掲載日
26日付
紙面(国名)
レ・ゼコー紙(仏)
執筆者・掲載欄・発信地
ヤン・ルソー記者(東京)
日EU EPA交渉に関して双方に大きな不安材料が残る。25日にEPAに反対する50名余りが経団連のビル前に集結したことは,EPA交渉が非常にデリケートであることを端的に示している。EPAが必要であることを双方は認識しているものの,EPAに対して大きな躊躇も感じられる。仏などEU内の複数の国は,EPA交渉で議論が関税引き下げに集中し,農産品や医薬品等のEU産品の日本市場への進出を妨げている非関税障壁の撤廃に関する議論があまり行われないことを懸念し,長い間EPAの交渉開始に反対してきた。EUによるとこの種の非関税障壁は31項目にのぼる。一方,日本はEUに対して,日本製の自動車及び電子製品への関税の引き下げを求めている。現に困難な状況にある欧州の自動車メーカーは,円安により域内市場に日本車が大量に入ることを懸念している。
掲載日
27日付
紙面(国名)
ロサンゼルス・タイムズ紙(米)
中国がアジア近海で仕掛けるステルス戦争
執筆者・掲載欄・発信地
バーバラ・デミック記者(北京)
中国籍のターボプロップ航空機2機が東シナ海の尖閣諸島上空を飛行し,日本の領空を侵犯した事件では,中国人民解放軍はその潔白を主張している。この航空機は中国政府の中国海監と呼ばれる部署に所属しており,この部署は近年周辺海域における自警団的な存在となってきた。このように中国の海事局,漁政局,国家海洋局等といった数多くの一見何の変哲のない名前を持つ政府機関が,覆面戦闘員として中国政府の領土問題の最前線に立つ。12月に発生した領空侵犯事件では,日本の戦闘機がスクランブル発進し,第二次世界大戦中に敵対したアジアの2大国が再び対峙する一触即発の状況となった。数ある中国の政府機関の中で最も権力を持つのが中国海監を司る中国国家海洋局である。今月の全国人民代表大会において国家海洋局の権限は,中国漁政局と沿岸警備隊を傘下に置くよう拡大された。ジェームズ・ファネル米海軍太平洋艦隊副参謀長は,中国海監を中国海軍の代理人であり「常勤で活動する海洋主権いやがらせ団体」であるとし,「通常海洋政府機関が行う人命救助等の活動は他の機関が担当しており,中国海監は中国の主権拡大に対して他国を屈させる目的のみしか持たない」と厳しく述べた。