東日本大震災

アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(キズナ強化プロジェクト)
「太平洋島嶼国・地域からの訪問団(第四陣)による外務省報告会」

平成24年12月

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(報告会の様子)

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(被災地視察の様子)

1.外務省は,南太平洋大学(USP)の協力を得て,「アジア大洋州地域及び北米地域との青少年交流(キズナ強化プロジェクト)」として,太平洋島嶼国・地域からの短期招へい事業を実施しています。

 11月30日(金曜日)から12月16日(日曜日)の日程で,フィジー,パプアニューギニア,サモア,ソロモン諸島およびトンガから115名の高校生・大学生(USPからの引率者5名を含む)が来日し,岩手県,茨城県の被災地を訪問して被災状況や復興状況を視察するとともに,学校訪問,地元の方々との交流,復興活動体験等を行いました。12月14日(金曜日)の外務省報告会において,各国代表者が撮影した写真等を紹介しつつ,以下の報告(要旨)を行いました。

(1) フィジー(岩手県八幡平市,釜石市等訪問)

 被災地を訪問し,フィジーをはじめとする多くの太平洋島嶼国が自然災害への対応方法について,日本の経験から学ぶことができるのではないかと感じた。日本は震災後,目覚ましい復興を遂げており,日本の子どもが普段から防災訓練に取り組んでいることは有意義。

(2)パプアニューギニア(茨城県結城市訪問)

 被災地である茨城県結城市を訪問し,観光や農業が放射能漏れの風評被害を受けていたことを知った。多民族で構成されるパプアニューギニアにおいて,帰国後いかに効果的に情報発信を行うかが課題。

(3)サモア(岩手県釜石市,八幡平市等訪問)

 日本はこれまでも地震や津波の影響を受けてきたが,勤勉さと助け合いの精神で乗り越えてきた。世界中の人々が被災地を実際に訪問し,復興の実情や防災対策を知るべき。被災地を訪問し,復興への力強い意志を感じた。また,日本ではリサイクルが進んでおり,その実践の重要性も学んだ。

(4)ソロモン諸島(茨城県結城市訪問)

 2007年にソロモンも津波に見舞われており,日本の方々の苦しみを共有する。茨城県結城市を訪問し,放射能に汚染されているといわれた農作物は全く問題ないことを学んだ。結城市は被災者の仮設住宅,雇用や教育の機会提供に尽力しており,人々は復興へ向けて頑張っていることを知った。

(5)トンガ(岩手県釜石市,八幡平市等訪問)

 被災地訪問中に発生した地震にも,東京で講習を受けていたため冷静に対処できた。自国で情報や防災の意識を広めるには,現地の言葉を使うことが大切。被災地の方々から,私たちは勇気と希望を得た。

 各参加者からは帰国後は日本の復興について情報の発信を行いたい,本プロジェクトに関するサークルを立ち上げ,ドキュメンタリーを作成する予定等,新聞・テレビ等のメディアやインターネット等を通じても情報発信していきたい旨発言がありました。

2. 山野内アジア大洋州局参事官より,本プロジェクトは日本との絆と理解を深めるとともに,東日本大震災の被害を受けた地域の現状や復興に向けた取り組みを知っていただくことが大きな目的と述べました。また,自治体の方々等との交流を通じ,参加者に被災地の姿を知ってもらったことについて,各国発表者からのコメントがそれぞれ異なるのは大洋州の多様性を反映しているという講評を行い,参加者には帰国後も今回の経験を生かして頑張っていただくとともに,積極的な情報発信をお願いしたいとコメントしました。

(参考1)キズナ強化プロジェクト

 キズナ強化プロジェクトは,アジア大洋州地域及び北米地域の41か国・地域から青少年を我が国に招へいし,交流プログラムや被災地視察,ボランティア活動等を実施するとともに,被災地の青少年をそれぞれの地域へ派遣することを通じて,日本再生に関する外国の理解増進及び風評被害に対する効果的な情報発信を目的としており,平成25年3月末までに,招へい,派遣を合わせ,1万人以上の交流を予定。

(参考2)南太平洋大学(USP:University of the South Pacific

 太平洋に点在する太平洋島嶼国は人口が数万人程度しかない小規模国家が多く,経済的にも余裕がないため,単独での高等教育機関設立が不可能であったことを背景に,1968年,太平洋島嶼国・地域の政府が共同出資して設立した高等教育機関。加盟国は,クック諸島,フィジー,キリバス,ナウル,ニウエ,サモア,ソロモン諸島,トケラウ諸島,トンガ,ツバル,バヌアツ,マーシャル諸島の12ヵ国・地域。本部及びメインキャンパスはフィジーの首都スバに置かれている。サモアに農学部キャンパス,バヌアツに法学部キャンパスが設置されている他,各地にはサテライト・キャンパスが置かれ,衛星通信を利用した遠隔地通信教育が行われている。学生数は2万人に上り,各加盟国・地域の国家元首等が持ち回りで学長に就任。

(参考3)第6回太平洋・島サミット(Sixth Pacific Islands Leaders Meeting: PALM6)

 本年5月25日,26日,沖縄県名護市の万国津梁館において野田総理とプナ・クック諸島首相の共同議長の下開催。サミットには日本を含め17カ国・地域の首脳等が参加。サミットでは,「We are Islanders:広げよう太平洋のキズナ」というキャッチフレーズの下,今後3年間に向け,(1)自然災害への対応,(2)環境・気候変動,(3)持続可能な開発と人間の安全保障,(4)人的交流,(5)海洋問題という協力の5本柱を策定し,「沖縄キズナ宣言」を採択。野田総理から,上記の5本柱に沿って協力を進めるため,今後3年間で最大5億ドルの援助を行うべく最大限努力する旨表明。

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