所在地:TRADE TOWER Ivandry
- 電話:032-07-154-19
- 概要:歯科医院。受診の際は予約が必要です。フランス人歯科医Dr.Jean Marc CHAPUISが診療をしています。マダガスカルでは最も衛生的で、邦人がよく利用しています。一般的な歯科診療は可能で、インレー、コア、歯冠、義歯の制作も可能です。
- (8) Institut Pasteur de Madagascar (IPM)
- 所在地:Ambatofotsikely, Antananarivo
- 電話:020 22 412 72 / 032 02 426 65 (別館ワクチンセンター)
- ホームページ:http://www.pasteur.mg/
- 概要:パスツール研究所。臨床検査施設とワクチンセンターがあります。血液・尿検査や寄生虫検査などの臨床検査および肝炎・破傷風・黄熱などの予防接種が可能。イエローカードも即日で発行してくれます(受付:月~金曜日8:00~11:30,14:00~16:00)。狂犬病センターでは、狂犬病曝露後ワクチン接種も行っています(平日7:00~12:00,13:30~17:00、土・日曜日・祝祭日9:00~11:00)。Zoom Shopping Centerにもワクチンセンター別館があり、各種ワクチンはフランス製を使用しています。
- (9) Centre de Radio Diagnostic et de Thérapie
- 所在地:Anosivavaka – Ambohimanarina
- 電話:020-23-307-60 / 033-11-307-60 / 034-11-307-60
- 概要:放射線診断センターであり、レントゲン検査が可能。放射線科専門医が読影し、レポートを書いてくれます。使用している機材は比較的新しく、CT、エコー検査、マンモグラフィー、歯科パノラマ写真等も可能です。
9 現地語一口メモ
日本語 | フランス語 | マダガスカル語 |
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医師 | Docteur | Dokotera(ドゥクテラー) |
飲み薬 | Un médicament à boire | Fanafody fisotro(ファナフディ フィストロ) |
注射 | Une piqûre | Tsidrona(チドゥナ) |
頭痛がする。 | J'ai mal à la tête. | Marary ny lohako.(マラリ ニ ルハク) |
胸痛がする。 | J'ai mal à la poitrine. | Marary ny tratrako.(マラリ ニ チャチャク) |
腹痛がする。 | J'ai mal au ventre. | Marary ny Vavoniko.(マラリ ニ バフニク) |
下痢 | La diarrhée | Fivalanana(フィバラナナ) |
熱があります。 | J'ai de la fièvre. | Misy fanaviana aho.(ミシ ファナビアナ アフ) |
吐き気がする。 | J'ai envie de vomir. | Te hadoa aho.(テ ハドゥ アフ) |
ケガ(傷)をしました。 | Je suis blessé. | Naratra aho.(ナラチャ アフ) |
具合が悪い。 | Je me sens malade. | Marary aho.(マラリ アフ) |
病院へ連れて行ってください。 | Pourriez-vous m'emmener à l'hôpital? | Eto any amin'ny hopitaly aho.(エトゥ アニ アミニ ホピタリ アフ) |
10 新型コロナウイルス関連情報
マダガスカルにおいては2020/3/20に海外からの帰国者に初の感染例が発生して以来、2020/8/31現在総感染者数14863名、死亡者192名(死亡率1.3%)に拡大しました。日本は感染症危険情報レベルをレベル3(渡航は止めてください。(渡航中止勧告))に指定しました。マダガスカルでは感染対策のため、外出・活動制限が行われ、公共の場所でのマスクの着用やソーシャルディスタンスの維持が指示されています。マスクやアルコール消毒液は薬局等で購入可能ですが、在庫は安定していません。感染が疑われる際には、マダガスカル政府COVID-19対策センター910に電話で相談し、検査等の指示を受けます。指定された医療機関でPCR検査を受け、感染が確定した場合は指定された国立病院にて入院治療、軽症の場合は自宅や軽症者収容施設にて隔離されるか判断されます。検査・治療にかかる費用は、国立病院では外国人も無料です。