世界の医療事情

マダガスカル

2022年10月

1. 国名・都市名(国際電話国番号)

 マダガスカル共和国(国際電話国番号261)

2. 公館の住所、電話番号

○ 在マダガスカル日本国大使館 (毎週土日休館)
住所:Villa chrysantheme III, Ambohijatovo-Analamahisty, 101 Antananarivo
電話:020-22-493-57 FAX: 020-22-494-94
ホームページ:https://www.mg.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

※土日以外の休館日は暦年ごとにホームページにて案内していますので、ご覧ください。

4. 衛生・医療事情一般

 マダガスカルは、国民の約79%が1日1.9ドル以下で生活する(2021年世界銀行データ)という極度の貧困状態にあります。慢性栄養失調率が世界で4番目に高く、5歳未満の子供の40%が発育障害に苦しんでいます。首都アンタナナリボは人口約370万人の大都会ですが、ゴミの回収や下水道などのインフラ整備が進んでおらず、市内の至る所が非衛生な状態です。都市部では上水道は整備されており、水道水は塩素消毒されていますが、配管の老朽化などのため褐色に汚濁することがあり、細菌の混入も危惧されるため飲用には適していません。

 気候に関しては、乾季(4月~10月)と雨季(11月~3月)に分かれ、12月~2月は暴風雨(サイクロン)の来襲により大規模な水害が発生することがあります。マダガスカルの気候は、東海岸・中央高地・西海岸の3地帯で異なります。首都を含む中央高地は温暖な気候ですが、乾季には最低気温が10度以下となる日もあり、夜間は防寒具が必要です。首都でのマラリア発生は稀ですが、東海岸地域は通年高温多湿の熱帯性気候でマラリアの発生も高頻度です。西海岸地域は、乾季は温暖で乾燥しますが、雨季は高温多湿でマラリアも多く発生しています。

 保健衛生に関わる統計では、平均寿命は男性64.1歳、女性66.6歳、乳幼児死亡率(出生1,000あたり5歳までに死亡する数)は日本の2に対し、50(2020年WHO統計)、妊産婦死亡率(出産10万あたりの妊産婦死亡率)は日本の5に対して、335(2017年WHO統計)となっています。人口10万人当の医師数は日本の257人に対して、19.9人(2018年WHO統計)です。マダガスカル国内の大学には複数の医学部がありますが、十分な医師養成ができていません。

 公的な救急搬送システムは機能しておらず、緊急時は各病院の有料の救急車を利用することになりますが、台数は少なく交通渋滞のため移動には長時間を要します。外出先での交通事故を含む怪我には十分な注意が必要です。

 公立病院は無料あるいは非常に低額な料金で受診可能です。しかし、医薬品の他、注射器などの器具まで患者側で用意する必要があり、食事は自分で賄わねばなりません。大学病院でさえも老朽化し病室は非衛生的で、医療機器は故障により使用できないことがしばしばあります。サービスも悪く、常に人であふれ、治安の問題さえもあり、邦人が利用できる環境ではありません。

 アンタナナリボ市内には比較的設備の整った私立病院があり、血液検査、X線・CT・MRI撮影、内視鏡検査、エコー検査が可能ですが、日本のような質の高い検査はできません。また、故障や担当者不在のため検査が出来ないことがよくあります。日本のような行き届いた診療やこまやかな看護は期待できず、一般的にマダガスカル語とフランス語以外は通じません。私立病院では入院に先立って高額の保証金を要求され、クレジットカードが利用できるとは限らないため、緊急時の支払い方法を考慮しておく必要があります。また、海外旅行傷害保険に加入しても、日本の保険会社の支払い保証が通じないことがあります。

 当地の医療事情を考慮すると、輸血や全身麻酔の必要な複雑な外科手術や、心筋梗塞に対するカテーテル治療などの侵襲的な治療を受けることは危険を伴います。このため重症の場合、富裕層や在留フランス人はしばしばレユニオン(フランス海外県)、モーリシャスで治療を受けています。邦人は保険会社の判断により、南アフリカ、パリ等へ緊急移送となることが多いです。当地を旅行する方は、高額な緊急移送費をカバーできる海外旅行傷害保険への加入が必須です。

 医薬品は街中の薬局で購入できます。特殊な薬を除いて鎮痛薬や抗生物質、抗マラリア薬などは処方箋なしでも買うことができます。インド、中国の製品が多いですが、フランスを中心としたヨーロッパからの輸入品の購入も可能です。常に在庫があるとは限りませんので確認が必要です。

5. かかり易い病気・怪我

(1)食中毒・感染性胃腸炎:

 マダガスカルで最も遭遇しやすい疾病です。細菌、ウイルス、赤痢アメーバやランブル鞭毛虫等に汚染された食べ物を十分加熱せず摂取した場合に感染します。トイレの後に手洗いを行う習慣は一般的ではなく、特に現地調理人やウェイターの手洗いが不十分であった場合は感染源になることもあり得ます。使用人を雇う場合は手洗いの習慣をつけさせることが重要です。予防策としては、肉や魚介類は十分加熱して食べること、生野菜や皮を剥かない果実(イチゴ等)は避け、どうしても食べる場合はよく洗う等の注意が必要です。外食する際は信頼できる飲食店で加熱調理されたものを選び、路上で売っている屋台の食物は避けてください。

 感染した場合、多くは数日間症状が続きやがて軽快しますが、嘔吐や下痢、発熱等により脱水症状がひどくなった場合は、点滴治療が必要となります。強い下痢止めの使用は病原体の排泄を遅らせ、症状がかえって長引くことがあります。また、当国では腸チフスも珍しくない疾患です。症状が続く場合や高熱、強い腹痛を伴うときは医師の診察を受けて下さい。

(2)虫刺され(虫刺皮膚炎):

 マダガスカルで生活しているほとんどの邦人が経験しています。原因はツメダニ(0.3~0.5 mm)、イエダニ(0.7 mm)等のダニ類であることが多いです。上腕、下腿、お腹の周囲などが刺されやすい場所です。刺されると5 mm~1 cmくらい腫れ、刺された箇所が赤くなり、激しい痒みが週単位で続きます。掻くと化膿することがありますので、なるべく掻かないようにして、ステロイド軟膏の塗布や抗ヒスタミン剤の内服を行います。ダニは高温多湿(温度20~30℃、湿度60~80%)環境を好み、特に雨季に多くみられます。予防は清掃の徹底、寝具等の高温乾燥です。防虫剤や殺虫剤も効果があります。また、洗濯物の場合はアイロンをかけることで、ダニを退治することができます。これらのダニ類の他、ノミ、トコジラミ(南京虫)、ヒゼンダニ(疥癬症)による皮膚炎もめずらしくありません。

(3)マラリア:

 マラリア原虫による感染症でハマダラカ(蚊)が媒介します。感染(蚊の刺咬)から発症までの潜伏期間は1週間~1か月以上です。首都アンタナナリボは高地にあるためマラリアの発生は稀ですが、他の地域ではマラリアが蔓延しています。東海岸では通年、北・西海岸では主に雨季に流行します。マラリアには4つのタイプがありますが、当地では重症化しやすい熱帯熱マラリアが90%以上を占め、初期に適切な治療が行わなければ貧血、腎不全、脳症等によって死亡することがあります。治療薬として、抗マラリア内服薬であるArtéméther / Luméfantrine合剤(欧州製の商品名はRiametまたはCoartem)が有効で、当地の薬局で入手が可能です。

 マラリアの症状は一定の潜伏期間後に出現しますので、流行地滞在中に発症するとは限りません。流行地から戻った後に発熱等がみられた場合はマラリアを疑い、早急に検査を受ける必要があります。また、田舎は医療事情が悪く、現地で発症した場合は適切な検査、治療が受けられませんので、流行地に8日間以上滞在する場合は抗マラリア薬予防内服を検討してください。マラリア予防薬としては副作用の少ないAtovaquone / Proguanil(商品名は日本ではマラロン配合錠、欧州製はMalaroneⓇ)が第一選択薬となります。抗マラリア薬は当地の薬局でも入手可能ですが、アフリカでは抗マラリア薬の粗悪品や偽薬が問題になっていますので、予防内服をされる方は、本邦や先進国のトラベルクリニックなどで事前に購入されることをお勧めします。

 マラリアを予防するうえで防蚊対策は重要です。ハマダラカは主に夜間(日没後~明け方)に活動します。電気蚊取り器(特に地方では停電が多いため、電池式が望ましい)の持参をお勧めします。防虫スプレーは、有効成分(ディート、イカリジン)の濃度が高い方が効果持続時間が長くお勧めです。現地でもディートの濃度が高く、6~8時間有効なフランス製の製品が購入可能です。

(4)ウイルス性肝炎:

 A型肝炎とB型肝炎に感染するリスクがあります。共にワクチンの接種が有効です。A型肝炎は当地では一般的な病気で、慢性化することはありませんが、稀に劇症肝炎となる場合があります。劇症化すると現地病院での治療は難しいため、国外への緊急移送が必要となります。魚介類の生食や感染した人の便によって汚染された食べ物や飲み水を摂取することで感染しますので、飲食物に注意が必要です。
B型肝炎は輸血や手術などの医療行為、性行為等から感染します。成人では多くの場合、急性肝炎を引き起こし治癒しますが、劇症化すると致死的となる可能性があります。一部では慢性肝炎となり、肝硬変や肝がんの発症につながります。当国の5歳以下のHBs抗原の陽性率が2.13% (2020年WHO統計)、成人におけるHBs抗原陽性率は5%前後であり、感染のリスクがあります。

(5)ペスト:

 当地における風土病の一つで、ノミやネズミがペスト菌を媒介することでヒトに感染します。毎年雨期を中心に7月末から4月にかけて流行し、沿岸地域を除いた中央部が流行地域です。マダガスカルは世界有数のペスト流行国であり、通常はヒトからヒトへの感染がほとんど見られない「腺ペスト」が流行の主体です。2017-2018年シーズンは大流行し、首都など都市部でも致死率の高くヒトからヒトへ感染する「肺ペスト」が流行した結果、3000名近くの感染者、200名以上の死亡者を出しました。2020年シーズンは、疑い例100人(うち確定例47人)と減少しましたが、2021年度は225人(うち確定例113名)と増加し、67例の肺ペストがみられました。むやみに動物に近づかないこと、ペストシーズンには流行状況に注意することが重要です。

(6)狂犬病:

 マダガスカルでは今なお毎年数十名の狂犬病患者が発生しています。潜伏期を経ていったん発症すれば治療法は無く、ほぼ確実に死亡する危険な病気です。多くの飼い犬は放し飼いであり、首都でも野犬が多くみられます。それらの犬が狂犬病ウイルスを保持している可能性があるため、犬に接触しないことが重要です。犬以外のほ乳類もウイルスを保持している可能性があり、家畜や野生動物にはむやみに近づかない方が賢明です。

 狂犬病発症の予防として、咬傷後すぐに傷を洗浄し、できるだけ早く予防接種を開始(曝露後接種)することが重要です。曝露後接種は最寄りの公立病院でも可能ですが、アンタナナリボのパスツール研究所での処置が最善です。パスツール研究所の狂犬病ワクチンセンターによると、首都アンタナナリボ市だけで年間6000人が曝露後ワクチン接種を受けており、そのうち2000人に馬由来の狂犬病免疫グロブリン製剤が使用されています。当地における犬の狂犬病ワクチン接種率は2%程度で、2021年においては人を噛んだ後に死亡した犬100頭を解剖し診断した結果、80頭が狂犬病に罹患していたと報告されており、噛まれた場合の狂犬病罹患リスクは高いと思われます。

 なお、当地において狂犬病ワクチンは暴露後接種に限定されているため暴露前接種は受けられません。当地での曝露後接種は、WHOによるスケジュール(0.1mlを2カ所皮内接種:0 日、3 日、7 日の 3 回)に基づき行われています。あらかじめ予防接種を受けていると、曝露後接種の回数を減らすことができます。動物に接触する機会が多い方は渡航前の予防接種をお勧めします。

(7)ポリオ:

 ポリオは世界的にはほぼ根絶されている疾患ですが、2015年にはマダガスカル北部で大流行し、大きな問題になりました。2018年6月マダガスカルはポリオ撲滅宣言を行ったものの、2021年に12例、2022年9月現在11例のワクチン由来1型ポリオ(cVDPV1)が報告されています。マダガスカルはWHOにより「ポリオウイルス(野生型(WPV1)、ワクチン1型(cVDPV1)又は3型由来(cVDPV3))の感染があり、国際的に感染を拡大させるリスクがある国」に指定されており、首都アンタナナリボを含むアナラマンガ地域圏の環境中の検体からもcVDPV1が検出されているため注意が必要です。

邦人が生活している環境での感染の可能性は低いですが、ポリオに対する免疫を十分持っておく必要があります。WHOは、マダガスカル渡航前にポリオワクチンの追加接種を受けることを推奨しています。昭和50年~52年生まれの方はポリオに対する免疫(抗体)を持つ割合が、ほかの年齢層に比べて低いため、渡航前に追加接種を検討してください。ポリオのワクチン接種履歴が無いか不完全な方、接種の既往がわからない方は不活化ワクチンを接種してからの渡航をお勧めします。日本の予防接種スケジュールでは6歳時に不活化ポリオ、DPTの追加接種をしていないことがあります。当地での就学を考えている6歳以上の学童は、渡航前に不活化ポリオ、DPTの追加接種を考慮してください。

(8)デング熱、チクングニヤ熱:

 ネッタイシマカ(ヤブ蚊類)が媒介するウイルス感染症で、高熱・関節・筋肉痛を主症状とする病気です。致死率は低いものの、症状が激烈で後遺症に苦しむ場合もあります。コモロやレユニオン島などインド洋諸島でしばしば流行しており、マダガスカル沿岸部でも時々発生しています。マラリアを媒介するハマダラカと異なり、ヤブカ類は日中の活動が主です。沿岸部では昼間も防蚊対策をとりましょう。

(9)住血吸虫症:

 湖、河川、衛生的に管理されていないプールでは、皮膚から感染することがあります。一見きれいに見えても、湖や河川には入らないようにしてください。当地では、マンソン住血吸虫とビルハルツ住血吸虫の2種類が存在します。

 マンソン住血吸虫はマダガスカル南部に多く、腸管や肝臓周囲の血管に寄生し、慢性期には肝脾腫、門脈圧亢進、腹水を来たします。ビルハルツ住血吸虫は北部に多く、膀胱周囲の血管に寄生し血尿、頻尿を引き起こし、慢性期には膀胱癌を発症するリスクが高くなります。当地で血尿がみられた場合、ビルハルツ住血吸虫症を疑わなければなりませんが、日本の医療機関では検査や治療が困難な場合があります。地方での長期滞在者など感染リスクが高い方には帰国前の検査、治療が勧められます。

(10)HIV/AIDS・性感染症:

当国は他のアフリカ諸国と比較すると、HIVの15-49歳における有病率は0.3%と低いですが(2020 USAID)、年々上昇傾向にあります。近年は性感染症全般が増加傾向にあり、活動性梅毒の罹患率は一般人口で6.3%、セックスワーカーでは28%(保健省データ)と高いため注意が必要です。特にノシベ、マジュンガ、フォール・ドーファンなど観光地や港町では性感染症が蔓延しており問題となっています。

(11)その他の疾患:

 破傷風、腸チフスも珍しくない疾患です。予防接種をお勧めします。近年、コレラの大流行は見られていませんが、隣国のコモロでは過去に流行がみられました。

 マダガスカルは自然の豊かな国ですが、首都では大気汚染が深刻で、呼吸器疾患に悩む人が少なくありません。気管支喘息などの慢性疾患をお持ちの方は常用薬を持参してください。

(12)交通外傷:

 首都アンタナナリボの道路事情は非常に悪く、道路は狭いうえに坂道が多く、信号はなく正確な市街地図も存在しません。歩行者、荷車が行き交う中、車が溢れ、運転は乱暴で、車の行き交う道路の真ん中で、物乞いや物売りが寄ってくる状況ですので、慣れない方が運転することは危険です。また、車道と歩道の区別は殆どないことに加え、当地は厳然たる「車優先社会」ですので、そのつもりで歩行してください。交通事故による10万人あたりの死亡数は日本の3.6と比較しマダガスカルでは 29.2と高いです。(2019年WHO統計) 歩行や自転車運転中の転倒は致命傷になりかねないので、充分注意してください。

6. 健康上心がける事

(1)食事・飲料水:

 路上の屋台など衛生状態の悪い場所での食事は控えてください。食材は信頼のおける店かスーパーで購入してください。食中毒や寄生虫感染のリスクが高いため、生野菜や皮をむかない果物は避け、どうしても生で食べる場合はよく洗ってください。肉類や魚介類は必ず十分加熱し、卵の生食はサルモネラ菌感染の可能性があるため避けてください。首都の水道水は塩素殺菌されていますが、配管・受水槽の維持管理状態によっては混濁がみられ、細菌が混入している可能性があるので飲用には適しません。国産のミネラル・ウォーターは一般に良質で安価です。

(2)防蚊対策:

 マラリアを媒介するハマダラカ(蚊)に刺されないよう、日暮れ以降は長袖・長ズボンで行動し、虫除けスプレーやクリームを必要に応じて使用してください。就眠時に蚊取り線香や電気蚊取り器、地方に滞在する方は蚊帳を用いてください。

(3)熱中症・日焼け:

 夏の日差しは強く、長時間屋外にいる時は日焼け止めを塗る、帽子や日傘を使用するなどの日焼け対策と共に、水分、塩分を適切に補給する等の熱中症対策が必要です。強い日差しと乾燥により肌のトラブルを起こしやすいので、使い慣れた保湿剤や日焼け止めを持参することをお勧めします。

(4)洗濯・掃除:

 ダニやノミなどによる虫刺されの可能性があるため、洗濯物はアイロンをかけることをお勧めします。掃除機をこまめにかけ、寝具には布団乾燥機を使用することもダニ対策に有用です。

(5)メンタルヘルス:

 当地では日常生活全般で思うようにいかないことが多く、ストレスが溜まりやすくなります。治安の問題があり、ちょっとした外出でも注意が必要です。先進国並みの娯楽は無く、英語が通じないという言葉の問題もあります。また、在留日本人の数も限られており、人間関係が負担となる場合もあるかもしれません。ストレスを溜めないためには、家族や友人などと何でも話し合える良好な関係を築くことが大切です。また、定期的に休暇を取るなど、心のリフレッシュに心掛けてください。

7. 予防接種

 現地のワクチン接種医療機関等についてはこちら(PDF)別ウィンドウで開く

(1)赴任者に必要な予防接種:

 入国時に必須の予防接種はありません。イエローカード(黄熱予防接種証明書)は入国時には求められませんが、経由地で必要となることがあります。経由地の情報も確認してください。当地へ渡航される方はA型肝炎、B型肝炎、腸チフスワクチンの接種、および破傷風、ポリオワクチンの追加接種を検討してください。動物に接する機会の多い方は狂犬病ワクチンの接種も検討してください。麻疹は、2017年-2018年に大流行し多くの死者がみられました。2020年度のWHO報告によると、当国の麻疹の予防接種を2回完了した割合は24%であり今後も大流行が危惧されています。自然感染によって免疫を十分に持っている人以外は、合計2回のワクチン接種が必要ですので、ご自身の接種歴を確認してください。当地の医療状況を考えると、小児は日本で定期予防接種及び任意接種を済ませてから渡航されることをお勧めします。渡航前に、日本で定められた定期接種を完了しているか確認してください。

(2)小児定期予防接種一覧(マダガスカル保健省による)

現地の小児定期予防接種一覧
ワクチン 初回 2回目 3回目 4回目 5回目
ジフテリア、百日咳、破傷風 6週 10週 14週 16ヶ月(任意) 5歳(任意)
ポリオ 新生児期 6週 10週 14週  
B型肝炎 6週 10週 14週 12-16ヶ月(任意)  
BCG 新生児期        
麻疹 9ヶ月 15ヶ月(任意)      
ロタウイルス 6週 10週      
肺炎球菌(10価) 6週 10週 14週    
インフルエンザ菌b型 6週 10週 14週    

注:当地の3種混合ワクチンはDiphtérie(ジフテリア), Polio(不活化ポリオ), Tétanos(破傷風)となります。政府による定期予防接種は、生後10ヶ月以降は任意で有料となります。パスツール研究所では、ジフテリア、百日咳、破傷風にポリオ、Hib (インフルエンザ菌b型)を加えた5種混合、さらにHépatite B(B型肝炎) を加えた6種混合ワクチンが接種可能です。ポリオは、マダガスカルでは経口ワクチンを使用することが多いですが、パスツール研究所で不活化ポリオワクチンを含む混合ワクチンの接種が可能です。

(3)小児が現地校に入学・入園の際必要な予防接種・接種証明

 現地校においては、特にありません。邦人の子女はアメリカンスクールまたはフレンチスクールに入学することが多いと思われます。これらの幼稚園や小学校に入学する際には、接種証明書(英文または仏文)が必要です。アメリカンスクールに入学する際は、米国疾病予防管理センター(CDC)が、その年齢において求めている定期接種を終了していることが必要で、事前にオンラインでApplicatinon Formの提出を求められます。
 (https://www.cdc.gov/vaccines/schedules/downloads/child/0-18yrs-child-combined-schedule.pdf別ウィンドウで開く) 米国の小児予防接種には、日本の小児予防接種には含まれていないものや、接種回数が異なっている項目もあります。定められた予防接種が終了していると証明できない場合は当地での接種を要求されます。入学に必要なワクチンについて確認し、母子手帳や予防接種記録・証明書及び罹患証明書(医師が作成した予防接種、罹患証明書)を必ず持参してください。日本で接種された方は4-6歳に接種が求められる不活化ポリオと5回目のDPTを接種していない場合があります。

8. 病気になった場合(医療機関等)

 当地の医療機関で通用する言語は、一般的にマダガスカル語とフランス語のみで、英語は通じません。

◎アンタナナリボ市

(1) Clinique des Soeurs Ankadifotsy(Clinique St François d'Assise)
所在地:Rue Rajaonah Ankadifotsy
電話:020 22 235 54 / 020 22 695 20
概要:通常診療 月~金 8時~17時。全日24時間救急対応可能。1913年創立、115床のカトリック系修道院経営の私立総合病院で、内科・小児科・外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・神経科などの診療が可能です。救急車を保有しており、緊急受診の際に有料で利用することができます。日本人シスターが在籍しており、JICAの顧問医(Dr.Fidy 日本に留学経験があり、挨拶程度の日本語が可能)が勤務しているため邦人が利用しています。施設は老朽化していますが、マダガスカルの一般的な病院と比較すると清潔で、対応も親切です。一般的な血液検査、マラリア検査、寄生虫の検査、X線撮影、CT、エコー検査が可能です。入院には保証金が必要で、支払いは現金のみです。英語での診療はありません。
(2) Polyclinique D'Ilafy
所在地:ILAFY Andafiavaratra Ambohitrarahaba
電話:020 22 425 66 / 215(救急受診)
Webサイト:http://polycliniqueilafy.com/別ウィンドウで開く
概要:通常診療 月~金 8時~17時。全日24時間救急対応可能。首都北部にある中規模の私立総合病院。外国人や富裕層を対象にしており、医療費は高額です。病室は比較的きれいで設備は新しく、内科・小児科・外科・整形外科・循環器科・産婦人科・脳外科・眼科・耳鼻咽喉科・腎臓内科・精神科・歯科とほぼ全科を標榜していますが、専門医は病院に常駐しておらず、自分の診療枠・手術枠がある日に病院に来て診療を行います。救急外来は一般医による診療となります。救急車を保有しており、緊急時は有料で利用できます。検査については一般的な血液検査、単純X線・エコー・CT・MRI・血管造影等が可能です。血液透析、各種外科手術、モーリシャスからの専門医による冠動脈インターベンションを行っていますが、実施実績が絶対的に少なく信頼できるかどうかは明らかではありません。入院には多額の保証金が必要で、手術が必要な場合は、手術費用の前払いが求められます。クレジットカード(VISA)が使用可能です。院長のDr.Georgesは英語を話します。首都中心部のBehoririkaと首都南部Alhambra Tanjombatoにも分院があります。
(3) Espace Medical
所在地:Pres Tana Waterfront
電話:020 22 625 66 / 034 02 009 11(救急受診)
Webサイト:https://www.espacemedical.mg/別ウィンドウで開く
概要:診療時間は月~金 8時~16時。土 9時半~15時半。全日24時間救急対応可能。Tana Water frontに隣接する救急を中心としたクリニックで、入院設備はありません。救急車のみの利用も可能です。検査については単純X線・エコー検査・内視鏡検査・CTなどが可能です。また眼科や皮膚科、耳鼻科等の予約制専門外来も行っています。クレジットカード(VISA)の使用が可能です。ノシベ、マジュンガ、トアマシナ、アンチラナナにも拠点があり、国内の移送に対応しています。いくつかの企業と提携しており、海外への救急搬送の経験も豊富です。英語での診療はありません。
(4) Centre Hospitalier de Soavinandriana
所在地:Rue du Dr Moss, Soavinandriana
電話: 020 23 397 51 / 020 23 397 52
概要:約500床の歴史の古い病院で、以前は軍直轄の病院でしたが、現在は私立の総合病院です。建物・設備共に大変古く、医療機器は故障していることも多いです。病院は常時患者であふれ、受診の際はかなりの待ち時間を強いられます。邦人の非緊急性疾患での受診には不適切ですが、各科の専門医が常勤しており、救急外来は全日24時間対応可能です。緊急時の対応が早いと言われており、海外への救急搬送の経験も豊富なので、交通事故や救急疾患で邦人が利用することがあり得ます。英語での診療はありません。支払いは現金のみです。
(5) Clinique MM 24/24
所在地:Rue de l'Universite
電話:020 22 235 55
概要:診療時間は月~金 8時~17時 土 8時~13時。全日24時間救急対応可能。ベッド数30床の病院で院長のDr.Lala ARISONはドイツで研修した外傷治療の専門医です。電話で依頼すれば救急車の迎えも可能(有料)。血液透析設備、2個の手術室があります。病室やレントゲン等の設備は古く、CTはありませんが、交通事故などの突発的な外傷の際には利用し得ます。英語での診療はありません。支払いは現金のみです。
(6) Clinique NOA
所在地:VILLA G 15, Explorer Business Park, Ankorondrano
電話:020 22 608 80
概要:産婦人科、小児科クリニック。診療時間は月~金 7時半~18時、土 8時~13時半。院長のDr.Hary RANDRIANASOLOはフランスで資格を取った専門医で、超音波検査の診断技術は優れています。複数の産婦人科医、小児科医が在籍しており、分娩、婦人科手術が可能です。外来は常時非常に混み合っており、病室や手術室などの設備は邦人が安心して入院できるレベルではありません。支払いは現金のみで、英語での診療はありません。2023年に移転の予定があるため、受診の際はご確認ください。
(7) Cabinet Dentaire
所在地:TRADE TOWER Ivandry
電話:032 07 154 19 
概要:TRADE TOWERの1F(日本の2階にあたる)にある歯科医院。診療時間は月~金 9時~13時、14時~17時 土 9時~13時。受診の際は予約が必要です。フランス人歯科医のCHAPUIS父娘とマダガスカル人医師が診療を行っています。マダガスカルでは最も衛生的で、使用している機材、薬品は欧州製が多く、邦人がよく利用しています。一般的な歯科診療は可能で、インレー、コア、歯冠、義歯の制作も可能です。支払いは現金のみで、英語での診療はありません。
(8) Institut Pasteur de Madagascar (IPM)
所在地:Ambatofotsikely, Antananarivo
電話: 受付 020 22 401 64 / 020 22 401 65
Webサイト:http://www.pasteur.mg/別ウィンドウで開く
概要:パスツール研究所。臨床検査施設とワクチンセンターがあります。検査受付は全日24時間可能。一般ワクチンの接種は月~金 8時~11時半、14時~16時。狂犬病ワクチンの接種は月~金 7時半~12時および13時半~17時、土日祝日 7時半~12時。各種ワクチンはWHOの承認を受けたものを使用しており、フランス製が多いです。血液・尿検査やマラリア、各種寄生虫検査が可能で、市中病院を受診した際に、こちらでの検査を指示される場合があります。肝炎・破傷風・黄熱などの予防接種が可能でイエローカードも即日で発行してくれます。ワクチンの供給は不安定なので事前の確認が必須です。Zoom Shopping Centerにも検査専用の別館がありVISAカードが使用できます。いずれも英語は通じません。
(9) Institut Medical de Madagascar(IMM)
所在地:ANOSY derrière la HJRA
電話: 020 22 217 17 / 034 17 452 69
Webサイト:https://imm-mg.com/別ウィンドウで開く
概要:放射線診断センターであり、レントゲン検査、CT、マンモグラフィー、超音波検査が可能。放射線科専門医が読影し、同日レポートを書いてくれます。市中病院を受診した際に、こちらの施設での検査を指示されることがあります。検査は高額ですが、建物や使用している機材は比較的新しく、邦人の利用が可能なレベルです。支払いは現金のみで、英語は通じません。

9.その他の医療情報入手先

(1) 在マダガスカル日本国大使館   https://www.mg.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html別ウィンドウで開く

(2) マダガスカル保健省 Facebook  https://www.facebook.com/minsanp/?locale=fr_FR別ウィンドウで開く

10.現地語一口メモ

 当地のほとんどの医療機関ではフランス語が通じます。「世界の医療事情」冒頭ページの一口メモ(もしもの時の医療フランス語)もご参照ください。

現地語一口メモ
日本語 フランス語 マダガスカル語
医師 Docteur Dokotera(ドゥクテラー)
飲み薬 Un médicament à boire Fanafody fisotro(ファナフディ フィストロ)
注射 Une piqûre Tsidrona(チドゥナ)
頭痛がする。 J'ai mal à la tête. Marary ny lohako.(マラリ ニ ルハク)
胸痛がする。 J'ai mal à la poitrine. Marary ny tratrako.(マラリ ニ チャチャク)
腹痛がする。 J'ai mal au ventre. Marary ny Vavoniko.(マラリ ニ バフニク)
下痢 La diarrhée Fivalanana(フィバラナナ)
熱があります。 J'ai de la fièvre. Misy fanaviana aho.(ミシ ファナビアナ アフ)
吐き気がする。 J'ai envie de vomir. Te hadoa aho.(テ ハドゥ アフ)
ケガ(傷)をしました。 Je suis blessé. Naratra aho.(ナラチャ アフ)
具合が悪い。 Je me sens malade. Marary aho.(マラリ アフ)
病院へ連れて行ってください。 Pourriez-vous m'emmener à l'hôpital? Eto any amin'ny hopitaly aho.(エトゥ アニ アミニ ホピタリ アフ)
これから診察を受けられますか? Puis-je voir un médecin maintenant? Afaka mahita mpitsambo ve izaho?(アファカ マヒタ ピチャブ ヴェ イザフ?)
私はアレルギーがあります。 J’ai une allergie. Misy zavatra tsy zakako.(ミシ ザバチャ チ ザカク)
病名は何でしょうか?(何が原因でしょうか)。 Qu’est-ce qui ne va pas? Inona noho marary anao?(イヌナ ヌウ マラリ アナウ?)

11. 新型コロナウイルス関連情報

(1)感染状況

 マダガスカルでは2020年3月20日に海外からの帰国者に初の感染例が発生し、3月21日に国家保健緊急事態を宣言し、国境が閉鎖され、外出・活動制限が行われました。2021年9月4日に国家保健緊急事態宣言は解除され、大部分の制限は撤廃されました。これまで3回の大規模な流行がみられています。当国で流行している変異株に関する情報は公開されていません。

(2)ワクチン

 18歳以上が接種対象となっており、ファイザー、アストラゼネカ、ジョンソン&ジョンソン、シノファーム製ワクチンが使用されています。接種完了率(J&Jワクチンの1回接種もしくはその他のワクチンの2回接種)はアフリカ地域の中でも目立って低い状況です。外国人もパスポート等の身分証明書を持参すれば無料で接種が可能で、紙媒体とデジタル接種証明書が発行されます。

(3)マスクやアルコール消毒液

 薬局やスーパー等で購入可能です。

(4)検査、治療

 国公立の医療機関では検査・治療にかかる費用は無料ですが、実際には機器の故障、試薬や検査キットの不足などにより、首都においても検査を受けることは困難です。PCR検査は私立イラフィー病院、もしくは現地医師の検査処方箋があればパスツール研究所で有料の受検が可能です。簡易抗原検査はClinique des Soeurs Ankadifotsy等の私立医療機関で受検可能ですが、これらの施設においても検査試薬の不足や機器の故障により検査ができない場合がありますので、事前に検査が可能か確認してください。

 PCR検査が可能な医療機関 https://www.mg.emb-japan.go.jp/files/100263192.pdf別ウィンドウで開く

 治療に関しては、アセトアミノフェン、ビタミン剤、亜鉛製剤、薬草からなる伝統薬などが使用されており、抗ウイルス薬は使用されていません。診療が必要な場合はイラフィー病院等の私立病院を受診することをお勧めします。邦人の入院が許容される病床は限られています。中等症以上の治療は当国では困難なため、症状が強い場合は早期に国外へ移送することを検討しなくてはなりません。新型コロナウイルス感染者の医療搬送には非常に高額な費用がかかりますので、十分な医療保険に加入しておく必要があります。

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