掲載日
1日付
紙面(国名)
ル・フィガロ紙(仏)
執筆者・掲載欄・発信地
レジス・アルノー記者
安倍総理は1月31日,国内の政治情勢が許せば憲法を改正する意向を再度確認した。総理は「まずは多くの党が主張している96条の改正に取り組んでいきたい」と国会で語った。一番の目的は,自衛隊を持つことしか認めていない憲法第9条の足かせを取り払うためだ。安倍総理が嘆かわしく思っている同条項により,日本は対外的な軍事力の行使を禁じられ,軍事的な役割は最小限に抑えられ,国家の尊厳も軽んじられている。この目論見は壮大な理想論の一部とみることができ,ある意味安倍総理はこの考えが支持を得たおかげで総理に選出された。また,下村文科相は29日,20世紀に帝国軍によって犯された虐殺行為を認める政府の公式見解を見直す(ママ)政府方針を明らかにし,政府の管理する「愛国主義的な」教育を施したいとの考えを示した。
掲載日
28日付
紙面(国名)
バンクーバー・サン紙(ポストメディア・ネットワーク社傘下,カナダ)
日本は憲法見直しを検討
執筆者・掲載欄・発信地
ジョナサン・マンソープ論説委員
アルジェリアの人質事件が,日本で平和憲法を見直すか否かの議論に新たな刺激を与えている。世界各地で日本人が働いているが,日本は,彼らを保護したり,誘拐された際に解放させることが出来ず,そのための特殊部隊も所持していない。また,所持したとしても,米とその同盟国により押しつけられた憲法の第9条が,自衛隊の国外展開を禁止している。日本は,自己主張を強めている中国のみならず,多くの脅威に対処する必要があることを日本人に語りかけている。
掲載日
1日付
紙面(国名)
ニューヨーク・タイムズ紙(米)
全日空,787型機運行停止の損害1,500万ドル
執筆者・掲載欄・発信地
田淵広子記者(東京発)
全日空は31日,ボーイング787機の運行停止に伴う売上高の減少は約1,540万ドルになる見込みと発表した。全日空は同機を巡る混乱は続くと予想しており,いつ収束するかは不明だと述べた。米調査当局は787型機のリチウムイオン電池の過去の実績に関する更なるデータを求めている。
掲載日
31日付
紙面(国名)
ニューヨーク・タイムズ紙(米)
日本の総理,中国との首脳会談を歓迎
執筆者・掲載欄・発信地
マーティン・ファクラー東京支局長(東京発)
安倍総理は,島の領有を巡る感情的な争いによる緊張を緩和するために中国首脳部との会談に前向きであるとの意思を表明し,両国は同件を巡る不一致が巨大な経済関係にこれ以上損害を与えることがないよう努めるべきであると主張した。また,総理は,日中両国は「戦略的互恵関係」を再構築するべきだと述べた。この明確な和解提案は,先週,対立緩和を目指した日本の外交活動が行われた後になされた。多くの日本当局者は,中国は,島群周辺の空海域にほぼ毎日政府の船舶及び航空機を派遣することで,日本が領有権問題の存在を認めるよう圧力をかけることを目指す長期戦略に着手し,最終的には日本が中国に領有権を全面的に譲らないとしても,なんらかの形で日中共同管理への合意に持ち込もうとしていると思うと述べている。
掲載日
30日付
紙面(国名)
ボストン・グローブ紙(米)
日本の保守主義
執筆者・掲載欄・発信地
ジェフ・ジャコビー同紙コラムニスト(FPC先進国記者招へい記者)
先月の選挙で自民党が圧勝した日本について,欧米のメディアでは経済不安からくる保守勝利と報道している。確かにこの保守圧勝は2年前にアメリカで起こったティーパーティの盛り上がりによる下院での保守議席大量獲得を想起させる。先の日本の保守圧勝は,ティーパーティのような草の根からの革命だったのか?フォーリンプレス・センターの招聘で訪日していた私の見たところ,答えは「否」である。まず,日本における「保守」はアメリカで言うところのそれとは別物であって,河野勝早大教授によれば「日本の保守派は政府の強いコントロールを好む。経済において政府の介入を減らそうというという考え方は日本には存在しない。例え規制緩和には賛成でも,それは政府の介入は最小限でよいという概念から来るものではない。」ということだ。国会議員の河野太郎氏によると,自民党内にもアメリカで言うところの「小さな政府」を標榜する財政的保守派(政府支出や債務削減奨励派)はいるが少数派だ。通常,政治家にはこれらに関して草の根からの圧力もない。アメリカと違い,日本における右派・左派間での違いは外交政策,国防,日米関係においてのみ顕著であり,経済政策や政府の大きさについては両派に意見の違いはない。日本にも「小さな政府」を標榜する動きは生まれつつあり,ひとつは,その名も「東京ティーパーティ」という団体であるが,これはアメリカの個人主義的な保守派とは別物だ。なぜなら,そこには個人の自由は基本的人権であり,政府の干渉・支出を最小限に抑えることが国家の威厳と発展に繋がるという強い信念が欠乏しているからだ。もうひとつの新しく生まれつつある保守の動きは,小さな政党ながら,減税・小さな政府を標榜する「みんなの党」という政党だ。ここの政党員は個人の自由の概念に対して雄弁だ。日本にも日本版ティーパーティが生まれるかもしれない。