世界が報じた日本

海外主要メディアの日本関連報道
(3月5日~3月12日)

平成25年3月5日~3月12日

掲載日

11日付

紙面(国名)

BBCワールド「ニューズデイ」(ラジオ番組)(英)

タイトル

小野内閣副広報官インタビュー(生出演)

 【小野副広報官】大災害の直後から寄せられた支援と励ましに感謝。国際社会との協力を一層強固にしていきたい。政府は,可能なかぎり原子力発電から自立した新エネルギーを拡大する新たなエネルギー政策についての検討を始める。原発の再稼働に関しては,原子力規制委員会を設立し,安全基準が満たされた場所でのみ,原子力発電所の再稼働を検討している。我々は,全てのプロセスを加速するための避難区域の見直しや除染のための協力調整に関わる全ての機関を取り込んだ復興と再生のための拠点を福島に設立した。我々は現在エネルギー政策を再検討するプロセスにあるが,安全を最優先課題としている。同時に,今回被害を受けた地域を,自然災害に対してより回復力をもち,環境に優しい地域にすることを目指している。なされるべきことは多いが,安倍総理は,被害を受けた地域の復興プロセスの加速を優先課題として取り組んでいる。

掲載日

9~10日付

紙面(国名)

インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙アジア版(米)

執筆者・掲載欄・発信地

クミコ・マキハラ 翻訳家・エッセイスト(岩手県陸前高田市)

 陸前高田市は,2011年3月11日に東日本の沿岸を襲った地震と津波による惨状の証しとして(被害にあった)建造物を遺すことを決定した。本地域で行われている広大な清掃が日本の効率性という特色を示す中,地元政府は悲劇の遺産として何か遺すべきかどうかという繊細な課題に直面している。多くの近隣住民は,失ったものを思い出させるものはこれ以上要らないと言うが,この自然災害によりもたらされた空前の量の視覚的記録と,その広範囲にわたる拡散は,より多くの人々の目にふれるよう保存されるべきではないかという議論を呼んでいる。宮城県は県内の市町村に向けて保護ガイドラインを発行した。建造物は人々の命を救ったであろうし,将来世代に防災教育を与える潜在資源ともなるだろう。保存される建造物は,安全基準を満たし,再建計画の妨げになってはならない。岩手県に隣接する陸前高田市は,死者が出た建物は残さないことに決めた。本決定については,津波の規模を後世に伝えるというメモリアルの目的を失わせるとの声もある。

掲載日

7日付

紙面(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙(米)

タイトル

安倍総理,経済活性化に向け旧体制に挑戦

執筆者・掲載欄・発信地

マーティン・ファクラー東京支局長(愛知県田原市発)

 安倍総理は,就任後わずか2か月で,日銀と政治的影響力を持つ農家に挑戦するという高い意気込みを示している。これは疲れ果てた日本経済に新たな生命を吹き込むための積極的な試みである。オバマ政権は日本に対し,苦痛を伴う市場開放という変化を強いる可能性がある。TPPへの加盟は,保守的な自民党を長年忠実に支持してきた農家を遠ざけるリスクを伴う。しかし,経済大国としての日本の地位が弱まると同時に中国の脅威を感じる中,より多くの国民は大胆な経済政策の受け入れに比較的意欲的であるようにみえ,これは最近の世論調査で安倍総理への支持率を約70%にまで引き上げることとなった。これは,安倍総理のタカ派的見解が有権者を再び遠ざける可能性を考慮しても大きな増加である。日本の有権者の多くは,中国に対する日本の地政学的な立場を巡り不安を高めており,更に大胆な措置が必要であるという意見で一致しているようにみえる。

掲載日

7日付

紙面(国名)

ワシントン・タイムズ紙(米)

タイトル

脅かされるアジア回帰

執筆者・掲載欄・発信地

ビル・ガーツ記者 コラム

 米国防省では,第二期オバマ政権がアジア重視転換策を退けようとしていることに懸念を示す声が上がっている。オバマ政権は,これまで中国によるサイバー攻撃への批判を十分にしてこなかった。また,先月の安倍総理訪米の際ローキーだったことに表れているように,重要な同盟国に対して生ぬるい対応をしている。アジア重視政策で評価が高いキャンベル国務次官補が退任したことも,今後のアジア回帰の行方の懸念材料である。5日,ロックディア米太平洋軍司令官は,予算削減がアジア重視への戦略変更を妨げる可能性があるとし,米国が力を行使する能力は危機に瀕しつつあると述べた。また,ヘーゲル国防長官は,アジア重視転換策の必要性を尋ねられ,明確に必要だとは述べず,予算的抑制の中で米国が力強い継続的な関与をすることが必要とされていると答えた。

掲載日

6日付

紙面(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙(米)

タイトル

家庭は危害を与える場所

執筆者・掲載欄・発信地

ジョアン・S・マイヤー氏 寄稿(ワシントンDC)

 安倍総理は先月,ハーグ条約への早期加盟を目指すと約束した。日本はハーグ条約に未加盟の数少ない先進国の一つであり,総理の発言は米政府からの圧力を反映したものである。1981年に米国が加盟した同条約の提唱者らは,同条約は家族を再会させる手段であるとみなしている。これは間違いではないが,実際には同条約に含まれる影の部分がしばしばみられる。それは,多くの事例において,子どもとその保護者である母親が,自分たちが逃げ出してきた危険あるいは虐待的な父親の元に送り返されているということである。また米国や他諸国の法廷の多くは,親権が問題となっている場合には,虐待的な夫や父親からの保護の必要性を重視していない。米政府は,拉致の多くは子どもの安全確保が目的であることを認めるべきだ。米国務省と議会は,各国とその法廷が均整のとれたハーグ条約を施行し,危険を伴う返還から子供と保護者を守るよう働きかけるべきだ。

掲載日

5日付

紙面(国名)

ニューヨーク・タイムズ紙(米)

タイトル

帰っておいで,アメリカ

執筆者・掲載欄・発信地

エリザベス・コッブス・ホフマン氏 寄稿(サンディエゴ)

 米軍のイラクとアフガニスタンからの撤退は誰しも語っているが,ドイツと日本についてはどうだろう。米政府は昨年10月から今年9月末までの会計年度で850億ドルの削減を目指し,その半分が国防費からの削減となる。これは米国民に対して,我々はなぜいまだに第二次世界大戦を戦っているのだろうかという,あまりにも長い間先送りにしてきた問題を議論する機会を与えている。現在の状況は冷戦時代からも大きく変化した。米国が大規模な基地を設置した当時の西ドイツと日本は監視が必要な危険な存在と見なされていた。また,再建された両国は,共に特にソ連と中国からの防衛を求めていた。今日,米軍最大の恒久的な基地は依然としてドイツと日本にあるが,両国は自衛できる完全な能力を有しており,近隣諸国支援にあたり信頼されるべき国である。そして今,ドイツと日本が,より多くの防衛費を負担するか,あるいは自国の基地を運営すべき時が来た。

掲載日

7日付

紙面(国名)

インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙アジア版(米)

タイトル

再び,北朝鮮を説得できない見込み

執筆者・掲載欄・発信地

社説

 米国の提案する北朝鮮に対する厳しい制裁に中国が参加することは喜ばしい。しかし制裁決議案がその目的を達成すると信じる理由はない。国際社会は北朝鮮の進める核保有に向けた施策を止めるか,あるいはその速度を緩める一貫した政策をとれていない。北朝鮮は,国連の制裁案に対して,朝鮮戦争の休戦協定を破棄し,ホットラインを切断し,米国を攻撃すると脅した。北朝鮮の核開発に関して,日米韓は防衛協力を拡大している。この制裁と脅迫のサイクルを終わらせるには創造的思考が必要だ。朴新大統領は北朝鮮との関係を改善させることに関心を示しており,ケリー国務長官は5日,オバマ政権は対話に対してオープンだと述べた。北朝鮮に現状の危険性と核開発を中止した際の利益を明確にする,米国によるハイレベルな試みがなされるべきだ。その間,米中は北朝鮮の核開発を妨害するために密かな方法で協調すべきだ。

掲載日

5日付

紙面(国名)

ル・フィガロ紙(仏)

執筆者・掲載欄・発信地

ジョン・リー・シドニー大学国際安全保障研究センター教授によるプロジェクト・シンジケートへの寄稿文の転載

 尖閣諸島-釣魚島問題(ママ)への中国の頑なな姿勢は,海底資源や太平洋西部への海路の確保といった理由に留まらない。国の再生という,中国共産党が掲げる基本的な方針に直結しているのだ。尖閣諸島-釣魚島に関しては,その海底に大量の石油が埋蔵されていることが明らかになった1968年以前には,中国はほとんど関心を示していなかった。南シナ海における主張についても,中国は2009年に根拠のない歴史的事項を並べ立て,国連の大陸棚限定委員会に対して,かの有名な「9ドット・ライン」を認めるよう申し立て,南シナ海のほぼ全域に対する「議論の余地のない主権」を主張した。東アジア及び東南アジアを2000年近くにもわたり支配してきた中国は,自らの文化を他より優れていると考え,自らが周辺国を支配するのが当然であると思い込んでいる。尖閣諸島問題で中国に有利な解決がもたらされれば,優越感が大中華構想を後押しし,南シナ海での領有権の主張が一段と強まることになるだろう。日米両国は,中国の再生という概念が,過去の栄光の復活を求めるものであり,また,その概念が既存の地域秩序の肯定ではなく見直しを目指していることを理解しなければならない。日米両国は,中国の野心を妨げることはできずとも,同国の戦略的・軍事的な選択肢を制限していく必要がある。

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